これまで主に50代以上に対して向けられていた「老害」という言葉。しかしここに来てにわかに「ソフト老害」なる新語が登場し、巷で大きな話題となっている。そのターゲットとなっているのは30代~40代であるという。
この「ソフト老害」の名付けの親は売れっ子放送作家の鈴木おさむ氏(51)。鈴木氏は昨年10月、自身のX(旧Twitter)にこのように綴った。
40代になり、職場で上と下の間に入りバランスを取るポジションで、自分は、上のプライドを傷つけず、下の意見をうまいことまとめたつもりでも、下の世代から見たら、その行動が老害2見えてたりするということに気づき、それをソフト老害と名付けました。
自分含めて。…— 鈴木おさむ (@suzukiosamuchan) October 29, 2023
40代になり、職場で上と下の間に入りバランスを取るポジションで、自分は、上のプライドを傷つけず、下の意見をうまいことまとめたつもりでも、下の世代から見たら、その行動が老害2見えてたりするということに気づき、それをソフト老害と名付けました。
自分含めて。
皆さんのまわりに40代のソフト老害の人いますか?もしくは自分で俺、ソフト老害かもと思う方いますか?
本では、ソフト老害についても詳しく書いてます。
仕事の辞め方 仕事の辞め方
投稿のラストに繰り返されている「仕事の辞め方」が鈴木氏が「ソフト老害についても詳しく書いてます」とする書籍のタイトルで、その中に32年間続けてきた放送作家を辞めるきっかけとなった、自身が若い世代に対して仕事上の「ソフト老害」になっていると気付かされたエピソードが記されている。
鈴木氏は「ソフト老害」をどう定義しているのか
著作の中で鈴木氏は、「大切なのは40代でも行動次第では老害なんだという考えを世の中に広めることなのではないか」としているが、「行動次第」では30代でも「ソフト老害」になりうるということで間違いないだろう。
そんな内容が今月、テレビ番組で取り上げられにわかに注目を集めYahoo!の記事となってネット上で拡散、かくしてトレンド入りになったという流れだ。
これに対して20代以下の世代からは、以下のような声が上がっている。
《兄貴っぽい立場になりたいのかなんだかわからないけど、小言には変わりないしソフト老害って自覚してほしい》
《うちらから見れば30代以上はみんなおじさんだしおばさん。むしろ30代とか40代の人のほうが同世代ヅラして近づいてきて肩組むくらいの勢いで役に立たないアドバイスとか言ってくるのが鬱陶しいからほんとソフト老害って感じ》
《むしろ30代とか40代の上司の「こうした方がいい」っていう意見はスルーしちゃうほうが多いですね。無理矢理っぽい笑顔で言われてもねーなんても思う》
概ね鈴木氏の「ソフト老害」については賛同的な意見が目に付く。しかし当然ながら疑問視する30代以上のこんな投稿も。
《ミスしそうだから先手打ってアドバイスしてるんだけどそれも老害になるの》
《若い人って基本的に年上の言うことには「うるせーな」って思ってるってことか》
《じゃあなにか、20代以下だけで世の中全部回して行けるってことなんか?》
ちなみに9.2万人のフォロワーを持つ、現在40代の「自己防衛おじさん」こと橋本鉄平氏は、Xにこんなポストをしている。
何でもかんでも老害って。バカじゃねーの?挙句にソフト老害とかいう言葉まで創り出しちゃってさ。救いようが無い。こういうミーハーで取るに足らない一過性の話題は、間に受けない様に自己防衛一択??
— 自己防衛おじさん//橋本鉄平 (@tpyclub) February 12, 2024
さもありなん、である。
なぜ若者はかくも年長者を嫌うのか
古より、若者と年長者とは相容れないもの。ではなぜ若者はかくも年長者を嫌うのだろうか。それは年長者が年上だからである。小泉進次郎氏(42)が口にしそうな言葉ではあるが、厳然たる事実だ。そしてそこには理由がないため、解決方法も一切ないと言える。SNSの書き込みもそれを証明していると言えよう。
《年上ってだけで偉そうな物言いしてくるっていうのがもうダメ》
《なんで年上のひとって「物を教えてやる」みたいな態度で接してくるんだろう》
《先に生まれてきたことがそんなに偉いのかって言う人が多すぎて嫌になる》
これらが20代以下世代の偽らざる心情のようだ。しかし年長者世代には、自分自身が若者だった頃の記憶を思い起こしてほしい。事あるごとに「近頃の若い者は」と批判的に口にする年上の人間は常に嫌悪の対象ではなかったか。
そんなことを踏まえつつ、民間のカウンセラー資格を持つ50代の男性に聞いた。
「ちょっとくくりが大きくなってしまいますが、『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』みたいなもので、人間というものは嫌いな対象のすべてが嫌悪の対象になる傾向が強いですよね。嫌いな人間の言動はパワハラやセクハラに感じますし、大好きなおじいちゃんやおばあちゃんだったら気にならないのに、嫌いな年長者の体臭は加齢臭になってしまいますよね。そしてそれは現在の年長者もかつては年上の人たちに抱いていた感情のはずで、こういったサイクルが繰り返されているだけという考え方も成り立ちます」