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【訪米間近】安倍総理がアメリカを一日で味方にできる議会演説を考えてみた。

安倍総理が4月下旬から行う米国訪問で、日本の首相としては初となる上下両院合同会議で演説することとなりました。戦後70年の節目となる極めて重要な演説ですが、メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では、絶対してはいけない演説と理想的な演説の二つを掲載していましたよ。

【安倍総理必読】アメリカを一日で味方にする議会演説のやり方

安倍総理は29日、アメリカ連邦議会の上下両院合同会議で演説される。

今回は、この演説で、アメリカをがっちり味方にする方法を考えてみましょう。

▼犯しがちな間違い

まず、演説で犯しがちな間違いについて書いておきます。

【間違い1】日本の実績、安倍内閣の実績を延々と話してしまう

セールスマンの商品説明でもそうですが、「自分が優れていること」を伝えることは大事です。しかし 、あんまり延々とやると、アメリカの議員さんたちは「うんざり」することでしょう。自慢話は、ほどほどにしましょう。

では、何をするの?

皆さん、台湾のことが好きですね?

なぜですか?

台湾が、自慢話をしたことを聞いたことがありますか?

私はありません。

しかし、台湾はいつも、「私たちは日本が大好きです」といいます。それだけで、日本は台湾のことが 好きなのです。だから、安倍総理は、自分の実績自慢はそこそこにして、「私は、アメリカを尊敬している!」「私は 、アメリカが大好きだ!」「私は、アメリカの味方だ!」「アメリカはすごい国だ、人類の希望だ!」などと繰り返すべきです。

そうすれば、「右翼」「歴史修正主義者」などと呼ばれなくなるでしょう。

【間違い2】中国、韓国の悪口をいってしまう

自分の自慢話をするのと同様、中国と韓国の悪口をいうのも感心できません。演説の中で、中国や韓国 を名指しして批判することは絶対避けるべきです。

なぜかというと、アメリカの議員さんの中には、中国、韓国からたっぷり金をもらい、中韓の利益のた めに動いている人がいる。中韓を名指しで批判した途端、反発が強まり、安倍バッシングがはじまりま す。

【間違い3】歴史問題で弁明してしまう

これもありがちな間違いなのですが、中韓の反日プロパガンダに議会演説で対抗してしまう。

議会演説で説得力のある証拠を提示することは不可能。それで、総理が何をいおうと、すべて「醜い言い訳」ととられます。

歴史問題には触れることなく、できれば記者会見なども開かない方がよいでしょう。何か聞かれたら、「日本は第2次大戦について非常に強く反省している。日本はその反省の上に、70年間平和を維持してきた。今後も、日本が他国を侵略することなどありえない」などと、日本にもアメリカにも、中韓にもいいようにうまくいうべきです。

さて、ありがちな間違いを知ったところで、演説草案を考えてみましょう。

>>次ページ 安倍首相が米国で話すべきこと

▼安倍総理、米議会演説草案

演題 「アメリカ合衆国の歴史的使命、日本の役割」

「世界でもっとも影響力のあるアメリカ合衆国連邦議会で、スピーチする機会を与えてくださったこと、心から感謝申し上げます。

私はスピーチの題を、「アメリカ合衆国の歴史的使命、日本の役割」としました。「歴史修正主義者」と揶揄される、安倍の「歴史観」はどのようなものでしょうか?

是非、熱心にお聴きくださり、間違いがあれば、「ご修正」いただきたいと思います。

今日この場で、私は三つのことをお話しします。

一つ目は、アメリカ合衆国の「歴史的使命」について。

私がいうまでもなく、アメリカ合衆国は「崇高な理想」を掲げて建国されました。1776年7月4日のアメリカ独立宣言には、こうあります。

われわれは、以下の事実を自明のことと信じる。すなわち、すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられているということ

この宣言と、それにつづくアメリカ合衆国の独立は、世界史における「大革命」でした。アメリカは、「虐殺」「奴隷」「植民地」が当たり前だった当時の世界に、「大いなる希望」を与えたのです。

