「三つ子の魂百まで」って脳科学的にはどうなの?

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日本では「三つ子の魂百まで」という言葉が古くからあります。でもこれって単なる迷信なのでしょうか? 秋田心理カウンセリング精神療法相談室の佐藤正篤氏が発行するメルマガ「脳科学と心理カウンセリング」では、このことわざが脳科学的に検証されていると伝えています。

人間の感受性や思考力はシナプスの出会いによって形成される

「幼児期の親からの接し方の重要性」ということについて、「から言われてきた子育ての話」ではなく、最先端の脳科学で明らかになってきたことについてお話します。

脳の神経細胞というものは、海洋生物のヒトデのような星型の形をした「ニューロン」と呼ばれるものが中心にあります。そこから、放射状に四方八方に延びている、「樹状突起(じゅじょうとっき)」と呼ばれるものによって、脳の神経細胞というものが形成されています。その姿は、医学情報の雑誌などで何回か見たことがある方もいるのではないでしょうか。

この星型の樹状突起の先に、様々な脳神経細胞から信号を伝達し行く「シナプス」と呼ばれる細い触手が大変沢山伸びています。

「シナプス」がいろいろと動いているうちに、他の神経細胞から出て来ていた「シナプス」と出会って、ある種の伝達信号を送るルートを構築して行きます。

この「シナプスとシナプスとの出会い」というものが、私達の「感受性」や「思考力」として認識される新たな神経伝達ルートを構築するんですね。それによって「感受性が豊か」になったり、「思考力が豊か」になって行くために、脳の中での伝達回路を構築して行っているわけです。

つまりシナプスは、「感受性」や「思考力」を将来育んでいくための前提条件を作るのにとても重要な役割を持つのです。ではその「シナプス」が脳の中で、最も広く広範囲に活発に活動している時が、いつ頃であるか? ということが、最近の脳科学で明らかになってきています。

それは何歳の頃か?

なんと、「1歳から3歳にかけての頃」なんです。つまり、1歳から3歳にかけての頃というのが、人の一生の全体を見回してみても、「脳の中での、シナプスの密度が最も高い時期」なんです。

「あらゆる可能性」や「あらゆる感受性」や「あらゆる思考力」などを育んで行く上で、人生の脳の発達の中でも最も重要な時期は1歳から3歳までである、ということがシナプスの分布状態の解明により、脳科学的に証明されて来ているのです。

この時期の脳内シナプスの数は「成人の約2倍ある」とも言われ、また「成人では、1歳児の60%程度に低下する」ことが最新の脳科学の分野で検証されてきています。

あらゆる感受性に反応するシナプスは、1歳前後が人生の中でもピークです。その後ニューロンなどの神経細胞などは増えて行きますが、生後から1年の間に脳の中にいっぱいに細かく張り巡らされた「シナプス」は減少して行きます。

この「シナプスが1歳以降に減少して行くこと」を「シナプスの刈り込み」とも呼ばれます。なぜ、生後から1歳までの間にあらゆる感受性の触手でもあるシナプスが刈り込みされて行くのでしょうか?

みなさんは、どう思われますか? お子さんを育てた経験のある人なら、乳幼児は2歳前後になると、一気に「言葉を話し始める」のを体験しますね。

この2歳前までに、いろんな外国語を話す人が身近にいれば、複数の言語を話せる「バイリンガル」になっていくことも知られています。

次回は「言葉を話す」ことが「シナプス」とどう関係するのか書いてみようと思います。

脳科学と心理カウンセリングより一部抜粋

著者:佐藤 正篤
カウンセリング・ルーム「秋田心理カウンセリング精神療法相談室」主宰。アメリカなどでの最新の脳科学の研究成果を元に、これまでの日本での心理カウンセリングのあり方を根本的に問い直す研究をしている。

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