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2次元なんて古い!もうそこまで来ている「2.5次元」ブームとは?

今や日本の漫画、アニメ、ゲームは国内にとどまらず、海外で多くの人気を集めています。しかもそれはかつてのように「子ども向け」としてではなく、「アート」のひとつとして大人たちに受け入れられています。そして最近新たに「2.5次元ファッション」という言葉が広まりつつあるようです。メルマガ『j-fashion journal』で詳しく見ていきましょう。

2.5次元ファッションの可能性

2.5次元は2次元と3次元の中間を意味する。

2次元は平面の世界。マンガやマニメ、ゲームの世界である。3次元は我々が生活している立体の世界である。

2次元の世界は、二種類に分かれる。3次元の世界を2次元に表現したものと、2次元オリジナルの世界である。

ファッション雑誌は3次元を2次元で表現したもの。通常、ファッションの世界はランウェーのモデルやラグジュアリーブランドが憧れの対象となる。

一方で、2次元のキャラクターを3次元で表現したものがコスプレだ。

コレクショントレンドにも、マンガ風のプリントのドレスなどが登場し、2.5次元はトレンドテーマの一つとなっている。

最近の若者世代は非婚率、カップル率も低く、異性と付き合うのが面倒と感じる人が増えている。もはや、コレクションに登場するモデルはリア充の象徴であり、非現実的な存在になっているのかもしれない。

生活時間の中でスマホやゲームに没頭する時間が増えれば増えるほど2次元の世界がリアルとなり、現実の3次元の世界にリアリティを感じられなくなっているのかもしれない。そういう意味でも、2.5元のファッションというコンセプトは現代を表現するものと言っていいだろう。

新たなマンガの著作権管理とライセンスビジネスモデル

マンガは日本を代表するサブカルチャーであり、海外の人気も高い。また、東京のストリートファッションも世界から高い評価を受けている。しかし、マンガのコンテンツをファッション商品やブランド展開する例は非常に少ない

最も大きな原因は、複雑なライセンス契約にある。一業種一社、一アイテム一社という縛りがあると、新規参入は難しい。

また、ミニマムロイヤリティの金額も問題である。通常、ライセンス契約にはミニマムロイヤリティとライセンス使用料(売上の歩合)が同時に設定される。売れるか売れないかが分からない段階でミニマムのライセンス料を支払い、更に生産数量に関してロイヤリティを支払うことは、アパレルビジネスにとって非常にハードルが高いのだ。

サンリオの「ハローキティ」は、売上歩合の率は高いが、ミニマムロイヤリティーがない。そのため、数量限定のコラボ企画の事例が多い。

もし、出版社、印刷企業等が話し合い、一業種一社等の縛りを撤廃し、ミニマムロイヤリティをなくし、歩合というよりも本物であることを証明する証紙や織ネームを製品に付けるような仕組みにすれば、利用する企業は増えるだろう。

ただし、ブランドイメージを下げないように商品のアプルーバルは行うべきだと思う。そして、ライセンス商品は全てWEBに公開する。その際、企業名、品番、小売価格だけでなく、欧米並にサプライチェーンのトレーサビリティを義務付けることが望まれる。

それにより、環境問題、人権問題等のCSR(企業の社会的責任)をクリアすることが可能になる。マンガのライセンス商品は社会的責任を果たしている、社会に貢献する商品であるというイメージを訴求しなければならないだろう。

この仕組みを出版社が単独で構築することは非常に難しい。といって、アニメのように、広告代理店、テレビ局、映画会社が権利を縛りすぎるとライセンスビジネスの広がりがなくなってしまう。

紙媒体のマンガは、アニメとは権利ビジネスの仕組みを切り分けて、出版社、印刷会社による一般社団法人、有限責任事業組合、株式会社等の新たな著作権管理団体を設立し新しいビジネスモデルを展開するべきではないか。

書店の店頭イベントとの連携

新しい商品を作ることができても、どこで販売するかが問題になる。

現在、アパレルビジネスは店頭販売からイベント販売、ネット販売へと転換している。

かつては、店舗を増やすことが売上と利益を保証することにつながった。現在は固定店舗を持つことは、経費が固定することを意味する。単に店を出しても利益を確保することはできない。

小売店が不調なのは、書店も同じだ。アマゾンなどのインターネット通販、ブックオフ等の古本流通が成長するにつれ、既存の書店の売上は減少している。

ファッション業界においても、アパレル企業の事業部廃止、店舗の大量撤退が続いている。一方で、ファッション雑誌の廃刊も続いている。現在では、ファッション雑誌よりも、ブログやSNS等の影響力が強まっているのだ。

ファッション業界出版業界も時代の変化の中で、既存の事業モデルが成立しにくくなっている

もし、マンガのキャラクターを使った商品開発を進めることができれば、書店の店頭で書籍以外の商品を販売するイベントを開催できる。これまでマンガ雑誌やマンガ単行本を販売するプロモーションは、平積みにしてPOPを出す程度だった。

コスプレイベントや撮影会、限定商品の販売等を組み合わせるインストアイベントを行うことができれば、ニュース性も高まり集客力も高まるに違いない。

開発した商品は、ネット販売と書店でのイベント販売を中心に展開することで書店、出版局にも相乗効果が期待できると思う。

新しいモノ作りの仕組み

これまで、マンガのライセンス商品と言えば、子供服や子供靴、子供用玩具等が中心だった。マンガの読者は大人が多いにも関わらず、大人向けライセンス商品が存在しなかったのである。

その理由の一つは、マンガをそのままプリントするような安易な商品が多かったからではないか。プロのファッションデザイナー、テキスタイルデザイナーが本気でそのマンガをリスペクトし、本気でデザインに取り組めば、大人の鑑賞に耐えるような商品が生み出せると思う。

こうした完成度の高い作品が展開できるようになれば、海外のマニアを惹きつけることができる。そうなれば、書店が観光拠点としても機能するかもしれない。

その上で、一点モノの商品で販売するのも良いし、ある程度の量産を進めるのも良い。全てを大量生産しようとすれば、どうしても幅広い顧客層を対象にしなければならず、尖った客層には届かない。

たとえば、クラウドファンディングのような仕組みの受注サイトを作る。サンプルを提示し、生産ロットが満たされる受注が集まれば本生産するというシステムである。

国内のプレタ工場で凝った製品をつくるのであれば、20枚限定という考え方もあるだろうし、中国の工場を使うなら200枚、東南アジアの工場を使うなら1000枚という設定も可能である。

一枚から数万枚までのビジネスが可能になれば、グローバル展開も可能になるだろう。

image by: Tofudevil / Shutterstock.com

 

j-fashion journal

著者/坂口昌章(シナジープランニング代表)
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