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日本で学ぶという不幸。シンガポールの教育水準がもう追いつけないレベル

日本の子供は不幸―。こう言い切るのは元参院議員でシンガポール在住の田村耕太郎さん。その理由を自身のメルマガに記していますが、なんとシンガポールの英才教育の現場では、小学生低学年生が英語を完璧に操り、ノーベル賞受賞者から超ハイレベルなレクチャーを受けているんだそうです。さらに家庭教師も最高水準とのことで、日本はとても太刀打ちできそうにありません。

日本の子供の不幸

私の仕事場の1つであるミルケンインスティテュートはノンプロフィットだが、ノンプロフィットといってもnot for profitという意味で資金は潤沢にあり、日本のジョークのようなNPOとは全然違う。ミルケンのfor profitの事業も手伝ってほしいとの話があって話を聞くとその1つが今日見た教育ビジネスである。

ミルケンは30年先を見て投資を組み立てている。その中で彼が投資をしている
のが、

・高齢化
・人材の移動
・教育

の部門である。まさに私のプロジェクトと合致する。彼の資金力と資本へのアクセス力をもってすればとんでもない事業ができる。そのとんでもなさが未来のためへの教育である。

シンガポール政府もミルケンの意見を取り入れこの教育事業を強力に支援している。ミルケンは「学校で最も大事な要素は教師の質だ」と各種データで分析して主張する。半端ない教師陣をこのシンガポールでも用意している。その1人が、ノーベル物理学賞受賞者でオバマが三顧の礼で閣僚(エネルギー長官)に迎えたスティーブン・チュン氏である。他にもバークレーやスタンフォードやMITから先生が送られてくる。世界最先端の先生たちから子供たちは、小学校低学年から、

・コーディング
・ロボット工学
・バイオ
・3Dプリンター工作
・資本市場と経済
・起業家精神
・交渉術
・ディベート術

を学んでいく。

認識がずれている日本の方には異論もあろうが、そんなのは百も承知でプロの教育者が科学者たちと精緻に組みたてられたカリキュラムである。

これを日本に持って行かないかともいわれたが無理だろう。だって小学生から完璧な英語ができないと一流の先生から学ぶことはできない。そして世界の同世代と自由に交流することもできない。そんなことは起こりそうもない。

小学生から完璧な英語ができるとかもう中国でも韓国でも東南アジアでも21世紀を生き抜くには当たり前のことだ。そこをぐじゃぐじゃ言っている時間はないし、そんな議論が聞こえてきただけでこういう教育は「日本よさようなら。最初からあてにしていないけどまだそうなのね? 世界中このスタイルで欲している子供たちは無限にいるからじゃあね」となる。

一番子供の能力が加速するときに合わせて世界は教育を加速的に変化させ時代にあった色んなものを取り入れ、暗記重視のアジアの教育も劇的にエリートレベルで変わっていく。その背景にはミルケンのような強力な教育界以外からの参入組のインパクトがある。

彼らが投下している資本を聞いたら日本の教育界の人はびっくりするだろう。軽井沢にインターができたくらいで大騒ぎの日本だが、シンガポール1つとってもその何十倍もの投資が競うように行われている。日本は5周遅れくらいではないか? 絶望的に違う。

日本も1億人以上も人口があるので一定の人材を確率的に生み出すだろうが、人材育成への投資が、特にエリート層での投資がこれだけ薄ければ、世界との人材力の差は広がるばかりだろう。

シンガポールがいい国だとかそういう議論ではなく、小さいころから多様性の中で当たり前に英語で話さなくてはならない環境で豊富な選択肢の中から時代にあった教育の中に、子供を早く入れてあげるべきだろう。

わが子に、大成功してほしいとかそういうことよりも、21世紀を多くの選択肢を持って、幸せに自由に生き抜くようになってもらうためには、今の日本の教育の中に子供を置くべきではないと残念ながら思います。

学校で輝かない子供を見てホームスクールを決意

欧州でやった勉強会仲間で、アリババのナンバー3の地位を捨てて、住む場所も変えて、起業した友人がいる。その理由が今回欧州で初めて聞けた。それは子供の教育のため。ある日授業参観に行った時に学校で浮かない表情の子供を発見。そこで深く子供と対話し、教育の大量生産ともいえる学校がいかにわが子に合っていないか実感。

そこから夫婦で1年間話し合い情報を集め、ホームスクールを決意。しかし、彼がその時生活していた国ではホームスクールは禁止されていた。親戚や友人から後ろ指をさされ、ホームパーティーもやりにくくなったという。