もちろん、すべての「理想」がそうであるように、それがすぐ実現することはありませんでした。しかし、アメリカは着実に理想にむかっていったのです。1862年9月に「奴隷解放宣言」をしたリンカーン大統領は、いまだに全人類の「英雄」であります。

そして、アメリカ建国の理想は20世紀半ば以降、全世界にひろがっていくことになります。かつて世界中にあった植民地は、消滅しました。今では、「アメリカ建国の理想」は、世界で「普遍的価値」とよばれるようになっています。

世界にはいろいろな価値観の人がいます。しかし、「自由」「平等」「人権」「民主主義」などを否定できる人は、ほとんど、あるいはまったくいないのです。

なぜ、私はこのような話をするのでしょうか?

ここにおられる議員の皆さんが、「アメリカ建国の理想をひきつぐ人々」であるからです。そう、私は、アメリカ合衆国の使命は、「普遍的な価値をひろげ、全世界に繁栄と幸福をもたらすことである」と信じているのです。

はたして私は、「歴史修正主義者」でしょうか?

私がお話したいことの二つ目は、「世界の現状」についてです。

第2次大戦が終わった1945年以降、世界は「冷戦時代」に突入しました。政治的には民主主義、経済的には資本主義のアメリカ合衆国。そして、政治的には共産党の独裁、経済的には社会主義計画経済のソ連。

この二つが、覇権をかけて世界中で戦ったのです。

そして1991年12月、ソ連が崩壊し、「冷戦」は終結しました。アメリカは唯一の超大国になり、世界は楽観的ムードにつつまれました。

フランシス・フクヤマ氏が「歴史の終わり」を発表。そして、「普遍的価値」にもとづく「リベラル民主主義」が世界にひろがり「歴史は終わる」。多くの人がそう信じていました。

実際、90年代、世界は比較的平和でした。

アメリカ発IT革命により、世界の人々の人生は一変しました。世界は平和になり、一つになり、すべての人が自由、平等を享受できる時代がくると思われたのです。

しかし、その希望は、新世紀に入ってなくなりました。明るいはずの未来は、2001年9.11の「アメリカ同時多発テロ」によって打ち砕かれたのです。

私は今も、飛行機がツインタワーに突っ込んでいくあの映像を忘れることができません。そして、毎年9月11日になると、テロの犠牲者と残されたご家族のことを思い、泣きたい気持ちを抑えながら祈りをささげるのです。

>>次ページ 米国との関係で日本が果たすべき役割とは

世界は、90年代の平和な時代から一転し、戦争の時代に突入しました。

01年からはアフガニスタンで、03年からはイラクで、11年にはリビア、そして現在は「イスラム国」と。

1990年代はじめ、「アメリカ建国の理想」である「普遍的価値」は全世界にひろがっていくかに見えました。しかし、今は、「虐殺」「人権侵害」「国際法軽視」など、まったく正反対の勢力が力を増しています。

なぜ、私はこのような話をしているのでしょうか?

私は、そして日本国民は、世界に普遍的価値をひろげる主体であるアメリカを応援しているのです。アメリカが強くあることが、日本にとっても世界にとっても『よいこと』であると信じているのです。

ここまで私は、「アメリカには歴史的使命がある」というお話をしてきました。三つ目、最後に私は、「日本の役割」についてお話させていただきます。

第2次大戦で日本は、連合軍に敗北しました。「連合軍」とはいいますが、日本軍と戦ったのは、ほとんどアメリカ軍でした。それが原因で、冷戦時代、日本は共産主義のソ連や中国ではなく、民主主義・資本主義のアメリカ側にいることができたのです。

