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若者のPC離れが深刻化。このままでは将来「貧困」にあえぐ

内閣府などの調査で、日本の若者の多くがパソコンを使えないことが明らかになりました。軍事アナリストの小川和久さんは、メルマガ『NEWSを疑え!』で「パソコンの腕がなければ貧困につながる」との専門家の声を紹介し、今後の対策を提示しています。

日本の若者はPCを使えない!

あまり知られていない日本の悲惨な現状に焦点を当てた記事がありましたので、ご紹介します。

10月16日付け毎日新聞に載った「パソコンが使えない若者、増加」という記事です。「若い世代でパソコンを使えない人が増え、話題になっている。IT企業ですら新入社員使えず困っているケースも。スマートフォン(スマホ)の普及や、親・学校のパソコンへの理解不足、経済的に苦しい家庭が増えていることなどが原因と考えられ、就労のためにも技術習得必要性が高まっている」という書き出しで始まります。

記事のポイントは次のようなものです。該当個所を引用します。

1. 内閣府が今年2月に発表した「青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、スマホを利用している高校生89%に上る一方、ノートパソコン30%デスクトップパソコン16%に過ぎない。

2. 内閣府の別の調査によると、米国の13~17歳のネット利用者のうち、コンピューター活用が98%と携帯電話の64%を上回っている。英国でも12~15歳の92%がパソコンを利用しており、欧米に比べて日本の青少年のパソコン利用率は少ない。

3. 経済協力開発機構(OECD)が今年9月に発表した15歳対象の調査では、欧米では家庭の経済状況と子どもの家庭でのパソコン利用率は差がないところが多いが、日本は経済的に豊かでない家庭では、利用率が下がっている。

学校でのパソコン利用率も調査42カ国のうち、下から2番目。こうした点から、家庭でも学校でもなかなかパソコンを利用できない層がいることが浮き彫りになっている。

記事に登場する民間研究機関の専門家らは次のように危機感を募らせます。

「派遣社員、正社員にかかわらずパソコンのスキルは必要で、パソコンの腕がないのは現代では貧困につながる。人生を豊かにするために技術を身につけてほしい」(東京都立川市で若者の就労支援を行うNPO法人「育て上げネット」の山本賢司理事)

パソコンがない社会で仕事ができないという意味を親が理解せず、子どもにパソコンを与えないことや、学校の授業がせいぜいワードエクセル初歩的な使い方にとどまり、応用的な使い方教えていないことが背景にある」(日経BPイノベーションICT研究所の目次(めつぎ)康男主任研究員)

これを見れば、世界が注目するレベルのハッカーが日本から生まれない理由もわかろうというものです。

それだけではありません。社会問題となっている「子どもの貧困」にもつながる深刻な問題でもあります。

対策としては、「たとえば論文を発表させることで、ワード、エクセル、パワーポイントから、検索の仕方、著作権の問題など総合的にパソコンを使いこなせるようになる授業を提案する」(目次氏)といった取り組みがあるそうです。

自分の場合を振り返ってみても、初めてワープロのキーボードと出会った1985年9月、1週間以内にキーボードを見ないで入力できるブラインドタッチをできるようになろうと、年賀状の季節までに入力する必要があった600人分ほどの住所録の作成に取り組んだことがあります。

不思議なもので、悪戦苦闘の1週間が過ぎてみると、スピードこそ備わっていないものの、ちゃんとブラインドタッチで入力できるようになっているではありませんか。

中学、高校の段階で生徒にパソコンを使わずには済まない作業を与えることが、習熟に直結するのは間違いないところです。その点では、「必要は発明の母」と同じ発想で取り組むとよいのではないかと思います。

image by: Shutterstock

 

NEWSを疑え!』第437号より一部抜粋

著者/小川和久
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。
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