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2020年11月5日に行われた、アズビル株式会社2021年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

アズビル、2Qは減収減益 コロナ禍の影響による市況低迷等で売上高は前年同期比−6.1%

経営成績

山本清博氏:本日はアズビル株式会社2020年度上期決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。東京での感染者数が引き続き高い水準となっている状況を鑑み、今回も8月6日の2020年度第1四半期決算説明会に引き続き、オンラインでの開催とさせていただきました。ご不便をおかけすることとは存じますが、丁寧な説明を心がけますので、何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

最初に、新型コロナウイルス感染拡大によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、罹患された方々、感染拡大により困難な状況におられる方々に心よりお見舞いを申し上げます。

また医療従事者のみなさまをはじめ、最前線で感染拡大防止に引き続きご尽力されている多くのみなさまに、深く感謝申し上げます。当社グループにおきましても、感染拡大の早期収束を願い、感染防止策等に事業活動を通じて取り組んでまいります。

それではこれより決算説明会を始めます。はじめに2020年度上期の連結業績をご報告します。全社での経営成績です。受注高は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による市況低迷を受けてAA事業が減少したことに加えて、前年同期における大型案件の反動などの要因もありBA事業とLA事業が減少したことにより、全体では前年同期比89億円、6.2パーセント減少の1,361億円となりました。

売上高は、前年同期に高水準であった新築大型建物向けの分野での減少を主因にBA事業が減少し、またAA事業も市況低迷の影響を受け低調に推移したことなどから、前年同期比72億円、6.1パーセント減少の1,114億円となりましたが、BA事業、AA事業とも計画を上回る結果を出すことができました。

営業利益は、経費抑制や事業収益力強化策の効果等もありましたが、減収の影響により前年同期比減少の83億円となりました。

一方、親会社株主に帰属する四半期純利益は、国内の工場統合による固定資産売却益の計上等により、前年同期比増加の60億円となりました。なお、売上計画の達成と経費抑制により、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益のいずれも計画値を達成することができました。

セグメント別業績-BA事業

次にセグメントごとの業績結果です。ビルディングオートメーション事業に関しては、更新時期を迎える複数年契約のサービス案件が少ない時期にあたるなど、年度による状況の変化はありましたが、首都圏における都市再開発など国内事業環境は引き続き堅調に推移しました。

また、感染拡大により一部の現場において一時的な工事の遅延などが発生しましたが、影響は限定的でした。一方、海外では米中貿易摩擦や感染拡大による需要の低迷、ロックダウンによる工事の遅延などが見られました。

これらの結果、受注高は731億円、売上高は485億円、セグメント利益は25億円で、前年同期比では減収減益となりましたが、計画に対しては売上、セグメント利益とも達成することができました。

ビルディングオートメーション事業においては、引き続き採算性に留意した受注の獲得に注力するとともに、お客さまと社員の安全に十分配慮しつつ、施工現場を主体に業務の遂行能力の強化と効率化を推進していきます。

セグメント別業績-AA事業

次にアドバンスオートメーション事業の結果です。アドバンスオートメーション事業ではCP事業、IAP事業、SS事業の3つの事業単位を軸に、成長戦略と収益力強化施策を展開してきました。

5G関連投資の広がりを受け、半導体製造装置市場等では需要が継続しましたが、ウイルス感染拡大により世界経済の動向が引き続き低迷し、製造業の設備投資は全般において慎重な動きとなりました。

市況の低迷を受けたCP事業を中心に減少し、受注高は426億円、売上高は417億円となりました。またセグメント利益は48億円となり、前年同期からは減収となりましたが、引き続き高い収益力を維持できています。計画に対しては、売上高、セグメント利益とも達成することができました。

セグメント別業績-LA事業

次にライフオートメーション事業の結果です。ガス、水道等のライフライン分野は、全体としては法定によるメータの交換需要を主体とした安定した事業環境にあります。しかし、検定満期を迎えるLPガスメータが不需要期に入ったことに加え、水道メータの検定満期有効期間の延長による一部需要の先送りなどもあり、受注、売上に影響を与えました。

ライフサイエンスエンジニアリング分野では、市況に変化はありませんが、前年同期に大型案件を計上した反動で受注が減少しました。一方、前年度の受注増加を背景に、売上高は着実に増加しています。

この結果、受注高は210億円となり、売上高も前年同期比で僅かに減少の217億円となりましたが、セグメント利益についてはほぼ前年並みの8億円となりました。計画に対しては売上高、セグメント利益とも若干の未達となりました。

