遺伝子組み換えで地球温暖化の「元凶」をほぼゼロに抑えた稲、開発

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地球温暖化が火急の問題となっている中、その原因である「メタン」の発生量が抑制された「遺伝子組み換え稲」が開発されました。そこに至るまでの経緯とこれからについて、静岡県立大学グローバル地域センター特任助教の西恭之さんが、メルマガ『NEWSを疑え!』誌上で詳しく解説しています。

遺伝子組換え作物で温室効果ガスを抑制

地球温暖化の元凶とされるメタンの発生を、遺伝子組換えによってほぼゼロに抑え込むことに成功した稲開発され、世界的な注目を集めている。

学術誌『ネイチャー』7月30日号は、中国・福建省農業科学院、スウェーデン農業科学大学、中国・湖南農業大学、米エネルギー省パシフィック・ノースウエスト国立研究所に所属する生物学者のチームによる論文「オオムギの転写因子SUSIBA2の発現によるイネのデンプン増加とメタン発生減少」を掲載した。[1]

1750年以後の地球温暖化の20パーセントは、二酸化炭素の30倍以上強力な温暖化ガスであるメタンの効果だが、大気中メタンの7-17パーセントは水田から発生している。水田の泥の中は酸素が乏しいうえに、イネの根から有機化合物が染み出ているので、メタン菌がメタンを合成するのに適しているからだ。

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中国雲南省の水田(1999年)[2]

2030年代以後も人口が増え続けるとみられる南アジアなどの国々は水田耕作が盛んなので、地球温暖化を抑制するためには、水稲の収量増加とメタン排出削減を両立させることも急がれる。

論文の著者12人のうち、主要な共著者の3人を含む10人は中国人で、その点からも関心が集まっている。

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