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日本の圧勝に終わった日中韓首脳会談と、茶番に終わる中台首脳会談

先日ソウルで行われた日中韓3カ国首脳会談。中韓の主張は相変わらずのものでしたが、メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では日本の圧勝に終わったと分析、さらに初開催が決まった中台首脳会談は茶番に終わると断言しています。

日中韓3カ国首脳会談と習近平・馬英九会談の思惑

日中首脳会談 経済協力を強化 南沙協議は公表せず

11月1日から韓国のソウルで日中韓3カ国首脳会議が行われました。成果というほどのものもなく、単に顔を合わせただけの感がありましたが、その日程のなかで、安倍総理李克強首相が会談をしました。

例によって、歴史問題を持ちだして中国側は都合のいいことばかり主張し、最後に日中は経済協力を強化することで合意したそうです。

李克強は「中日関係が回り道した原因を日本側はよくわかっていると思う。歴史をかがみに未来に向かう精神に従い、敏感が問題に善処する必要がある」と、日中関係の悪化が日本側にあるかのような言い分です。

南沙諸島問題については、安倍首相は「言うべきことは言った」と発言していますが、その内容については公表されていません。もちろん中国にとって、「南シナに問題などない。あくまで中国の固有の領土だ」というスタンスですから、南シナ問題が話し合われたかどうかについては「ない」というのが建前で、だから公表するはずもないのです。

11月4日、マレーシアでASEAN加盟国と日英中豪などによるASEAN拡大国防相会議が開かれましたが、共同宣言は発表されませんでした。「南シナ海への言及」をめぐって米中が対立したためで、中国にとってはその文言を入れてほしくないわけです。

そして、その問題をめぐりASEAN内でも、中国の肩を持つ国、日米に協力する国に2分しています。

中国が多くの国と経済的なつながりを強く持ち、中国が世界でその存在感を増しているのは確かです。次項のニュース分析で取り上げていますが、韓国などは、中国なしでは国が成り立たなくなっています台湾も同様です。中台は経済的には運命共同体です。

しかし、政治的には距離を置きたいというのが台湾人の本音です。中国寄りの国にしても、経済が衰退する中国から最後の資金を引き出そうとやっ気になっているのです。

来年の総統選挙は90%、国民党が敗れて民進党の蔡英文が当選し、初の女性総統が誕生するとの下馬評です。その現実を直視できないのが中国側と馬英九です。この期に及んで馬英は習近平と会談する予定です。

[参照]中台首脳、分断後初めての会談へ 7日シンガポールで

馬英九は、中国との関係を強調することで自らの国内での評価を高め、さらには民進党とは異なり、国民党には中国とのパイプがあるということを強調したいのでしょう。

中国のほうは、台湾を自陣に取り込みたいと同時に、馬英九ら国民党の援護射撃をしたいとの思惑があるのでしょう。なにしろ、スリランカで反中大統領が誕生したように、このところ反中の動きが各国で広がっているからです。

もっとも馬英九の思惑としては、任期の最後に中国利権に加わりたいと思っている、というのが本音のところでしょう。馬英九以前の国民党と中国共産党の首脳部は一蓮托生の関係でした。

しかし、馬英九は新米だったため、党の長老たちから分前を得られなかったのです。今回の習近平との会談は、その利権の分前をもうためのものなのだというもっぱらの噂なのです。

馬英九は、これまでも必死に媚中行為を繰り返してきました。媚中のあまり、抗日行事も何度も行ってきました。

[参照]馬英九総統、抗日強調も「恨みあおるためではない」/台湾

こうした現実離れした抗日活動には、さすがに台湾人もついていけなかったようです。李登輝は、こうした馬英九の政治能力のなさを何度も嘆き、尖閣諸島の領有権についても何度も日本のものだと主張してきました。

[参照]李登輝氏、陳・馬政権を批判 「次期総統は庶民の問題解決を」/台湾

習近平と馬英九との会談では、お互いに「主席」や「総統」は使わずに、お互い「さん」で呼ぶそうですが、パフォーマンスと、どうでもいいような約束が交わされる茶番劇となりそうです。