家族でホームスクールが盛んなアメリカに渡り、ホームスクールのカリキュラムを作るプロとして有名な2人の教員に師事してカリキュラム造りを学ぶ。その後、カリキュラムのチェックのために、その2人を説得して、給料を払い、住居も用意して、彼らの近くに一年間住んでもらい、カリキュラムを実施ながら改良し、カリキュラム造りを夫婦と子供で学んだ。

そして4人の子供全員をホームスクールで育て上げ、皆世界の名門校に。ホームスクールはテイラーメイドの教育なので素晴らしい側面、友達他の触れ合いが少なくなるので社会性に問題があるといわれる。しかし、実際4人をホームスクールで育て上げた彼によると、「そんなことはないよ。親という大人と深く接するから、社会性も心配ないよ。ある意味成熟した人間と深く付き合うことは同世代以上に学びがある。それと歳の近い兄弟もいるし。休みにはサマーキャンプ等につれていって集団生活も経験させられる」と。

「4人ともすごく特徴があり、それを理解して伸ばしてやりたかった。学校とも相談したけど、それを求めるのは可能ではなかった。学校での彼らの浮かない顔が忘れられなかった。だから私も仕事も変えたし、ハーバードロースクールまで行っていた家内は仕事もやめて全力でホームスクールに没頭してくれた。これは私たちには大きな学びであった」と。

私は彼に本を書いてほしいくらいだ。ここには書ききれないが彼らがいかに子供のために働き方や住まいも変えてきてか。そしてそれが正解であって、4人ともその特徴を生かして大きく羽ばたきつつある。そして学校教育の限界とあらたな教育スタイルの提言にもなっている。

経済的にも、ビジネスの才能にも長けた夫婦だからできたともいえるが、そういう立場にあっても誰もがここまでやっているわけではない。彼らの子供に対する愛といったら陳腐な表現になってしまうが、こんなやり方もあるんだなあと思わされた。

シンガポールで正真正銘のトップの学生

彼女が娘の中国語の家庭教師になってくれる。過去2年、シンガポールの学年トップの学生は2年連続で、私の2つの母校のハイブリッドであるYale-NUSに入っている。シンガポールにあるこのリベラルアーツカレッジは合格率が1%台と世界で最難関の大学である。

この大学のインベストメントクラブの代表の学生が私の教え子。彼は学校一の有名人で、この学校には優れたスキルがある人材しか入れないので彼らを束にして、家庭教師として彼のネットワークで紹介している。彼も経済学がトップの成績なのでシンガポールの高校生に経済学を家庭教師して稼いでいる。ほかに数学やサイエンスやコードライティング等、天才的な能力を持つ同級生をうまく使う。

彼女は小中高からシンガポールで一番。高校から文科省の奨学金をもらい、大学も政府奨学金の中でも最高ランクのもの(1年間で10人もいない)を受給して今の大学に学んでいる。

高校の時にはリー・シェンロン首相の訪問のホスト役として学校に選ばれ、中国語で首相を案内し学校を代表してスピーチを披露。これは相当な名誉なことだ。

サイエンスが得意でAスター(シンガポールの科学技術庁)のサイエンス大賞も獲得している。今大学生だが、小中高はすべてシンガポールの同学年の一番で卒業し、その証拠が同学年で一桁の人間しか獲得できない政府奨学金の受給だ。これをもらった学生の大半は政府に入り、若くして次官や閣僚になる。

その彼女の見た目は子供っぽく、子供が大好きだという。

これから彼女が毎週うちに来て生活態度が乱れまくるわが娘の生活指導もしてくれればいいなあと思う。小さい時から誰に囲まれるかが大事。できるだけ彼女には毎日うちに来てほしい。私の生活態度では娘のモデルにはなれないので、歳の近い彼女になついて学んでほしい。

彼女のレジュメに、

・忍耐力
・積極性
・気さくさ
・共感力
・潔癖さ
・柔軟性
・高いモチベーション

と自己分析が書いてあった。いいではないか! 中国語というよりいい先輩お姉さんをモデルに人生を学んでほしい!

image by: Shutterstock

 

『田村耕太郎の「シンガポール発 アジアを知れば未来が開ける!」』より一部抜粋

著者/田村耕太郎(前参議院議員)
早稲田大学、慶応大学大学院、デューク大学法律大学院、エール大学経済大学院を各修了。シンガポールを拠点に、歯に衣着せぬ鋭い論調で「日本の良い箇所・悪い箇所」を指摘するメルマガは、世界で勝負したいという人必読。
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