これは、今振り返ると、非常に幸運なことでした。なぜなら、アメリカ側陣営とソ連陣営は、時とともに「明暗」がはっきりしてきたからです。

たとえば、同じ民族でもアメリカ側の「西ドイツ」とソ連側の「東ドイツ」。あるいは、アメリカ側の「韓国」とソ連側の「北朝鮮」で、その差は歴然でした。

日本が戦後大繁栄したのは、もちろんわが国の民が必死で働いたこともありますが、「アメリカ側についたこと」が最大の理由の一つだったのです。

1954年生まれの私は、「自由」「平等」「人権」「民主主義」が、空気のごとく自然に存在する国で育ちました。

もし、ソ連側に組み込まれていたとすれば、日本は、「言論の自由がない」「経済的に貧しい」「政権を批判するものは、殺されるか投獄される」国であったことでしょう。

「日本の戦後の繁栄」。このことで、私はアメリカの皆さまに、心から感謝申し上げます。

さて、さきほど私は、『日本国民は、世界に普遍的価値をひろげる主体であるアメリカを応援している。アメリカが強くあることが、日本にとっても世界にとっても『よいこと』であると信じている』といいました。

そして、日本は、アメリカが世界一強力な国であるよう、実際的にサポートしようと固く決意しています。

一つは、財政的側面です。

2015年1月の時点で、米国債保有高世界一は中国で、1兆2391億ドルです。2位はわが国日本で、1兆2386億ドルで、その差はわずか5億ドルに過ぎません。

しかも、中国の保有高は、一貫して減っているに対し日本の保有高は、増加しつづけています。さらに、中国の人口は、日本の11倍であることも指摘しておく必要があるでしょう。

つまり、「一人当たり」の米国債保有高で、日本は中国の「約11倍」であるのです。

もう一つは、「安全保証面」のサポートです。戦後70年間、日本は平和な時代を享受してきました。その唯一の理由は、覇権国家アメリカと、「軍事同盟」関係にあることです。

このことで、私と日本国民は、アメリカ合衆国に心から感謝申しあげます。皆さんご存知のように、「日米安保」は「片務条約」です。つまり、日本が他国から攻撃されたとき、アメリカは日本を守る義務がある。

しかし、アメリカが他国から攻撃されたとき、日本はアメリカを守ってはいけないのです。

これは、とてもおかしな関係です。

>>次ページ 有事の際には日本がアメリカを守るべき

そして、アメリカにとってはとても「不利」であり、日本にとっては、とても「有利」です。しかし私たちは、「このままアメリカに甘えていてはいけない」と思っています。

つまり、「有事の際には、日本もアメリカを守りたい」と切望しているのです。それで、私は、「集団的自衛権行使」を認め、「安保関連法案」を成立させようと、懸命に働いております。

そのことで、私のことを「軍国主義者」と批判する人がいます。しかし、「日米安保をより強化し、アメリカが日本を守るだけでなく、日本がアメリカを守るようにする」。これのどこが「軍国主義」なのでしょうか?

そう批判する人には、「日米関係を破壊したい」という意図があるに違いありません。私たちは、口先の応援だけではなく、実際にアメリカへのサポートを強化できるよう、真剣な取り組みをつづけています。

アメリカの使命は、「普遍的価値をひろげ世界に繁栄と幸福をもたらすことだ」といいました。そして、「日本の役割」は、「普遍的価値を世界にひろげ、世界に繁栄と幸福をもたらすアメリカを、財政面、安保面で強力に支援することだ」と私は考えているのです。

これで私は、言いたかった三つのことをお話しました。

このスピーチを終えるにあたり、アメリカとアメリカ国民の皆さんに心から感謝申し上げたいと思います。

2011年の3月11日、日本は、空前の巨大地震と津波に襲われました。そして、福島原発事故が起こり、日本はまさに打ちのめされ、立ち上がれない状態にありました。

そんな中、真っ先に応援にかけつけてくれたのが、アメリカの皆さんでした。日本国民は、誰一人としてアメリカ軍による「トモダチ作戦」のことを忘れていません。そして、ずっと以前からすきだったアメリカことが、ますます好きになったのです。私たち日本人は、「アメリカに恩を返そう」という決意しています。

最後に、この場にいる議員の皆さん、そして、全アメリカ国民におぼえておいて欲しい言葉を述べます。

日本は、アメリカの味方です。

いついかなるときも。

アメリカに神の祝福がありますように。

ご清聴感謝申し上げます。>

こんな感じでいかがでしょうか?

「これは使える!」と思われた方。

是非、安倍総理にも教えてあげてください。

(写真:Wikipedia)

『ロシア政治経済ジャーナル』

著者/北野幸伯
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