蜜月関係が続くかのように思われていた中韓ですが、ここに来て「中国は韓国を見放した」と説くのはメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』著者の黄さん。なぜ? そしてこれまで中国重視外交を展開してきた韓国はこの先、どうなってしまうのでしょうか。記事中、鋭い分析がなされています。
【中国・韓国】北朝鮮「水爆」問題で、いよいよ中国に見放された韓国
●「水爆」実験:韓国、「史上最高の関係」だった中国からホットライン断たれる
正月早々、中東でサウジアラビアとイランが断交しましたが、今度は1月6日に北朝鮮が「水爆実験」を行ったと発表しました。これに対して、アメリカはB52を朝鮮半島に派遣し、上空を低空飛行させました。
しかし、これが中国は気に入らなかったようで、昨年12月31日に中韓両国の国防担当省が開通させたホットラインを中国側は断ってしまったようです。両国の防衛担当大臣は、いまだに話ができていない状態だといいます。
ここ数年、中国は北朝鮮に対して厳しい姿勢を見せていましたが、南シナ海をめぐる米中の対立が激化し、さらに昨年日本で安保法案が可決したこともあり、再び北朝鮮側につき始めているようです。
一方、韓国は昨年10月の訪米時に、朴槿恵大統領がオバマ大統領から「中国にもものを言え」と言われ、さらにはアメリカの圧力があったこともあって、日韓の慰安婦合意をせざるを得ませんでした。
この慰安婦に関する日韓合意では、日本の保守系からも「大いに不満だ」という声が上がっています。すでに日韓基本条約で解決済みであることはいうまでもありません。
一方で、韓国でも「白紙撤回せよ」という声が上がっています。これに対して韓国政府は、「合意を受け入れず、白紙に戻せというなら、政府には元慰安婦の存命中にこれ以上何もする余地がないということをわかってほしい」と述べています。
昨年10月に米韓首脳会談の直前、アメリカではラッセル国務次官補やリッパート駐韓アメリカ大使などが異例の会見を開いて「日本と韓国の関係こそ重要だ」と語り、朴槿恵大統領に対して、暗に「歴史問題を持ちだして日本批判するな」と釘を指しました。
● アメリカの高官、韓国に日韓関係の改善を促す しかし韓国メディアが報じたのは…
そのような経緯があるだけに、韓国としても日本側の提案する合意案を飲まざるを得なかったのでしょう。この問題で追い詰められているのは、むしろ韓国側だったということです。
一方、韓国と共同して日本批判を行い、さらにはアメリカも巻き込んで日米韓の同盟関係を絶とうとしていた中国は、悔しさをにじませています。昨年12月29日付の人民日報傘下の環球時報は1面トップで、日韓が慰安婦問題で合意に達したことを「意外だ」と伝え、さらに「アメリカが裏でいろいろ動いた結果だ。日本は韓国に譲歩したように見えるが、侵略戦争を本気で反省したわけではない」という識者コメントを掲載したそうです。
離間工作に失敗した中国は、利用価値の無くなった韓国に対して、三行半をつきつけたというのが、現在の状況なのでしょう。
しかし、そうなると哀れなのは韓国です。さんざん中国に傾斜し続けてきたツケが完全に出始めました。中国経済はボロボロで、上海株は連日の大幅安が続き、韓国の輸出の25%を占める対中貿易にも暗雲が立ち込めはじめました。
ついには朝鮮日報の社説にも「朴槿恵政権の中国重視外交のツケ、誰が責任を取るのか」といった記事が出るようになりました。
●【社説】朴槿恵政権の中国重視外交のツケ、誰が責任を取るのか
これまで「必要ない」と片意地を張ってきた日韓通貨スワップについても、昨年から韓国の経済界がその必要性を訴えはじめ、ついには次期韓国経済副首相までもが、「日本との通貨スワップ再開を考慮している」と発言しました。これまで韓国は中国との通貨スワップを拡大してきましたが、これも本当に頼れるのかどうかという疑心暗鬼に陥っているからでしょう。
韓国政府はこれまで、過去最高の外貨準備高があるということで、通貨危機に再び陥ることはないと説明してきました。しかし、韓国経済研究院は1月11日、危機対応には797億ドルが不足しているという分析を発表しました。
● 韓国の外貨準備高、危機対応には797億ドル不足=韓国経済研究院
韓国のマスメディアは従北派が牛耳っており、そのメディアに操られて中国への「事大」が強化されてきたという背景があります。そしてその工作活動により、中国に傾斜してきたという背景もあります。
そうした工作活動が功を奏して日本への敵視、中国への「事大一心」が強調されてきた側面もあります。そのためにAIIBの参加とTPPへの不参加をもたらしましたが、そうした判断はつねに裏目、裏目に出ています。
韓国は真綿で首を締められるように、徐々に厳しい状態になりつつあります。今週末には台湾で総統選挙が行われますが、その結果次第では、アジア各国の対中政策は大きく転換する可能性もあります。
この1週間は、アジア情勢を注視する必要があります。
image by: Wikimedia Commons
『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より一部抜粋
著者/黄文雄
台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!
<<無料サンプルはこちら>>