結婚したくてもできない…「日本」に未来を奪われた人たち

kitano
 

昨年、日本政府は成長戦略の一環として労働関連法の改正案を閣議決定しました。「女性、非正規社員、高齢者がもっと働きやすい社会に」と言えば聞こえはいいですが、長時間働いても残業代などの手当が払われなくなるのではないかと危惧されており、さまざまな方面から非難の声が上がっています。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんは、政府は国民が幸せになれる手段を真剣に考えるべきだと強く非難し、独自の制度を提案しています。

人口、5年間で94万人減少の衝撃。どうすればいいのか?

2015年度の国勢調査で、「日本の人口が急激に減少している」ことが明らかになりました。

<国勢調査>総人口1億2,711万47人、初の減少くっきり

毎日新聞 2月26日(金)9時45分配信

 

◇15年速報値 39道府県で人口減、福島県は過去最大

 

高市早苗総務相は26日午前の閣議で、昨年10月に実施した2015年簡易国勢調査の速報値を報告した。昨年10月1日現在の外国人を含む日本の総人口は1億2,711万47人で、10年の前回調査から94万7,305人(0.74%)減り、1920(大正9)年の調査開始以来、初めて減少に転じた。

5年間で、94万7,305人(!)減少。毎年約19万人人口が減っている計算になります。これは、大問題ですね。

全体的に人口は減っている。しかし、「他より速く減っている」地域もあれば、「逆に激増している」地域もあります。

39道府県で人口が減少し、11年に東京電力福島第1原発事故が起きた福島県は、過去最大の11万5,458人減となった。

 

(中略)

 

前回調査から人口が増えたのは、「東京圏」の東京、神奈川、埼玉、千葉4都県と、沖縄、愛知、福岡、滋賀の各県。

 

人口増加率は、出生率が高く死亡率が低い沖縄県が2.97%増でトップ。前回1位の東京都は2.69%増で2位だった。

 

減少率が最も高かったのは秋田県で5.82%減。福島県の5.69%減、青森、高知両県の4.71%減が続いた。大阪府は0.30%減で、第2次世界大戦の影響で減った、47年の臨時国勢調査を除くと戦後初めて人口が減少した。

 

福島県の減少率は、原発事故前の10年調査(2.98%減)からほぼ倍増した。東日本大震災の被害が大きかった岩手県(3.78%減)と宮城県(0.59%減)は、10年調査の減少率と同水準だった。

秋田県、福島県、青森県、高知県、岩手県などの減少が激しいです。逆に、首都圏の人口は、「激増」しています。

東京圏は5年前の前回調査比50万人増の3,612万人で、全体の4分の1以上を占める。市町村別の増加数を見ても、東京23区が全国で最も多い32万人。東京圏に含まれる川崎、さいたま、横浜の各政令市もトップ10に入り、人口を引き寄せている。
(時事通信2月26日)

日本全体で94万人減っているのに、首都圏は50万人増えている。ここまでで、日本国にとって2つの課題が明らかになりました。

・人口をいかに増やすか?
・地方から首都圏への人の移動をいかに食い止めるか?

少子化問題は解決できる

「人口をいかに増やすか?」という課題について、一般的なのは、「移民で」というものです。これは、欧米で明らかに失敗した政策で、決して真似るべきではありません。実際欧州は、イスラム教徒の大量流入で、「キリスト教文明」自体が滅びつつあります。

もちろん、優秀な外国人はどんどん入れるべきですが、特に差別的動機(=日本人が嫌がる労働は、外国人に安くやらせればいいという)の「3K移民」大量受け入れは、絶対避けるべきです。欧州は、まさにこれで滅びようとしています。

というわけで、「人口増は、少子化問題解決で」が王道、正道です。「不可能だ!」という人も多いですが、世界をみわたせば、「出生率を劇的に増やした例」もあります。たとえば、私の住んでいるロシアです。1999年、ロシアの合計特殊出生率は、なんと1.17(!)だった。それが、2012年は1.7、2013年も1.7。死亡率の低下も手伝って、人口が「自然増」しはじめている。

<ロシアの出生率 記録更新>

2015年6月19日 Sputnik日本

 

ロシア保健省は、ロシアの2014年の出生率が、過去最高となったと発表した。2013年の出生率は、1990年代以降初めて死亡率を越えたが、2014年はさらによい結果が出た。自然増加数は3万3,600人で、死亡率も低下している。

 

ロシアでは2014年、出生率が前年比0.8パーセント増となり、出生数は192万9,700人から194万7,300人となった。これは、新生ロシア史上、最高値だ。

どうやってロシアは、出生率を増やしたのでしょうか? 以前にも触れましたが、「母親資本」(マテリンスキーカピタル)という制度によってです。簡単にいうと、「子供を2人産んだ家庭には、地方の人が家を購入できるほどの金を与える」という制度。

私は、実際に出生率を増やすことに成功した「母親資本」の制度を、日本の現状にマッチするようアレンジし、以下のような提案をしています。

日本で「家が買える金額」といえばいくらでしょう? 東京など大都市ではもちろん無理ですが、たとえば長野県松本市の近郊なら、2,000万円ぐらいあれば、まともな家が建ちます。ですから、「3人子供を産んだ家庭には、住宅購入資金2,000万円まで支援します」としたら、「じゃあ、そうします」という家庭も増えるのでは?

財源どうするんだ、ボケ!」そんな声が聞こえてきます。別に2,000万円、一括でその家族にあげなくてもいい。「住宅購入資金のローン(たとえば20年、30年)を、2,000万円まで国が肩代わりします」とすれば?

そうすれば、国は、20年とか30年とかかけて、3人子供を産んだ家庭に代わって、ローンの返済をしていく。すると、「3人子供を産んだ一家庭」につき、国の月々の負担は、10万円ぐらいなものでしょう(計算していませんが)。子供1人当たりの支援額は、月3万3,333円となります。これですと、かかわる人みんなにメリットがあります。

・3人産んだ家族=夢のマイホームが手に入ってうれしい
・銀行=国が払ってくれるなら、とりっぱぐれない
・国=出生率が劇的に増え、未来は安泰

この話、「社会主義的だ!」と生理的に受けつけない人もいると思います。しかし、「新自由主義」的に好きにやらせてたら、少子化はとまりません

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