東日本に人が住めなくなる。国民のほとんどが忘れている福一原発「使用済み核燃料プール」に残されている殺人物質

kh20240405
 

2013年3月の発生から13年が経ち、多くの国民が日々の生活で思いを巡らす機会が少なくなってしまった福島第一原発事故。しかしこの事故は決して過去のものではなく、「日本人にとっての危機」は今も継続しているのが事実のようです。今回のメルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』では投資コンサルタント&マネーアナリストの神樹さんが、福一原発の「使用済み核燃料プール」崩壊が東日本に壊滅的な被害をもたらす可能性を指摘。さらに処理水の海洋放出を強行した政府や東京電力と、彼らの「プロパガンダ」に手を貸した国内メディアを強く非難しています。

※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです

次の原発事故はどこか?地震多発国ニッポンの原発・使用済み核燃料プール崩壊の恐怖!日本中で居住地がなくなる危機!

みなさま、こんにちは!「衰退ニッポンの暗黒地図」をお届けするマネーアナリストの神樹兵輔(かみき・へいすけ)です。

さて今回は、「次の原発事故はどこか? 地震多発国ニッポンの原発・使用済み核燃料プール崩壊の恐怖! 日本中で居住地がなくなる危機!」というテーマで原発の「使用済み核燃料プール」についてえぐっていきたいと思います。

福島第一原発にある1号機から6号機までの原子炉のうち、メルトダウンした1、2、3号機内には、1,496体(880トン)もの溶け落ちてデブリになった燃料が残り、これが流れ込む地下水と接触し汚染水を生み出し続けています。

ちなみに原子炉建屋上部に設置された使用済み核燃料プールの燃料保管状況は次の通りです(2024年3月31日現在)。

  • 1号機…………392体が取り出せない状況
  • 2号機…………615体が取り出せない状況
  • 3号機…………2021年2月566体の取り出し完了済
  • 4号機…………2014年12月1,535体の取り出し完了済み
  • 5号機…………1,542体をプールで保管中
  • 6号機…………1,610体をプールで保管中

原子炉建屋の上部構造の崩壊などにより、いまだに1号機と2号機の崩壊を免れた使用済み核燃料プールには、1,007体の「使用済み」及び「使用前」の核燃料が残されたまま、取り出せていない状況があるのです。

福島原発事故の原因は東電幹部の「認知バイアス」の誤謬によるものだった!

福島の原発事故の究極の原因は、皆様よくご存じの通り、東京電力が津波対策を怠ったことによるものでした。

2022年7月東京地裁では、福島原発事故の賠償責任を問われた東京電力の旧経営陣4人に対し、総額13兆円超の支払いを命じました。

もちろん、一人あたり平均で3兆3,300億円にのぼりますから、上訴審で判決が確定したとしても、個人で払える金額ではないため、この人たちは自己破産して終わりになるだけです。

津波対策費には数百億円がかかる──ということでコストをケチり、対策を怠ったことが明白となった東電の旧経営陣に責任をとらせる──といったところで、このように虚しい話なのです。

民事ではともかく、すでに刑事では無罪放免なのですから。

4人はいずれも高齢ですから、そのうちあの世に召されて終わりです。

政府の地震調査研究推進本部が2002年7月に出していた「長期評価」では、福島県沖でマグニチュード8級の地震と津波が発生する可能性がある──というものだったのに対して、東電幹部はまともに向き合おうとせずに無視したのでした。

経営上の利益を優先し、国民の命の安全を無視した罪は、本当に非常に重いものがあるといえるのです。

この事例とは反対に、日本原子力発電は、同時期に東海第二原発(茨城県)において、原子炉建屋に防水扉を設置するなどの津波対策を行っています。

その結果、東海村は東日本大震災による重大事故を免れ、明暗を分けたのです。

なぜ東電幹部4人は、原子炉建屋を守る堤防のかさまし工事を怠ったのでしょうか。

これこそ、著者が先月、心理学専門の別名義でのペンネーム(神岡真司の名)で著した『脳のクセを徹底活用! 認知バイアス最強心理スキル45』(清流出版刊)で喝破した通りの脳の悪い癖が発現したからだったのです。

「大きな地震があっても、津波がここまで届くことはないだろう」と自分たちに都合よく考える「正常性バイアス」をはたらかせ、そして不都合な情報は無視して自分たちに都合のよい情報だけを信じる「確証バイアス」で認識を共有し、さらに東京電力の幹部会議における権威序列の意見が支配的となる「集団同調圧力」までもが、強烈にはたらいていただろうことが容易に推測できるのです。

こういうあやまちに導かれないためにも、さまざまな脳の悪いクセである「認知バイアス」に嵌らないよう、日頃から私たちは意識的かつ警戒的に行動することが大事なのです。

まさしく、いくつかの「認知バイアス」に導かれて、福島第一原発事故が起こった──という教訓は永遠に忘れないようにしたいものなのです。

print
いま読まれてます

  • 東日本に人が住めなくなる。国民のほとんどが忘れている福一原発「使用済み核燃料プール」に残されている殺人物質
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け