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秀吉も食した極上和菓子も。楽しく美味い京都門前菓子食べ歩きガイド

京都で神社仏閣めぐりもいいですが、忘れてならないのが「美食」。特に和菓子に至っては、その味と美しさで世界中の人々を魅了しています。今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では、和菓子の中でも気軽に楽しめる「門前菓子」をご紹介! 参詣のついでに味わってみてはいかがでしょうか。

京都で絶対食べておきたい!寺社ゆかりの和菓子10選!

今回は京都の寺社ゆかりの和菓子で絶対に食べておきたいものを厳選してご紹介します。

かつてお菓子は今で言う国家公務員が製造していました。江戸時代、御菓子が庶民の間でも普及するようになり粗悪品の製造も増えました。そのようなものが天皇をはじめ公家や武家、寺社や茶家の人たちの口に入らないように「上菓子屋仲間」という組合が作られました。日本全国で249軒の御菓子屋から成り公家や有名寺社、茶家などへの出入りを特別に許された格式のある店です。それらは尊い物を作るという意味から「御菓子司(おんかしつかさ)」と呼ばれるようになりました。「司」とは宮中に仕えるものの職位です。今で言う「省」や「庁」のようなものです。

京都の和菓子は宮中や公家、寺社、茶家に納めたる大変貴重なものです。それらは特別なお祝いのためにあつらえる「上菓子」です。普段日常的に食べる饅頭や団子は俗に「おまん」や「だんご」「餅菓子」と呼ばれます。そのような御菓子を作る店を「おまんやさん」「おもちやさん」と呼びました。それ以外の格式の高い上菓子を作る店を菓子匠御菓子司などと区別しているのです。長い歴史を持つ京都には今でも沢山の「御菓子司」があります。そのような格式ある老舗和菓子屋さんを訪れるのもとても楽しいものです。

今回は京都に数ある和菓子の中で全国的にも有名で多くの人に馴染みのある「門前菓子」を厳選してご紹介しましょう。皆さんご存知のみたらし団子や京都ならではの歴史や由来を持つ和菓子満載です。

・あぶり餅
・みたらし団子
・やきもち
・粟餅、長五郎餅
・松風
・狐煎餅(せんべい)
・幽霊子育飴
・おせき餅
・走井餅
・唐板

1. 今宮神社とあぶり餅

994年に創建された今宮神社は由緒ある神社で地元の氏神様として篤い信仰を受けています。今宮神社の門前菓子は名物のあぶり餅で参道を挟んで2軒お店があります。東門の軒先からは餅を焼く香ばしい香りがします。

今宮神社が鎮座する場所には平安時代以前から疫病神・スサノオノミコトが祀られています。平安遷都後、疫病・災厄が流行りそれを沈めるため御霊祭が営まれ創建されたのが今宮神社の始まりと伝わります。

●参考記事:「玉の輿」ニッポンのシンデレラ「桂昌院」 

「かざりや」

創業400年を誇る「かざりや」は、築100年を優に超える京町家の店構えです。名物あぶり餅は餅にきな粉をまぶして焼いた餅に白味噌の甘だれをからめたものです。情緒ある店内からは炭火で焼かれているあぶり餅のいい香りが漂っています。

営業時間:10:00~17:30
定休日:水曜日
電話番号:075-491-9402
料金:あぶり餅1皿(お茶付)500円

「一和(いちわ)」

かざりやの向かい側に立つ「一文字屋和助(一和)」は平安時代から続く創業1,000年の恐らく日本最古の和菓子屋です。この店のあぶり餅は1,000年もの間変わらぬ製法で作り続けられていると言われています。さすが京都ですね!平安時代の人々が食べていた同じ味が代々受け継がれ、今も愛され続けています。おいしいあぶり餅を頂いて、病気・厄除けの御利益を授かりましょう。

営業時間:10:00~17:00
定休日:水曜日
電話番号:075-492-6852
料金:あぶり餅1皿(お茶付)500円

2. 下鴨神社とみたらし団子

世界文化遺産に登録されている下鴨神社は5月の葵祭でも知られる日本を代表する神社の1つです。門前菓子は有名なみたらし団子です(みたらし団子発祥の地)。境内の糺の森のみたらし池に湧き出す水の泡をかたどって作られたと言われています。発祥の店は「加茂みたらし本舗」です。下鴨神社の創建は弥生時代の崇神天皇の頃に創建されたと伝えられています。上賀茂神社と共に京都の神社の中でも最も古い神社の1つです。

「みたらし団子」発祥の加茂みたらし茶屋

加茂みたらし茶屋の前を通ると砂糖醤油の甘い香りがして思わず立ち止まってしまいます。みたらし団子は人間の体を現したものと言われ、串に5つの団子が刺さっています。一番上の団子は頭の部分なので、他の4つと離されて刺してあります。我々がよく見るみたらし団子とは少し違います。

みたらし団子は、下鴨神社にある御手洗池(みたらしいけ)に由来しています。鎌倉時代、後醍醐天皇がその水をすくうと大きな泡が1つ、続いて4つできたといいます。そのため、串に刺さった団子の一番上の1つ目とそれ以外との間に隙間があるのです。

