いじめ自殺事件の起こった学校の様子などをテレビで見ると、全校集会を開き、校長が壇上で涙を流し、生徒全員が黙とうをささげています。見る側もそれで解決したような気持ちになってしまいますが、無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』では、なかなか表にならないいじめ自殺事件のその後と、加害者生徒の人権について問題提起しています。
加害児童への指導は?
名古屋市で中学1年の男子生徒が「いじめを受けた」と遺書に書いて自殺してから1カ月となるのを受け、遺族が公表したコメントが記事になっていました。
その中でとても気になる言葉がありました。それは、「誰一人『いじめ』をしましたと言ってくれる人はいません」という言葉です。
この1カ月の間、学校・教育委員会などの対応に関する記事がいくつもありました。しかし、その中で、加害生徒に対する指導については、なにも触れていませんでした。この学校でも、1カ月たったその日に全校集会を行い、約一分間の黙とうをささげた後、校長が両親から寄せられたメッセージを代読し、その死を悼みました。しかし、いまだ謝罪に現れる加害生徒はいないのです。
学校に対して、加害生徒に対する指導をお願いすると、「加害生徒にも人権がありますから」と言って、指導に前向きではないことがあります。指導しない言い訳に「人権」という言葉を使っているのです。
この世の中で、罪を犯した人に対して、人権があるからと言って、何もせずに許してはいません。犯した罪は償わなければならないはずです。学校が教育現場であるならば、「人権は大事です。しかし、罪を犯してしまったなら、自分の行為を反省し、罪は償わなければならないのです」と教えるべきです。これが、本来の姿ではないでしょうか。
文部科学省のいじめの調査によると、先生が加害生徒を指導した割合が、全体の7割弱です。何も指導せず放置しているケースが3割もあるのです。また、被害生徒に対する謝罪に関しては、3割程度にとどまっています。指導の内容が明確ではないのですが、謝罪が3割にとどまっている事実をみれば、その指導内容も本人を反省させるところまでいっているかは疑問に感じます。
私たちのところへ相談があった場合、保護者の皆さんへのアドバイスとして、学校へ謝罪を要望することを挙げています。謝罪には、反省と再発防止に効果があるからです。中には形ばかりの謝罪もあるのですが、被害者に対してきちんと謝罪することは、抑止効果にはなります。
生徒を反省させ、謝罪にまで導くには、力が要ります。しかし、これをしないことには、いじめが肯定されたことになりかねません。いじめという罪を犯したが、反省もせず、謝罪もせず、罪を償わないのであるならば、いじめが悪いことだと認識させることは出来ないでしょう。
いじめは、いじめをする人がいるから起こるのです。そうであるならば、いじめをした人を反省させ、罪を償わせることが、いじめ防止の大きな手段となるはずです。このわかりきった対応をしてこなかったことが、今のいじめ問題の要因にもなっていると思います。
私たちもこの事を強く訴え、学校としてあるべき姿を取り戻していただくべく、活動を続けてまいりたいと思います。
いじめから子供を守ろう ネットワーク事務長 丸山秀和
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『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』
「いじめ」と学校の「いじめ隠ぺい」から、子供たちを救うための、父母によるネットワークです。いじめの実態やいじめ発見法、いじめ撃退法、学校との交渉法、いじめ相談などを掲載します。
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