「長寿大国ニッポン!」と手放して喜んでいたのはもう過去の話。介護や孤独死など、高齢化社会ならではの問題が次々と浮かび上がっています。今回の無料メルマガ『システマティックな「ま、いっか」家事術』では、「老後破産」に注目。現代社会が抱える問題を分析しながら、老後破産という最悪の事態に陥らないための対策を提唱しています。
老後破産
さて、本日は最近ハヤりの悲しいお話。
日本は、言わずと知れた世界屈指の長寿国です。良いことだ♪ ところがそうも言っていられなくなってきているようですね。
・早期退職した退職金を投資に突っ込んで全額パー
・家族のガン治療の高額の医療費のせいで、生活費が不足
・介護離職したものの、貯金は瞬く間に底をついて
・独身の兄弟がリストラされて同居することになって
などなど。こういう暗~いことが原因になって最近クローズアップされてきたのが「老後破産」という言葉です。昔は悠々自適と同義だった「老後」ですが、最近では「悲惨」と同義になりつつあるようです。いやだいやだ。
お金関係で問題になるのは、
・収入が低減する
・支出が増加する
ということで、この一方、もしくは両方が問題なんですよね? で、かつてはこの両方が大して問題じゃなかったわけです。
・年金がガッポリもらえて
・定年間近が一番高給取りで
・退職金もソコソコ
・息子家族と同居で生活費もかからない
という時代でしたからね。年金や退職金で収入もあったし、大家族で暮らしていたので、単身世帯より生活費の負担が少なくて済んでいたからです。
ところが現代、というか現代をベースにした未来。この前提のすべてが崩れているわけです。年金が今の受給世代より高くなることはないでしょうし、年功序列がなくなった今、年齢とともに給料が上がるわけではありません。退職金なんて一部の大手企業と公務員くらいだけがもらえるモノになりました。
こうした社会的な変化も含めて、結局のところ、老後破産の原因はいくつかあるようです。
・年功序列型の給料体制が崩れたこと
・年金制度の破綻が濃厚だということ
・晩婚化によって人生の貯めどきに貯められないこと
・家族がミニマムになりすぎて社会的なセーフティネットにならなくなったこと
こんなところでしょうか。で、こっから本題なんです。老後破産って急に言われるようになりましたが、老後って言葉がついているだけで、実体はフツーの「破産」ですよ。破産が老年期に起こるということです。老後と破産にまつわるネガティブなイメージが重なるのでとても暗く辛いものに思えますが、破産は破産なんです。
破産っていうのは
支出(負債)>収入(資産)
になってしまうということです。これは老後破産でも同じなんですから、老後破産って結局のところ
老後の生活での支出>年金+貯金
っていうことですよね? だから、これをよくよく考えてみる必要があると思うんです。
支出について
さて、まず、支出の面。老後にかかる支出がいくらなのかです。これについては実にたくさんの計算があります。アッタッリマエですが、老後破産の根拠になっているのが「老後の生活での支出が非常に高額になる」ということです。だから、その金額がどんだけ高額なのかはマジメに計算してみる必要があるんです。
ちなみにいろいろ見てみると
・夫婦ふたりがナミくらいの生活=月23万
・夫婦ふたりがヨユーの生活=月35万
くらいと書いてあります。みなさんはこの金額を見てどう感じますか? 部屋代、食費、光熱費だのが積み上げられてこういう金額になっているわけですが、食費が6万とかいう計算になっているんです。ハッキリ言ってウチではアリエナイ高額です。横浜にいたころだって、こんなに使っていませんでしたから。
つまり、ここで重要なのは食費の月6万が妥当かどうかということではなく、「あなたの」生活にとって必要な食費はいくらか、ということです。コトは食費に限りません。一般論ではなく「あなたの」生活に必要な費用です。
光熱費がかかる地域に住んでいる方と温暖な土地柄に住んでいる方では年間で必要な光熱費は違ってきて当たり前です。三食完全自炊の方と料理が嫌いでほとんど外食する方、高級なものしか食べられない方(笑)では、食費は全然違うはずです。最も端的なのは、住居費でしょう。すでにローンが完済されている場合と賃貸で過ごす場合とでは、ハナシが天地ほども違ってきますから。
つまり、一般論なんかどうでもイイんですよ。「あなたの」生活がどのくらいのお金で支えられるのかということです。1ヶ月でいくらかかるのか計算したあとそこから1年分を計算するわけです。
ただ、特別予測が難しい上に認識自体が向けられない支出があります。それが「特別支出」です。特別支出って毎月出るわけじゃないけど、数ヶ月数年に一度くらいのペースで必ず支出するお金のことです。たとえば
・車検
・法事の費用
・固定資産税
・お家のメンテナンス
・大物家電の買い換え
・シーズン終わりのクリーニング代
・帰省時のお土産代
こういう支出のことです。これも一般論が通用しにくいんです。クリーニング代などは、一般的な家計の範囲内でまかなってしまう家庭もあるでしょう。法事はもう大半済んでいて、あとは自分たちだけ(笑)という家庭もあるでしょう。これも数年の推移をみて、平均を取る必要があると思います。
ちなみに我が家。フツーか特別かは、項目ではなく金額で分け、特別支出は別に積み立てています。10万以上する家電の買い換えなら特別支出から。これ以下ならフツーの支出から。こんなカンジです。目標として、これでお家のメンテナンスがまかなえる金額を貯めたいと思っています。ま、チリツモだけど、頑張ります(笑)。
収入について
そもそも老後には、収入がどのくらいあるんでしょうか。年金とか貯金とか。…ってココで思って欲しいのが「どうして働いていないの?(@_?)」ということです。貯金が底をついてしまうとか言いますけど、貯金云々じゃなくて給料云々でしょう。
でも定年になったら働けない……。
うん、会社員としてはね。今までと同じ仕事はね。日本では「働く=会社に勤める(会社員になる)」という強固すぎる考え方があります。ホント、これ以外の選択肢をほとんど思いつきませんよね。これも従順な労働者を育てるための教育成果と言うべきなんでしょうか(涙)。大成功だわ。
まずはこの強固な思い込みをなんとかすべきです。こういうハナシになったからと言って「よーし、起業だ!」とかいう極端に走らないでくださいね。働く=雇われるというのと同じくらいマズいのが、給料や会社員としての収入以外のお金に関して知識が足りないことです。会社員なら毎月決まった日にちに給料が振り込まれますね。でも、それ以外にもお金はどこからか出てきてどこかへ去っていくわけです。
フリーランスの人はどうやって稼いでいるのか。それはどうやって続けていくのか。副業ってどうやるのか。どこかで教えてもらえるのか。こうしたことについて、知らないままに会社を辞めて独立してみたりしてもそりゃ上手くいかないですよね。
そして、もうひとつ。働く=雇われるという思い込みがあると、おそらく「老後」の定義を漠然と定年退職したときだと考えているのではないでしょうか。つまり「老後=働かなくなったとき」だと考えているってことです。よ~くムネに手を当てて考えてみてくださいね。きっとそう思っているでしょ?
