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元旅行読売編集長が耳打ちで教える、お得でオイシイ温泉宿の愉しみ方

すっかり暖かくなって、春の行楽シーズン真っ盛りですね。「ゆっくり温泉に浸かりたいけど、ちょっとお財布事情が…」という方は必読。『旅行読売』の元編集長発行のメルマガ『『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』の新コーナー「お気楽ビジネス温泉ひとり旅」では、栃木・塩原温泉郷のビジネスプランのある超お得な温泉宿を紹介しています。

ビジネスプランのある温泉宿「旅館 上会津屋」

今号は共同露天風呂「不動の湯」の閉鎖&再開で話題になった塩原温泉郷からビジネスプランのある温泉宿をレポートする。

この上会津屋は、塩原温泉郷の中心部、温泉街の真ん中に立っている。隣は観光協会などが入っている「塩原もの語り館」であり、温泉郷観光の拠点としても非常に便利な立地である。 

この宿の宿泊プランに、食事無しの素泊まり夜21時までチェックインOKで、2人1室だと1人5000円+入湯税150円~のプランがある。安い! ちなみに1人1室で泊まると7000円+150円~である。 客室は空き次第だが、上記最安料金だと和室7.5畳またはツイン+踏み込みだ。

僕は今回、じゃらんから申し込んで、12.5畳の和室に1人で泊まって8000円+150円だった。 加水(山水)かけ流しの自家源泉大浴場付きだと考えれば、決して高いものではない。 場所によってはドーミーインより安い。

 宿は清潔感たっぷりで、宿入り口から玄関に向かう途中に自家源泉があり、ここで源泉を飲むこともできる。 自家源泉が見える宿というのが売りだ。

 ビジネスホテルではないので、客室にLANは完備されていないが、ロビーではWi-Fiを無料で利用できる(パスワードを入力するタイプ)。僕は腰がひどく悪いので(脊椎管狭窄症)、和室に座ってPCを使っていると膝やら腰やらが痛くなってしまうのだが、このあたりは正統派温泉宿ということで致し方ない。 本来はビジネス向きではないからね。

 2人で7.5畳の和室だとかなり狭苦しい感じになることは否めないが、ひとまず部屋でゆっくり寝られて、天然温泉にも入れる、ということで割り切れば、1人5150円の予算はかなり安い

 塩原温泉郷は全体的に宿の料金がリーズナブルなのだが、それでも、1泊2食で1万2000円程度だと、やはり夕食などはあんまり期待できないものだ。

そう考えると、このプランを利用すれば2人で1万4000円分も夕食に使えるという計算にもなる。 塩原あたりの店でこの金額を使うような店というのは、まずない。 というか、この金額を使うとすれば、相当いいものを味わうことができると言っていい。

食事がつかないからこそ、自分のペースで宿泊できる

宿の夕食がつかないということには、もう一つメリットがある。宿の大浴場というのは、たいていの客がこぞって夕食前に入浴するものだ。よって、夕方5時半くらいというのはどうしても人でごった返す。ところが、このプランには夕食が付かないから、他の客が夕食を食べている時間、6時半くらいには大浴場をほぼ独泉状態で利用できる

本当に、全然、人がいない。 この広いお風呂いっぱい、全部オレのもの

朝食の時間についても同様である。 皆が朝食を食べている8時半過ぎは、大浴場もがら空きだ。 実にゆったり、のんびりと湯に浸かることができる。

そもそも僕は、旅館の朝食の時間について、相当昔から大きな疑問と不満があった。 朝食時間は8時をベースに、その前後30分くらいの3パターンから選ぶようになっていることが多いわけだが、最も遅い8時半に朝食を食べるとすると、部屋食だと8時には起こされて布団を上げられてしまう。8時朝食だとすれば、起きるのは7時半だ。

僕は男だからまだいいが、女性などは化粧をしたりしないといけないので、さらに早起きをしないといけないそうである。

 今の僕はフリーランスなので、別に平日に何時に起きたってかまわないが、かつてサラリーマンだったころは毎日8時に目覚ましをかけていた。つまり、自宅で仕事に行く日に起きる時間よりも、休みで温泉宿に泊まりにきている日の方が起きるのが早い(よくても同じ時間)、ということになる。

これでは、なんのための休日かわからない。 朝飯なんか別にいらないから、休みの日くらいゆっくり寝かせろと思う人も多いはずである。だいたい、起きてすぐに朝飯なんか食べられないっていう人も多いのでは?