[参考]セグメント別受注高推移

ここからは業績結果をグラフで示したものになりますので、ご覧いただければと思います。受注高の推移のグラフです。

[参考]セグメント別売上高推移

売上高推移のグラフです。

[参考]セグメント利益(営業利益)推移

営業利益推移のグラフです。

海外エリア別売上高

海外事業です。海外売上高は、半導体関連の需要増加によりAA事業が増収となったことに加えて、前年度に受注水準が高かったLA事業においても増収となり、全体では前年同期比1パーセントの増収となりました。ただし、BA事業では新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、減収となりました。

財政状況

財政状態についてはご覧のとおりです。自己資本比率は71.2パーセントと、引き続き高い水準を維持しており、財務基盤は強化されてきています。また事業の収益基盤強化とともに財務基盤の状況が評価され、10月に格付投資情報センターが発行体格付を「A」から「A+」へと引き上げました。

キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況です。フリー・キャッシュ・フローは前年同期比で52億円の増加となり、現金および現金同等物は820億円となりました。

業績計画

ここからは2020年度連結業績計画についてご説明します。今回、8月6日に公表した2020年度連結業績計画を上方修正します。8月6日時点での計画では「新型コロナウイルス感染拡大状況が世界的に長期化、市場の不透明感が継続し、2020年度内は厳しい事業環境が続くが、アズビルグループの生産、エンジニアリング、工事、サービス等を含めた当社グループの事業は継続する」ということを前提としていました。

この前提に変更はありませんが、事業環境の変化への対応力と強化された収益基盤を踏まえ、また市場や地域での需要の増加が見られることから、通期での連結業績計画を上方修正することにしました。

この結果、売上高は当初計画から30億円増加の2,480億円とします。損益面では、営業利益は当初計画から15億円増加の255億円、経常利益も15億円増加の250億円、親会社株主に帰属する当期純利益は11億円増加の179億円を計画します。

業績計画は上方修正しますが、事業環境の不透明さは変わっていないとの認識のもと、お客さまや社員の安全を第一に事業を進め、経費低減等を含めた慎重なオペレーションを行いつつ、感染再拡大に備えたBCPや財務体質確保のための施策を進めていきます。

また今後の持続的な成長を確かなものとするために、デジタルトランスフォーメーションも活用した「仕事と働き方の創造」を行い、業務遂行能力と事業収益力をさらに強化し、製品やサービスの開発などに必要な投資を継続して実施していきます。

セグメント別計画

セグメント別の計画です。アドバンスオートメーション事業においては、感染拡大による経済活動の低迷がお客さまの設備投資に影響を与えていますが、設備の維持や更新に関わる需要に加えて、中国等一部の地域や半導体製造装置等での需要を見込んでいます。

また収益力強化施策や顧客開拓施策の効果も継続すると見込んでおり、これらを総合して、売上高は当初計画に対して30億円増加の860億円、セグメント利益は15億円増加の95億円へと上方修正します。

ビルディングオートメーション事業とライフオートメーション事業については、8月に業績計画を開示した際の需要環境の見立てに大きな変化はなく、着実に事業は進捗しています。このため8月に開示した当初計画どおりの業績達成を見込んでいます。

[参考]セグメント別売上高・セグメント利益推移

売上高と利益推移のグラフとなります。

2020年度 株主還元

次に株主のみなさまへの利益還元についてご説明します。未だ国内外の事業環境は不透明ですが、配当については、その水準の向上に努めつつ安定した配当を維持するという観点から、2020年度5月20日公表どおり、中間配当、期末配当とも1株当たり25円、年間で普通配当50円の配当を計画します。

これにより配当性向は39パーセント、DOEは3.7パーセントを見込んでいます。なお、スライド右下の図に示すとおり、「株主還元の充実」「成長に向けた投資」「健全な財務基盤」の3つのバランスに配慮しながら規律ある資本政策を展開していくというアズビルの基本方針に変更はありません。

株主のみなさまへの還元は、従来どおり配当を中心にしつつ、業績や株価動向等も考慮し、自己株式取得も機動的に組み入れる選択肢も含んだ「規律ある資本政策」の実践に着実に取り組んでいきます。

株主還元の推移~安定した配当の実践

過去12年分の、株主のみなさまへの還元の推移を示したグラフとなります。これまでも基本方針に基づき、常に安定した配当の維持とその水準の向上を実践してきましたが、今後もこれを継続していきます。

azbilグループ展開の方向性と長期目標

今後の事業の方向性についてご説明します。アズビルグループの展開の方向性としては、SDGsを新たな道標として経営を方向付けてグローバル展開し、引き続き長期目標達成に向けて、新たな社会課題の解決を通じたさらなる成長を実現します。

