日本が善意だけで移民を受け入れると大変なことになるこれだけの理由

2016.02.25
by yomeronpou
 

私の引き揚げ体験

私は難民救済に反対ではない。しかし、それは慎重に行なわないと、後々禍根を残す。

私自身の経験を語ろう。私は、1945年の秋から年末にかけて、蒙古からの引揚げ者として、暖房のない兵舎のコンクリートの床の上にキャンバスを1枚敷いただけの場所で幾夜も寝た。屋根のない貨物列車でも運ばれた。輸送船の船底の貨物用倉庫でも寝た。もちろん、安全に天津から佐世保に向けて運ばれているだけでも、感謝すべきことであった。しかし、あそこは冷たい鉄の鋲が丸出しで、とても眠れたものではなかった。船底の鉄板から波の砕ける音が、航海中ずっとし続けていた。

幸い、私の一家は、父の郷里・熊本市で、祖父母が住む実家に落ち着くことができた。当時、熊本では、落ち着き先の無い引揚者のために、6畳と4畳半の2室しかないような急造の引揚者住宅が沢山作られていた。そこに住めない家族は他人の家に間借りしていた。

戦後は、日本の至るところが焦土と化した後なので、戦災者住宅、引揚者住宅など、狭い住居でも皆文句を言わずに助け合い、譲り合って暮らしていたものである。

難民受け入れ以前の下層民軽視の風潮

さて、100万人以上もの流民の受け入れをしなければならない欧州諸国では、単純に彼らへの避難所(シェルター)の確保と提供だけで終わらない。今後、彼らを国民として育てていくための覚悟と施策が求められる。

受け入れ国の生活習慣への遵守と同化、子供らの教育、就労機会の確保と成人教育、保健衛生サービスと住居の提供。

どれも多大な経費とその任務をこなせる新たな要員が求められる。

2014年度にドイツが公式に受理した難民申請者数は20万2,815人、スウェーデンでは8万1,325人、イタリア6万4,625人、フランス6万4,310人。

これは、あくまでも公式に受理した申請者数であって、じっさいには想像をこえる無申告者がいる。そして、昨年度は一挙にその数倍の、想定も把握もできないほどの流民が押し寄せた

そういう事態に発展するかもしれないということを考慮しないで、メルケルは安易に移民受け入れを表明してしまった。そこに、今回の大量難民発生と混乱の原点がある。

なぜ彼女はそのような安請け合いをしてしまったのか?

そもそもドイツでは、労働者を人間として遇していない風潮がある。教育はエリートなる人物に施すものであって、労働者に教育を施しても無駄だという考え方がある。

指示された通りに作業をするのが労働者であって、彼らは家畜小屋に囲っておけばよい。そういう発想は、いまだにドイツのエリート階級の間に根強い。

上澄みの人々の発想

私はあるときドイツの大企業から社員教育の打診を受けた。私は「まず幹部からプログラムを理解してもらい、あわせて現場の労働者にも納得してもらいましょう」と提案した。すると、ドイツ企業の人事担当者は、「それは必要ない。現場は指示通りに動けばよいのだから」と、私の提案を却下した。

現場の人間は機械の部品と一緒であって、下のほうから要求や抵抗があるとは、ドイツ社会の組織の上の者は露ほども考えない。

その習慣で、メルケルは移民に文化や主張があるとは考えてもいなかったのである。

ましていわんや、下賎民の異民族の若者が集団になってドイツ国民の娘を強姦する事態が発生するなど夢想さえしなかったのである。

この事件は、ヨーロッパ型既存体制の崩壊の始まりなのである。その代償として、いまやドイツ政府は大量の移民を抱えただけでなく、国民から重大な不信任を突きつけられはじめている。さて、メルケルとその閣僚たちはどのように解決できるのだろうか?

好色な男共を誘惑しようとするハンブルグの飾り窓のガラス越しに陳列されている娼婦でさえも、媚態を見せているわけではない。

だから、今回、大晦日に男たちから襲撃された女性らは、娼婦よりも紊乱な醜態をさらけ出していたに相違ない。そうケルンの女性市長は思ったに違いない。

彼女は、事件の真相を確かめないまま、教養あるドイツ人の常識だけで発言した。その結果が、被害者を糾弾し、加害者を弁護するという新年早々のあのコメントにつながったものと思われる。

ドイツ人だから理性ある行動をする、と我々が思うことも、今となっては、迷妄そのものなのであることに気付かせられた次第である。

フランスがイスラエルに突きつけた最後通告

こうした隣国ドイツの難民対応の後手々々ぶりを横目に見ながら、フランスのオランド大統領は難民からの不満のガス抜きのために、別の高等戦術に出た。

それは、イスラエルがパレスチナとの和平交渉を開始しないならば、フランスは一方的にパレスチナを国家として承認するという演技である。

パレスチナを国家として承認するというポーズを取ることによって、フランス国内の人口の約10%を占めるイスラム教徒から政府への好感を持ってもらおうという戦略なのであろう。

フランスが、一方的に「パレスチナを独立国家として承認するぞ」とイスラエルに詰め寄っても、イスラエル市民への無差別ナイフテロを奨励している恐怖主義のアッバスを相手にして、民主主義の国イスラエルが真面目に取り扱うはずがない。

このような要求をフランスがイスラエルに示したことによって、アラブのテロリスト諸集団から、「フランスは脅せば何とかなる国という印象を深めさせた。これは、フランスの対テロ作戦上、むしろ弱みを見せた結果となった。

今後、フランス国内ではさらにまたテロが起きるであろう。

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