ドイツが中国を見捨てはじめた
ドイツ在住の作家・川口マーン惠美先生が、ドイツ国内の報道が変わってきたことについて、とても興味深い記事を書いておられます。
● ドイツがついに中国を見捨てた!? 激変したメディア報道が伝える独中「蜜月時代の終焉」 現代ビジネス 1月15日(金)7時1分配信
題名から面白いですね。
川口先生は、まず、「ドイツは、最近までメチャクチャ親中だった」ことを書かれています。
去年の半ばぐらいまで、ドイツメディアはとにかく中国贔屓で、聞こえてくるのは中国経済が力強く伸びていく話ばかりだった。
「中国はあれも買ってくれる、これも買ってくれる」
「それも1,000個ではなく10万個」
といった竜宮城のような話だ。日本で報道される中国の姿とのあまりの差に、私はしばしばビックリし、どちらが本当だろうかと考え込むことさえあった。
まあ、ドイツだけじゃないですね。かつての覇権国家イギリスだって、中国の金で「転んだ」のですから。
いったい、ドイツと中国はいつから仲よくなったのでしょうか?
中国詣でを熱心にやり始めたのはシュレーダー前首相で、10年以上も前のことだが、その後を継いだメルケル首相は、最初の2年ほどはダライ・ラマに会うなどして中国側の機嫌を損ねたものの、それ以後はシュレーダー首相を超えるほどの蜜月外交に徹し始めた。
(同上)
シュレーダーさんのことは、既に触れました。彼は、ロシアとの関係も非常に重視し、フランスと共に「多極主義陣営」構築に尽力した人です。
毎年、大勢の財界のボス達を伴って北京を訪問しては、自動車を売り、エアバスを売り、ヨーロッパでは放棄した超高速鉄道も売って、「中国はドイツにとってアジアで一番重要な国」と言った。
主要国サミットのニュースで聞いた、「アジアの代表は日本ではなく中国ではないか」というアナウンサーの言葉を、私は忘れることができない。
(同上)
これが、ドイツの正直な感覚だったのでしょう。
当然のことながらドイツでは、中国に進出しなければ時流に乗り遅れるという機運が熱病のように蔓延し、産業界はずっと前のめりの姿勢が続いた。
そしてメディアが、それらをサクセスストーリーとして報道し、同時に、中国と仲良くできない日本を皮肉った。
(同上)
ま、結局正しかったのは日本なのですが、私たちはそれでドイツを皮肉ったりしないでおきましょう。
そんな、「親中」ドイツメディアも、昨年9月ごろから態度が変わったそうです。
ところが、前述のように、中国報道に関しては、その傾向がにわかに変わってきたのだ。
最初の兆候は、2015年9月3日、抗日戦勝70周年の記念式典の報道だった。それは巧みなやり方だった。
ARDとZDF(第2テレビ)が両方とも、まるで申し合わせたように、天安門での大規模な軍事パレードを見せながら、そこに習近平国家主席の平和演説の訳を重ねた。
すると、その言葉と軍事パレードの映像のあまりのミスマッチが、視聴者の脳にそこはかとなく不信感を芽生えさせることになった。
(同上)
ふぉふぉふぉ。ここに「人権重視国家」ドイツの「欺瞞」「偽善」が見えますね。中国経済が好調だったとき、つまりドイツが儲かったときは、中国のダークサイドを完全無視していた。ところが、中国の好景気に陰りがみえはじめると、途端に中国の「軍事大国化」懸念を報じはじめたのです。