「人を中心としたオートメーション」の企業理念のもと、これまでに進めてきた事業、財務基盤の実績を起点に、「3つの基本方針」「3つの事業領域の拡大」を通じて、長期目標である「営業利益300億円以上」「売上高3,000億円規模」「ROE10パーセント以上」を引き続き目指します。

なお、長期目標達成の時期については、新型コロナウイルス感染拡大の影響を合理的に判断することが可能となった時点での開示としたいと思います。

事業運営の考え方

事業運営の考え方についてご説明します。社会構造の変化に新型コロナウイルス感染拡大の影響が加わり、社会や産業の在り方およびニーズが大きく変化し、解決すべきさまざまな課題が顕在化、または新たに出現していると認識しています。

その結果、オートメーションが果たすべき役割が拡大する中、アズビルグループとしては、デジタルトランスフォーメーションの推進を通じた「仕事と働き方の創造」で提供価値の向上を実現していきます。

SDGsを道標として持続可能な社会へ「直列」につながる貢献を目指すことで、持続的な成長を目指していきます。2030年のSDGsの目標に向けて「安全」「変革」「成長」の3つのステップで取り組んでいきます。

事業環境と取組みの方向性(1)

このページはBA事業における取り組みの事例です。2021年以降の首都圏における大型の再開発案件の継続、多数の既設改修案件の堅調な需要の見通しは変わらず、併せて安全・安心の観点から換気や入退室管理に対する新たな需要を見込んでおり、これに対し新たなソリューションを提供していきます。

スライドの図はオフィス内での安全・安心ニーズのソリューションの事例となります。センサからのデータを活用し、オフィス内でのソーシャルディスタンスを確認、適切な換気を行うことにより、空気質の改善を実現するというものです。

事業環境と取組みの方向性(2)

このページはAA事業における取り組みの事例となります。製造業の設備投資は、足元は未だ不透明ではありますが、人手不足や環境保全対応、さらなる生産性の向上、リモートワーク等の働き方の変化に伴い、省エネ・高度制御はもとより、自律化、人との協調システム、高付加価値型のサービス等、中長期的な自動化の需要継続を見込んでいます。

リモートでのソリューションの提供へのニーズは高まっており、この事例は各種プラントの運用管理における省人化や遠隔監視の実現、熟練技能者ノウハウのAIへの置き換え等新たなニーズに応えるアズビルのシステム、フィールド機器とIoTサービスの事例となります。

事業環境と取組みの方向性(3)

このページはライフオートメーション事業における取り組みの事例となります。ライフライン分野、ガス・水道メータは、法定による更新需要を主体とする安定的な需要に加えて、スマート化によるメータデータクラウドサービス等の新たな需要が見込まれます。

ライフサイエンスエンジニアリング分野では、ワクチン製造等の需要拡大が見込まれます。ライフライン分野において更新需要に着実に対応するとともに、「as a Service」等の新たな事業領域を開拓、拡大していきます。

事業基盤の整備・強化の進捗状況(1)

このページは事業基盤の整備、強化の進捗状況を示しています。「グローバル生産・調達体制の規模拡大・強化」として中国の大連工場の拡張、「グローバルネットワーク(販売・サービス)拡充・強化」としてのタイでのSolution and Technology Centerの新設、「研究開発体制強化」として藤沢テクノセンターの新棟建設と施設強化に、継続して取り組んでいきます。

事業基盤の整備・強化の進捗状況(2)

また、引き続きSDGsにも積極的に取り組みます。持続可能な社会へ「直列」につながる貢献、経営の具体策として、お客さまの現場におけるCO2削減効果目標や、「健幸経営の目標」として「アズビルで働くことに満足する社員、成長を実感する社員の割合を65パーセント以上」といった目標を新たに設定しました。また取締役会のダイバーシティ推進等、コーポレートガバナンス強化にも継続して取り組んでいきます。

デジタルコンテンツを活用したケーパビリティ紹介

最後に、デジタルコンテンツを活用したケーパビリティ紹介の場として、アズビルグループ展示会のご案内をします。先月、国内外で「Industrial Transformation ASIAーPACIFIC(ITAP)」それから「計測展2020 OSAKA」「CEATEC2020」に出展し、オンライン展示を実施中となります。

また12月には「スマートビルディングEXPO」にも出展を計画しています。アズビルグループの最新の取り組みをご覧いただく場として、ぜひご活用いただければと思っております。私からの説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。

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