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【書評】嫌いな相手に振り回されなくなる簡単な方法とは?

プライベートでもビジネスの現場でも、かならず1人はいる「苦手な相手」。そんな人とはどう接するのがベストなのでしょうか。無料メルマガ『幸せを呼ぶ!クレーム対応術』では、人間関係にお疲れ気味の方必読の1冊が紹介されています。

 

人間関係にうんざりしたときに読む本」 杉本良明 ・著 日本実業出版社

今回も、お客さま対応、クレーム対応をおこなううえで、どの本が参考にできるのか、書評をお伝えします。実は今回ご紹介する本は、クレーム対応や、文章作成のノウハウを学ぶ本ではありません。第33回目でご紹介する本は、「人間関係にうんざりしたときに読む本」です。

この本の著者である、杉本 良明さんの略歴です。

コミュニケーション研究家。

 

1959年兵庫県生まれ。関西学院大学経済学部卒。専門はシステム設計と語学(英語・中国語)。家業のかたわら、コーチングのプロとして活動し、官庁・学校・病院・一般企業の研修講師を担当している。

 

著書に『ネット・コーチングで開業しよう』(同文館出版)がある。

 

個人サイトはこちら。

杉本良明の問題解決コーチング

それでは、まずこの本の目次から、中身を見ていきましょう。

まえがき
第1章 世の中は「きつい人」だらけで疲れる
 ~なぜストレスがたまるのか~
第2章 人を責めれば人は変えられるというのは大間違い
 ~頭のいい人でもこんな言い方をしている~
第3章 相手の感情を認めれば、それだけでうまくいく
 ~円満な人間関係をつくる究極のヒント~
第4章 こうやればあの人との軋轢も消えていく
 ~こういう言葉使い・気使いが関係をうまくいかせる~
第5章 相手に期待するのをやめよう
 ~欠点を探すより、いいところをひとつでも認めよう~
第6章 ここがわかればあの人がもっと理解できる
 ~衆知を集めなければ競争に勝てない時代だ~

お客さま対応をおこなう仕事に就いていると、日々「よいお客さま」だけをお相手することは、まずあり得ません。また、職種や業務内容にもよりますが、本来、身内であるはずの同僚スタッフや上司、場合によっては部下にも「きつい人」がいます。人間関係のストレスにさらされる仕事ともいえますね。

この本「まえがき」にはこのように書かれています。

もしかしたら、こちらがきつい人のレベルまで降りていっているのが、問題の真相ではないでしょうか。相手もあなたのことを同じように「きつい人」だと思っているかもしれません。

この一文は、自分が「きつい人」に振り回されている被害者だと思い込んでいたわたしにとって、ものすごい衝撃でした。さらに、以下のような文章が書かれています。

コミュニケーション力とは苦手な「きつい人」といかに人間関係をつくり、いかに動かし、いかに引き立てを受けるかが試金石です。それができないようでは実戦に耐えません。

うーん、厳しい(笑)。でも、そのとおりですよね。

第1章では、「きつい人」がどのような人なのか、「承認」とはどんなことかが、書かれています。p.31からは、「感情の世界でわたり合っても絶対に問題は解決しない」という見出しで、

感情の世界でやり合うことで、双方が悪感情を募らせ、結果的に人間関係のすべてを、失うことになる。

と、危険性を指摘します。

相手は慢性的に感情的であることもあるし、話のはずみで一時的に感情的になることもあるでしょう。その状況でこちらも感情的になれば絶望的です。

これ、まさにクレーム対応そのものではないでしょうか。そして、相手を感情の世界から引っぱり出して、理性の世界に引っ張り込むことが、ただひとつの問題解決法で、それが「承認」だと説明されます。

実は、わたしのメルマガでも、これを元ネタに、第19号から4回かけて、この「承認」について、説明しています。

第19号 人間は承認を食って生きている

よろしければご一読ください。

第2章は、「きつい人」がどのような言動で、人を傷つけるのかが、外的コントロールということばを使って、詳しく解説されます。そして、外的コントロールを使う、「きつい人」をどう変えるか、どう接するかについて、著者は、ためらいもなく衝撃の一文で切り捨てます。

あきらめてください。絶対に変わりません。

え? え? あきらめちゃうの

そうなんです。人を変えるのをあきらめ、自分が変わっていくためのノウハウが、次章から展開されていきます。第3章では、きつい人を変える努力ではなく、自分が変わる努力の具体的な手段として身につけるべき、「承認」について解説されます。第4章では、「承認」を具体的に実践する方法が解説されていきます。第5章では、相手は変えられないが、自分は変えられる、「減点法で欠点探しするのをやめ、よいところを探す」といった手法が、紹介されます。第6章では、批判、叱責は、負の遺産であり、時代が変わりつつあることを示唆して、承認される生活のすばらしさを説くのです。

「人間関係にうんざりしたときに読む本」、わたしは、最初の読了後、感動と衝撃で、しばらく何も考えることができませんでした。

感動した理由は、他人を承認する方法が、すぐに実践できるよう具体的に書かれていたことと、そのためには、自己承認が必要であることがわかったから。衝撃を受けた理由は、妻と結婚する前、長い間つき合っていた女性に対して、自分が、ここに書かれていた、「きつい人そのものだったからです。

わたしは、仕事においては、どのようなクレーム案件であっても、解決させる自信はありました。でも、人間関係に悩んでいました。わたしが人間関係がうまくいかない理由は、お客さまには承認ができていても、身内にはまるでできていなかったからだった。とても、悲しく、そして申し訳ない気持ちでいっぱいになる、切ない氣づきでした。

しかし、そんな自分すらも自分自身で承認して他の人を批判しない人になることが大切であると、この本は教えてくれます。まさに、自分自身も含めた人間関係に、「うんざりしていた」わたしにとって、この本は、希望をくれたのです。

Amazonによると、著者は7冊の本を出されていて、どれも評価が高く、この本も★4.5以上の評価でした。

わたしにとっても、人生をよい方向に変えてくれた、今でもときおり手にとって読む、大切な1冊です。自分以外の何かを変えようとして、何も変えられていない無力感を感じている方は、読むと、世界が変わるかもしれませんよ。

image by: Shutterstock

 

幸せを呼ぶ! クレーム対応術
有名企業、10数社のカスタマーセンターで身に着けた、クレーム対応のノウハウを、無料で、惜しみなく教えます。クレームのケーススタディ、クレームで自分を削らない方法、役に立つフレーズ、使ってはいけないことば、などなど、対応で役に立つことはもちろん、時事ネタや知っているようで知らなかった話を、詳しく、できるだけ面白くお伝えします。
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