南沙諸島では、アメリカがついに行動に出てくれたことで、中国の勢いも多少そがれた感はあります。日中韓台という東アジア諸国のなかで、経済的に中国に頼りすぎ、中国との関係が絶たれたら亡国の運命だという状況ではないのは日本だけです。日本が日米関係を強調できるのも、この強みがあるからです。

習近平は訪米、訪英を果たし、アジアでも忙しく外交を繰り返しています。国内問題そっちのけで外交に勤しんでいるのは、偉大なる中華民族の拡大主義にほかなりません。世界で大風呂敷を広げ、慌てて経済協力を周囲に求める様はじつに滑稽です。莫大な費用をかけて行った抗日軍事パレードも、あまりの時代錯誤さに世界は引きました。皇帝きどりの習近平に、経済援助という餌で釣られた国々が媚びへつらう。おそらく、欧州までをも手にいれた気でいるでしょう。

しかし習近平の側近までも、「いまさらアメリカと喧嘩する必要があるのか」と苦言を呈している状態です。

自らへの不平を抑えるためか、習近平は国内の言論を弾圧し、独裁政治を強化しています。このメルマガでも紹介しましたが、北京で活躍していた人権派弁護士は百人単位で逮捕されただけでなく、彼らの家族も当局に拘束され自由を奪われています。また、ネットでデマを飛ばし社会に悪影響を及ぼせば、懲役刑が課されるといった言論統制もはじめました。

[参照]ネットにデマを書き込むと懲役7年、刑法改正で言論統制強化―中国

時代に逆行するばかりの習近平は、彼自身の政治生命だけでなく、中国の寿命も自ら縮めているとしか思えません。国内に溜まった不満が爆発し中国がバラバラになる日も、そう遠くないかもしれません。韓国や台湾のように中国経済と運命を共にしている国は、それに備えた対策を講じておくほうが利口でしょう。

日本をコケにするつもりで、コケにされた韓国

韓日首脳 韓国のTPP参加時には協力

今度は韓国との首脳会談について取り上げたいと思います。日中韓3カ国首脳会談の日程のなかで行われた日韓の首脳会談では、例によって朴槿恵大統領側が慰安婦問題を執拗に持ちだしました。

[参照]「韓日関係改善の最大の障害物」 蒸し返し続く慰安婦問題 朴大統領みずから袋小路に

予想できたこととはいえ、会談後には共同記者会見も行われず、安倍首相との昼食会もありませんでした。結局、何の成果も打ち出せなかったことを内外に示しただけに終わったといえます。

[参照]共同会見なし、昼食会もなし 慰安婦、産経前ソウル支局長問題…懸案山積、記者質問を回避か 不満表明との見方も

通例では首脳会談後には共同記者会見が行われるものですが、上記の産経新聞によれば、韓国側からの提案があったから中止になったということです。そのうえ、昼食会も韓国側は拒否したともいわれています。ホスト国としては、かなりの非礼ぶりだといえるでしょう。

共同記者会見を行えば慰安婦問題のほかにも、朴大統領への名誉毀損で在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長の問題や、南シナ海での中国の人工島建設問題などで、日本の記者から質問を受ける可能性があり、そのリスクを回避する意味もあったとも報じられています。

朴槿恵大統領は「慰安婦問題の年内解決」を強く主張していましたが、安倍首相からは「年内にこだわらず」と言われてしまいました。韓国にとっては、最重要問題でコケにされた形です。

[参照]<安倍首相>慰安婦問題早期妥結 年内にこだわらず

その一方で、韓国がTPPに参加するときの協力を、ちゃっかり安倍首相に求めていたようです。

韓国はすでに今年のはじめに、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加することを表明しました。一方で、アメリカが主導する(そして現在は日米が主導している)TPPには参加を見送ってきました。

中国に擦り寄っていると言われるゆえんですが、ところが今年の6月中旬に中国の株式大暴落が起こり、中国経済の減速が明らかになると、相当慌てたようです。なにしろ韓国の2014年の対中直接投資は前年比29.8%増で、世界でもっとも対中投資を増やしている国の1つです。ちなみに日本の2014年の対中投資は前年比で38.8%の大幅減です。

