そのあとは続々と、中国の経済停滞、汚職、シャドーバンク、環境破壊などが報道され始めた。
批判的報道は、北京の大気汚染で頂点に達した。同じ頃、インドのデリーも、同様か、もっとひどい大気汚染に悩まされていたが、その報道はほとんどなかった。
(同上)
しかし、2015年は大気汚染など、「環境問題」が最重要だったのですね。2016年になると、いよいよドイツメディアの中国バッシングが本格的になります。
一斉に報道され始めた中国経済の実態
上海株が、今年の取引の初日の1月4日、開始と同時に暴落した。
新設されたばかりの安全装置である「サーキットブレーカー制度」が発動され、取引は15分で停止となった。それが7日にも繰り返され、中国政府が懸命に介入したものの、目立った効果は現れなかった。
このときのドイツの報道は、もう容赦なかった。夏の暴落のときのように、状況が過小評価されることもなく、ゴールデンアワーのニュースが大きく取り上げた。
(同上)
こうして、ドイツメディアは、「中国を見捨てる」ことにしました。ドイツにとって、「儲かる独裁国家=『いい国家』」。「儲からない独裁国家=ただの『悪い国家』」ということなのでしょう。
そして、ついに「習政権」や中国の「政治体制全般」まで批判がおよぶようになってきました。
そんなおり、面白い記事を見つけた。ARDの特派員が、上海での4年間の任期を終えるにあたって書いたものだそうだが、内容は、「西側諸国がイスラムテロとの戦いに敗退している最中、中国は静かに世界の頂点に近づいていく。北京の影響が膨張していくところでは、自由が死ぬ」というものだ。
香港の民主主義が壊されていく様子、また、アフリカなどの独裁者が、中国の資金で、中国と共にさらに独裁を強めていく様子などが赤裸々に描かれている。
(同上)
「いまさら気づいたんかい!!!???」と一言いってやりたくなりますね。
というわけで、EUを支配するドイツ・メディアの「中国観」がかわってきました。中国経済が悪くなるにつれ、こういう見方は広がり、「国際世論」になっていくことでしょう。
アメリカの「リベンジ戦略」は、いまのところ非常にうまくいっているようです。もちろん、中国の脅威に怯える日本にとっては、「追い風」です。
image by: 360b / Shutterstock.com
『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
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