東日本に人が住めなくなる。国民のほとんどが忘れている福一原発「使用済み核燃料プール」に残されている殺人物質

 

福島第一原発事故はいまだに収束していない!

2011年3月11日、東日本大地震が起きた際に、福島第一原発で原子炉が稼働していたのは1号機から3号機でした。

4号機から6号機は定期検査中でしたが、5号機と6号機の原子炉には核燃料が入っていました。

1号機から3号機までは津波などによる影響で冷却装置が停止して核燃料が溶け落ちる「メルトダウン」を起こしています。

そして、発生した水素が建物上部にたまり、1号機と3号機、それに水素が3号機から流れ込んだ4号機でも水素爆発が起きました(2号機でも爆発が起こったものの、これは水素爆発ではなかったというのが東電の見解)。

これが当時の事故の概要だったのですが、あれから13年が経ちましたが、いまだ根本的な解決の糸口さえつかめていないのが事故後の実情なのです。

驚くべきことに、1号機と2号機の原子炉建屋の上部にある「使用済み核燃料プール」には、取り出すこともままならない異常な状況で、ヤバい燃料がタンマリ残されています。

危険なのは、原発の大本である原子炉や、そこに接触した汚染水だけではないのです。

福島の原発事故では、余震などの影響もあって、4号機プールが崩壊しそうになり、プールの下部を鉄骨やコンクリートで補強することによって、危機一髪での崩壊を免れています(4号機の使用済み核燃料は2014年12月1,535体すべてが取り出され、原発敷地内の共用プールに移されている)。

なぜ、使用済み核燃料プールが崩壊したら、ヤバいのでしょうか。

使用済み核燃料プールに残されたものの何が危険なのか?

この使用済み核燃料は、数年間、水を循環させるプールの中で冷やし続けないといけないものだからです。

これを万一空気中に露出させると、原子炉内での連鎖的な核分裂反応(臨界)が起こらなくても、核分裂時に内部に閉じ込められた放射性物質が「崩壊熱」を出し続け、温度がどんどん上昇し、高熱を帯びていく──という性質のものだからです。

すると、どうなるか。

核燃料の被覆管が壊れ、放射性物質が漏れだし、露出した被覆管と水蒸気が反応し、水素が生まれて爆発の可能性があるというのです。

そうなると、この使用済み核燃料は再度の核分裂(再臨界)を誘発しかねません。

ここで再び核分裂が起きると、原子炉圧力容器や原子炉格納容器に覆われていないために、中性子線を東日本の広範囲に拡散させることになるのです。

そうなると、どえらい被害を拡散します。

中性子線は透過力が強く、60%が水分で構成される人体への影響は甚大です。

同じ放射線のガンマ線と比べても腫瘍発生率は2~300倍、寿命短縮は15~45倍ともいわれる強力なものだからです。

これを放置すれば、次々と人が死んでいくのです。

東日本の人々は、生命が危ぶまれ、日本人類の消滅の危機にも到りかねないわけです。

本来こうした使用済み核燃料は、十分に冷却した後、青森県六ケ所村の再処理工場で新しい核燃料に加工する前提がありました(残った高濃度放射性廃棄物は、まだどこにも決まっていない最終処分場に埋める見込み)。

しかし、その目途も立っていないため、使用済み核燃料プールから取り出した燃料は、原発敷地内にある共用プールで保管しているのが現状なのです。

「トイレのないマンション」と原発反対派の人々が揶揄する通りの惨状を呈しています。

日本は、火山・台風・地震・津波の災害大国です。

ゆえに、北朝鮮のミサイル攻撃や航空機の自爆突入攻撃も懸念されるのです。

こんな危険な原発が、日本には54基(商業用原子力発電所16)もあるのです。

そして、建屋上部には、いずれも使用済み核燃料プールが存在します。

これが崩れたら、日本はどうなるのか──という危機的状況が今も日本中にあるのです。

このうち現在稼働中の原発は、10基です(定期点検で停止中含む)。

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