2015年1~3月には、韓国は中国に対する投資額で世界1位にもなっています。

[参照]韓国、対中投資で日本を制し世界1位に浮上

中国市場をこれほど頼りにしていたのに、あてが外れたことに韓国は危機感を強めています。しかも中国市場を狙ったのに、逆に中国製品に韓国市場を荒らされる始末です。

[参照]韓国経済が怯える!? …中国製品の「市場侵食」=韓国華字メディア

 そのため、韓国ではいまになって「TPPに入りたい」という大騒ぎが始まっています。

[参照]韓国が逃した、TPP参加の機会…「中韓FTA」に注力したばかりに=韓国華字メディア

今回の日中韓3カ国会議では、中国が中韓会談において「日中韓FTA」を作りたいという考えを述べています。中国も、自分たちが主導するAIIB陣営に日本を引き込みたくて仕方ないのですが、TPPも大筋合意してしまったので、これに脅威を感じているのでしょう。

日中韓FTAを結ぶことで、日本を切り崩していこうというのが中国の魂胆なのでしょうが、今さら日中韓のFTAなど、百害あって一利なしです。

そもそも日中韓3カ国首脳会談は、安倍首相の「おもいやり」で成立したと言っても過言ではありません。

とはいえ、今度は韓国がTPP参加に色目を使い始めているということで、中国も韓国に疑心暗鬼になっているかもしれません。

[参照]「対日共闘」事前打ち合わせ、安倍氏に不快感 李首相が朴槿恵大統領にFTA発効催促か

なにしろ、裏切りは朝鮮半島の特色で、これまでも歴代の中華帝国は、属国であった朝鮮の裏切りに悩まされてきました。清のホンタイジなどは李氏朝鮮を「反復無常」(いつも裏切る)と評していたほどです。近代においても、清から日本、ロシアと事大する相手を次々と変えたために、それが日清戦争や日露戦争の遠因となったことは、本メルマガでも何度かご説明しました。

この会談の直前に、南シナ海へ米軍が軍艦を派遣したことで、米中が緊張状態に入りました。これについても、韓国は非常に曖昧な態度をとっています。両国とも、韓国に対しては大きな不信感を持っていることでしょう。

[参照]韓国が「太平洋の除け者に」 「二股」外交に危機感、焦る自国メディア

それはともかく、結局、今回の日中韓3カ国首脳会談は、中国や韓国が歴史問題で攻めきれず、日本から何も引き出せなかったということで、日本の圧勝だったと思います。

韓国は慰安婦問題の進展が日韓首脳会談の条件だと言い続けてきましたが、結局は継続協議するということだけが決まり、進展は何もないなかで日韓首脳会談が開かれました。要するに、朴槿恵大統領が折れたということです。しかも日韓会談でも大した成果を得られなかった。

一方、安倍首相は「3カ国協力プロセスを正常化できた」と述べました。何も譲歩せずに、日中韓の協力関係が正常化したというのですから、これは安倍首相の一人勝ちでしょう。

[参照]安倍首相「3カ国協力プロセスを正常化できた」 共同記者発表で強調

もはや中国や韓国は経済危機から逃れられる術はなくなっています。そうなると、どうしても日本の力が必要となりますが、一方で国内政治においては反日で人気取りをしなくてはならないというジレンマがあります。

これまでさんざん反日教育をしてきたおかげで、反日の旗を下ろせなくなってしまったのです。そのために韓国などは日本との通貨スワップが終了してしまいました。中国では日本の投資が大幅に減っています。つまり反日を叫ぶほど、彼らの死期が近づくのです。

これからの日本経済はますます良くなると思われます。しかし、中国と韓国はますます沈没していくばかりというのが、世界共通の認識です。

李登輝元総統は台湾で「台湾に安倍首相のような人物がいるか」とハッパをかけました。台湾人は、いまの日本人をとてもうらやんでいるのです。そして、日本が強くなることを望んでいます。

不思議なもので、強くなると恐れられる国もあれば、強くなることを期待される国もあります。日本人が頭が良くて、マナーもいい、自己中心の日本人は少なく思いやりも強い、「ホラ吹きや裏切り」が嫌いだという国民性です。

だからこそ、世界は強い日本を望んでいるのです。

image by: 首相官邸

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黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」より一部抜粋
著者/黄文雄
台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!
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