営業時間:9:30~20:00
定休日:水曜日
電話番号:075-791-1652
料金:みたらし3本400円

3. 上賀茂神社とやきもち

上賀茂神社は下鴨神社と並び京都を代表する神社の1つです。世界文化遺産に指定されていて5月の葵祭で有名です。上賀茂神社は神武天皇の頃に賀茂山の麓に賀茂別雷命(かもわけいかずちのかみ)が降臨したことが起源です。そしてその後、天武天皇の時代に社殿が造営されたと伝えられています。江戸時代に建築された本殿・権殿は国宝に指定されています。

神馬堂の「やきもち」

神馬堂のやきもちは香ばしく鉄板で焼き上げた餅の中に粒餡がたっぷりと入っています。ここでしか食べられない売れ切れ必死の和菓子なので参拝した際は是非食べて下さい。元は上賀茂神社で毎年5月に開催される葵祭で食べられていたものでした。ちなみに「やきもち」の正式な名称は葵餅といいます。

営業時間:7:00~16:00(売り切れ次第閉店)
定休日:火曜の午後・水曜
電話番号:075-781-1377
料金: やきもち1個130円

葵家の「やきもち」

葵家で使用する餅は滋賀県産のもち米と北海道産の小豆を使用して焼き上げています。お餅にも甘みがあり中の粒餡と良く合います。白餅とは別にヨモギ餅もあり2種類のやきもちを味わうことが出来ます。

営業時間:7:30~18:00
定休日:無休
電話番号:075-781-1594
料金:やきもち1個125円

公式サイトURL:http://www.aoiya.jp/

4. 北野天満宮と粟餅・長五郎餅

「天神さん」北野天満宮は学問の神様菅原道真公をお祀りする神社です。境内の梅の花が有名で受験生のみならず多くの観光客で賑わいます。北野天満宮の門前菓子と言えば「粟餅」と「長五郎餅」が有名です。

創建は平安時代に菅原道真公が太宰府へ配流され没したことに由来します。京都では落雷など災害が相次ぎ、これを道真公の祟りだと朝廷は恐れます。そして、すでにこの世を去った道真公の官位を回復し社殿を造営して祀ったのが北野天満宮です。

●参考記事:京都の梅の名所「北野天満宮」にある七不思議

「粟餅(あわもち)」

粟と書かれた暖簾を掲げる澤屋は江戸時代から続く老舗です。黄金色の粟餅にこし餡ときな粉をまぶした2種類の粟餅がセットで味わうことが出来ます。一度に2種類(餡ときな粉)のお餅が味わえ、口当たりがいいので女性にもとても人気です。

営業時間:9:00~17:00(売れきれ次第閉店)
定休日:木曜・毎月26日
電話番号:075-461-4517
料金: 紅梅(きなこ1個、餡子2個)450円、白梅(きなこ2個、餡子3個)600円

「長五郎餅」

長五郎餅は、粟餅と並ぶ有名な北野天満宮の門前菓子です。1587年に豊臣秀吉が開いた北野大茶湯の席に出された銘菓です。長次郎餅は真っ白な薄い餅皮にこし餡をたっぷりと入れた和菓子です。伸びの良い餅にあっさりした甘さのこし餡が詰まったシンプルで絶品の和菓子です。

営業時間:8:00~16:00
定休日:木曜日
電話番号:075-461-1074
料金:長五郎餅 2個(煎茶付)380円~

公式サイトURL:http://www.chogoromochi.co.jp/

5. 西本願寺と亀屋陸奥の松風

西本願寺は浄土真宗本願寺派の本山です。地元では「お西さん」の名で親しまれています。京都駅から近く世界文化遺産に指定されていることもあり、国内外の観光客も沢山訪れる京都を代表する有名寺院です。

● 参考記事:西本願寺「お西さん:世界文化遺産」

西本願寺の門前菓子は松風です。松風の由来は織田信長の本願寺攻めを起源とするとても歴史ある御菓子です。松風は、1570年11年間続いた織田信長と石山本願寺の合戦の最中に亀屋陸奥の三代目大塚治右衛門春近が献上した品です。その献上品が兵糧の代わりとなり当時の教祖・顕如(けんにょ)率いる浄土真宗の門徒は信長と和睦したと伝わります。その時に顕如が詠んだ歌にちなんでこの名がつけられました。

忘れては波の音かと思うなり まくらにちかき庭の松風

以来「松風」は、門徒にとって本山へ参った証のようなものとなりました。松風は小麦粉、砂糖、麦芽飴と白味噌を合わせて焼き上げたお菓子で上品で素朴な味わいが魅力です。司馬遼太郎氏の小説にも登場した銘菓「松風」を食べて戦国の世、幕末の乱世に思いを巡らせてみて下さい。

営業時間:8:30~17:00
定休日:水曜日
電話番号:075-371-1447
料金:松風袋入り8枚650円 10枚750円など

公式サイトURL:http://kameyamutsu.jp/products/matukaze.html


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image by: Perati Komson / Shutterstock.com

 

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