「紹介状なし」は5000円負担に…患者はどう病院を選べばいいの?

2016.01.14
by Mocosuku
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厚生労働省が、2016年4月から、「紹介状なし」で大病院を受診した場合、患者が5000円以上を追加料金として支払う仕組みを導入する方針を固めました。追加負担の対象として検討されているのは、大学病院や公立病院、赤十字病院など、ベッド数が500床以上の全国約250ヶ所の大規模な病院で、救急で受診した場合や、近くに診療所がない地方の患者などは追加負担の対象外になるとのことです。

大病院への患者の集中が問題

厚労省がこうした仕組みを導入する目的としては、軽症の患者には身近な診療所などの「かかりつけ医」の受診を促し、大病院が重症患者や専門的な医療を必要とする患者の診療に集中できるようにすることや、勤務医の負担を軽減することなどがあげられています。

これまでも、医師不足などによる勤務医の過重労働はたびたび問題となっていますが、患者が集中する大病院などでは、医師の数に対する患者数が多すぎて、待合室がパンク寸前となっているようなケースもみられます。このように大病院に患者が殺到することは、医師の側だけでなく、症状が重い人がなかなか診察を受けられなかったり、診察や会計までの待ち時間があまりにも長く、病院の受診が1日がかりの仕事になってしまうなど、患者側にとっても多くの弊害があります。

すでに、大病院への患者の集中を緩和するための仕組みとしては、ベッド数200床以上の「地域医療支援病院」を紹介状を持たずに受診すると、病院側が追加料金を徴収できるという制度が実施されています。しかし、この制度では、追加料金の金額は病院ごとに決めていいことになっているため、病院が設定する金額や、追加料金の徴収の有無にばらつきが生じていました。そのため、今回の仕組みでは、対象となる病院を絞った上で金額を引き上げ、支払いの義務化が決められたとのことです。

「かかりつけ医」の必要性

こうした制度の実施によって、大病院への患者の集中が緩和されれば、医師・患者の双方にとって喜ばしいことといえますが、その際に私たち病院を受診する側にとって必要なのは、信頼できる「かかりつけ医」の存在です。病気やケガをしたときは誰もが不安になり、信頼できそうな大きな病院を受診したいと思うのが人情ですが、日ごろから自分の病歴や健康状態を把握してくれている「かかりつけ医」が身近にいれば、こうした患者の不安は軽減します。また、患者と「かかりつけ医」の間に信頼関係ができていれば、患者の側も症状に対する不安を率直に医師に語ることができ、症状によって適切な大病院を紹介してもらうことも可能となるのです。

また、自分の住む地域でこうした「かかりつけ医」を見つけておくことが重要ですが、そもそもあまり病院の選択肢がない地域も存在します。医師不足や医療費の増大が問題となっている現在においては、できるだけ「病院に行かなくてすむ」ための健康管理を自分で行ったり、地域ぐるみで運動習慣の見直しや病気・ケガを防ぐ取り組みを実施しつつ、患者自身が賢く医療を選択しなければならないのかもしれません。

<参考>
紹介状なく大病院受診、追加で5千円以上支払い 読売新聞
医療費が異なる? 地域医療支援病院 のメリットとは? Mocosuku
勤務医の過重労働:酷使される勤務医の実態と、その解消策 ハフィントンポスト

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記事提供:Mocosuku

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