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【クイズ】ノーベル賞受賞の日本人教授、最初の職業はどれ?

ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智教授。その研究の内容もさることながら、彼の一風変わった経歴も話題になっています。英語塾の講師を務めている由紀さんのメルマガ『世界の人と話そう! やさしい英語ニュース』では、大村教授のことを英語の勉強も交えて、紹介しています。

大村智教授 ノーベル医学生理学賞を受賞

 

やさしいニュース英語QUIZ

Q1 大村さんの大学卒業後の最初の職業は何でしたか。

a.大学の助教授
b. 夜間病院の医者
c. 夜間学校の教師

Q2 エバメクチンの元となるバクテリアを発見したのは、静岡県のどこですか。

a.ゴルフ場
b. サッカー場
c. 富士山

Q3 大村さんは、故郷の韮崎市に寄付をし、何を作りましたか。

a.学校
b. 美術館
c. 病院

TODAY’S NEWS

Satoshi Omura has a unique academic career.
He initially worked as a science teacher at an industrial night high school after graduating from university.
Inspired and motivated by his students, who worked in the daytime and came to school to study earnestly at night,
Omura himself made up his mind to go back to school to study again.
He earned doctoral degrees in pharmacy from the University of Tokyo, and in chemistry from the Tokyo University of Science.

Having worked as a researcher for the Kitasato Institute since 1965, he has devoted his career to biochemical research.
One day when he was collecting soil samples and extracting microbes from a golf course in Shizuoka, he succeeded in finding a type of bacteria, which later became the source of “avermectin”.

He is also known as an art lover. He donated over 200 million yen for construction cost to establish a museum in his hometown Nirasaki in Yamanashi prefecture.
He says in the website of the museum: “I believe good art is not for someone to enjoy individually, but something that should be shared by all people.”

QUIZの答え

Q1  c. 夜間学校の教師

Q2  a. ゴルフ場

Q3     b. 美術館

ニュース概要

大村智さんの経歴は一風変わっている。まず、大学卒業後の彼の最初の職業は、夜間高校の理科の教師だった。この夜間学校で必死に勉強する生徒達の姿に、大きな感銘と刺激を受け、彼は大学院に入って学び直すことを決意したという。

後に東大で薬学、東京理科大で理学の博士号を取得している。1965年から北里研究所にて微生物の研究を開始。静岡のゴルフ場で土を採集していた時、エヴァメクチンの元となるバクテリアを発見した。

美術愛好家としても知られている彼は、2億円以上を故郷の韮崎市に寄付し、美術館を建設。「美術は私個人が楽しむものではなく、皆さんと一緒に楽しむべきもの」と、自身の建てた美術館のホームページで述べている。

編集後記

私自身が、現在は塾講師、数年前まで高校教師だったため、今回の大村さんのエピソードで、非常に共感できる所がありました。それは、“Inspired and motivated by his students, …”(生徒さんに感銘と刺激を受けて)というところです。

私は大学卒業後、ある私立高校に英語教師として就職したのですが、第1日目に事務長先生が全職員に向けて語ったスピーチが、今でも強烈すぎて忘れられません。それは、「無能な教師は、教科書を使わなければ授業ができない。有能な教師は、生徒から学ぶ。」という言葉でした。

私は「この言葉はすごい!! この先生は、生徒さんに対して尊敬の心を持ち、向上心に燃え、腰が低く、何てすごい人なんだろう!!」と、胸が熱くなりました。

ところが、実際に学校生活がスタートし、自分が授業をするようになると、1週間で気づきました。「なんだ。あの事務長先生の言葉は、常識じゃん。」と。

もちろん、この常識すぎて教師なら誰でも分かる至極当たり前な真理を、誰にでもわかりやすいインパクトある表現で言語化できる彼は、やはり実力ある人と思うのですが、私自身が教師になってみてわかったのは、何が一番自分を成長させる要因かというと、やはり生徒さんの力だということです。

職員室にいる同僚や先輩の先生方、教科書や本、学校ドラマなど(笑)で勉強したことも、確かに助けてくれますが、生徒さんをじっと観察し、彼らから学んで真似ることが、教師としての自分の実力を上げるために、最も役立つのです。

例えば、自分が顧問をしている部活動のキャプテンや、担任しているクラスの学級委員の生徒さんが、うまく話し合いをまとめている姿を見かけると、自分もよくテクニックを真似していましたね。

また、教師生活をしていると、ときどき、すごい優等生に出会うことがあります。
お恥ずかしい話ですが、教師になる前の私は「優等生なんて、自慢ばかりして嫌味で、イヤなヤツ!」という先入観を、心のどこかで持っていました(笑)。

ところが、本当の優等生は、そんな存在ではないということが、教師になってから初めてわかったのです。

今まで自分が思っていた「感じの悪い嫌味な優等生」というのは、ただの二流にすぎなかったのです。世の中には一流や超一流の優等生が本当に存在するのです。

私自身は、学生時代は優等生ではなかったので、「優等生になるためには、どんなコツがあるのだろう!?」と興味津々で、まずは形だけでも真似てみようと、彼らをじっくり観察しはじめました。

彼らの特徴は・・・

1. 自分の能力が高いことを、周りにアピールしない。自分は一歩下がって、他者を立てる。

2.ギャルやヤンキー、授業中に私語の多い(うるさい)生徒に対して、嫌悪感を出さず、好意的に接する。そのため、彼らからも好かれる。

3.勉強の苦手な子に、優しく勉強を教えてあげる。そのため「すご~い」と彼らから尊敬されるが、「そんなことないよ。自分も最初はできなかったけれど、少し勉強したらできるようになった。みんなもすぐできるよ!」とサラっと言う。そのため、もっと尊敬される。

4.先生や両親に感謝と尊敬の気持ちを持ち、それを言葉に出して伝えている。

5.「自分以外のすべての人が、自分より優れている」という前提で行動するので、出会う人すべてから何かを学ぼうとする

このうち、4と5は特に大切なポイントではないかと思います。

新約聖書のローマ人への手紙第12章10節に、こう書いてあります。「兄弟愛をもって心から互いに愛し合い、尊敬をもって互いに人を自分よりまさっていると思いなさい。」
Be devoted to one another in love. Honor one another above yourselves.
この一節を読んだ時、誰に対しても「人は自分より優っている」という前提で接している、何人かの優等生の顔が、私の脳裏に浮かびました。

そして、有名人にも、こういうタイプの代表的な人がいます。テニス選手のシャラポワさんです。
彼女は、自分よりランキングが下の選手に「私の悪い点はどこですか? 教えて下さい!」と頭を下げて、熱心にアドバイスを求めに行くそうです。

ただ勉強ができればよい、テストや試合で結果を残せばよい、のではなく、まず、彼らのこのmindsetを見習うところからはじめようと思います。

長い話になりましたが、いったい何が言いたいのかというと、大村智さんが夜間学校で教えていた頃、昼間は働き、疲れたヘトヘトの体を引きずって夜は学校に来て、熱心に勉強している若い教え子達を見て、「この子達に負けられない。もう一度、大学院に入り直して勉強しよう!」と決意したというエピソード……。
教師をしていると、生徒さんに突き動かされて、大成長することがある、ということ。

ノーベル賞受賞者の大村さんの足元にも及びませんが、私は同じ教師として、大村さんの決意に大きく共感します。

大村さんの教師魂を、自分の糧にしたいと思います。

image by: Shutterstock

 

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