……そんならさ。働いていたら老後は来ない( ̄∇ ̄)ことになりますよね。いやいやいや。詭弁じゃないから。働く=会社に雇われるっていう構図にとらわれていると、そうは考えられないかもしれないけど。
長々書いてきましたが、老後破産は「働いていない状態で」生活費が足りなくなることなんです。とすれば、働いている状態でありつづければ「老後破産」には陥らないわけです。もっと言えば、今現在出来る老後への最大の備えは「雇われる以外の収入の道を見つけておくこと」なんですよ。休日でも会社が終わったあとでも、定年退職したあとにもちゃんと稼げるようにしておけば、収入を確保できます。それが今の給料より少なくても、未来の年金よりは高額になると思います。いや、皮肉じゃなくて( ̄◇ ̄;;)まずはそのくらいでいいじゃないですか。
医療費について
支出のうち、最大の懸案が医療費です。健康にはもちろん気をつけるんですが、それでもトシを取れば誰しも若いときと同じような健康体ではいられません。しかも医療費の場合、数年数ヶ月の平均を取ってもムイミなわけです。だって今よりも老いたときのハナシなんだから。しかも病気やケガの種類によっては、予想できないほどあるいは予想しても準備しきれないほどの高額になるかもしれないんですから。
結論から言って、老いて体の機能が衰えていくことを金銭で担保しておこうと思ったら、いくら積んでも足りないでしょう。だっていくつまで生きるのかもどんな病気にかかるのかもどんな治療法があるのかもわからないんだから。いくらあってもトシを取るまでに死んでしまうヒトだっているわけですしね。
ここは慎重に書きたいのでまた回を改めたいんですが、おそらく体の老いを金銭で担保するのはムリだと思っています。体はお金では買えないってことです。
……実は体が社会生活に適さない時期は、人生で2回あります。幼少期と老年期です。あなたにも誰にもちっちゃいときって、ありましたよね。このときどうしているのかといえば、親に面倒を見てもらったんですよね。お金を稼いでご飯を作ってくれて、学校に行かせてくれて。そう、他者が面倒を見ているんです。体が小さすぎて社会生活が営めないとき、ヒトは自分1人で生きることができないので、自分以外の他者に面倒を見てもらうんです。
当たり前ですが、この幼年期においても面倒を見る側(親側)には相当の負担がかかります。子供が複数いればなおのことですし、オトナが2人がかり3人がかりになることも、珍しくないでしょう。ヒトひとりをケアするのには、相当の労力がかかるのです。
論理必然として、老年期には他者を頼らざるを得ないということです。かつてはこれが血縁者だったわけです。まあ、グループの成り立ちとして自然発生的で、親近感もありますからね。
この意味で、お金だけでは解決できない体の衰えを老いと定義しそれが社会的な問題に発展しているとすれば、それはヒトを支えるヒトのグループが小さくなりすぎているということです。つまり、核家族というミニマムすぎるグループが社会のスタンダードになったため、老後破産がモンダイになっているとも言えるわけです。
そうは言っても、これが家族がミニマム化した現代では、だから結婚して親族を作れ! とかいうランボーなハナシにはなりません。ヘンなおっさん議員が言いそうですが(笑)。
おそらく今後は、血縁以外のヒトのグループを作り出す試みがなされると思います。自然発生的な血縁でももちろんOKですが、それほど濃厚ではなくユルいつながりで生活のごく一部を少しずつ誰かと共有しあうような関係です。
そして、この場合重要になるスキルは「他者とのコミュニケーション能力」でしょう。アカの他人ならもちろん血縁者とでも、ヒトとヒトが付き合う以上は必ずここが問題になるはずです。
ハヤリの老後破産。
お金のモンダイは、一度自分の生活を振り返って計算し直してみましょう。そして、他者と上手くやっていく能力を身につけておくべきだと思っています。
image by: Shutterstock
『システマティックな「ま、いっか」家事術』
食べるのは大好きだけど、作るのは超苦手。棚拭きとアイロンがけが何より嫌い。そんな家事オンチだった私がソレナリに家事をこなせるようになったワケ。家事全体を見渡して、最小の手間で最大のリターンを得る、具体的なシステムをお知らせするメールマガジンです。
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