そこへいくと、素泊まりであれば9時過ぎまではゆっくりと寝ていられる。この宿はチェックアウトが10時なのでこの時間だが、11時チェックアウトの宿であれば、10時過ぎまで惰眠をむさぼれるわけだ。

仮にそれで朝風呂に入りそびれても、塩原には200円くらいで入浴できる共同湯や露天風呂があるから、そちらにのんびりと入ればいい。 

このような考えであれば、夜の飯はけっこう遅くまで飲んだり食べたりして、休日の晩餐をゆっくりと楽しむことができる

安くて美味い!塩原温泉オススメのお店

さて、そこでおすすめのお店の紹介である。

まず、宿から歩くと15分ほどかかるのだが、それでもおすすめしたい店が「くいものや 花水木」である。

この食べログの評価得点は低すぎると思う。 僕はもう20年ほど前から塩原に通っているが、塩原に泊まる時には必ずここへ飲みにいく。

(お店の外観はこんな感じ)

食べログで「イタリアン」に分類されているが、それは店主がもともと東京・麻布のイタリアンで修行をしていたからで、確かに洋食が中心メニューではあるが、地元の人は気の利いた居酒屋的に利用している。

夜は何しろ地元の客が多い。 そして、ナニを食べても本当にうまい。それでも、カウンターもあって、1人でいってもくつろげる。 ボラれない。

(帰る間際に撮影した店内。 奥に見えているのがマスターだ)

この日は、古くから交流のある観光協会の職員(男女各1名)と会食。

男性職員は自宅が白河で、車で帰るというのでウーロン茶を注文。 他の2人は生ビール540円を1杯ずつ。 そして僕は「天鷹生酒」1080円1本。さらに日本酒の冷やを2合徳利で2本もらい、ぐいぐい飲む。女性職員の方はひたすら生ビールをジョッキで流し込んでいる。

つまみの方は、座ってすぐにお通しが3人分、別々の料理で登場。

(お通し3種。 焼きナス茗荷、ゴーヤーチャンプル、ナスとピーマンとカボチャの揚げ浸し。 これで3人分)

ほかにイチオシの「和牛のたたき玉ねぎポン酢」972円、当日のおすすめ料理から「鯛と野菜のカルパッチョ」972円、「きのこサラダ」648円、そして僕の大好きな「クリームコロッケ」756円を注文。

(和牛のたたきと、奥が鯛と野菜のカルパッチョ。 盛りつけもきれい)

(きのこサラダ)

(クリームコロッケ。 ホワイトソースも手作りで、中はとろとろだ)

ほかにサービスで出てきたもつ煮込みや、ピザをつまんで、お会計は3人で1万円ちょっとだった。 うむー実にリーズナブルだ。

マスターの実家が元・肉屋だったこともあって、肉料理はピカイチである。和牛ステーキ丼1836円などの食事ものもそろっているので、下戸にもお勧め。

 ここで皆と別れ、帰りに、もの語り館の隣、宿から徒歩すぐのところにある居酒屋「九ちゃん」へはしご酒。 ここは夜12時までやっているので、遅くチェックインした時にも重宝するはず。 やはり地元客に人気の店だ。

(赤い看板が目印だ)

 名物は「ぼてじゅう」という、お好み焼きにチーズがかかったようなオリジナル鉄板焼き。 見た目はソース味が濃いように思えるが、意外にあっさりしていて、ぺろりと食べられてしまう。

(名物のぼてじゅうは、中550円、大650円。 写真は大)

 ここでもエビスのグラス生ビール450円1杯と、「天鷹」純米酒450円1杯、「陸奥八仙」特別純米550円を飲み、鹿刺しと馬刺しの盛り合わせ1500円を注文。 帰りに漬け物盛り合わせ500円とおにぎり2個500円をお土産にしてお会計は4320円だった。 安いねえ。

(鹿刺しと馬刺しの盛り合わせはかなりボリュームがある)

やたらに食って飲んだ一夜で、翌朝は予定通り9時過ぎに起床。

10時過ぎにチェックアウト、帰る途中のガストでモーニングを食べた。

ガストのモーニングメニューはやたらに安い。 朝食はこれくらいでいいのだ。

温泉街全体の活性化にも、泊食分離が効果的

これだけ食いまくり飲みまくりで、温泉宿に泊まってトータルで1万3000円もしない

だからこそ、ビジネス温泉はやめられない。

泊食分離が話題になり始めてずいぶん経つが、ようやく温泉地の宿でもこうしたビジネスプランを打ち出すところが増えてきた。

個人的な意見だが、1泊2食で5万円くらいの宿でない限り、積極的に泊食分離を進めた方がいいと思う。 親方には悪いが板長の給料はすごく高い。おまけに、板長を変えると部下もこぞって辞めてしまう。 そういう世界だからこれは仕方がない。 宿は客が多かったり少なかったりするものだから、毎日毎日、板前さんたちを雇っているのはかなりの無駄だと思う。

ならば、飯は温泉街の店で、食事だけで勝負している地物を食べさせる店に送り込み、多少のマージンをとることで、お互いに潤うのではないか。

少なくとも、温泉街を夜歩く人間が増えれば、夜遅くまで営業する土産店も出てくるだろう。 今の温泉街は、宿が2次会のスナックも夜食のラーメン所も備えているので、誰も宿から出ない。 これでは温泉街は寂れていく一方だ。

宿泊料金を限界まで下げているので、土産や二次会でなんとかもうけを確保しようというのもわかるが、温泉街全体の発展にはつながらない。

 というような話を、僕は『旅行読売』編集長のころからずっと説いて回っているのである。 それはみんなわかっているけれども、目先のもうけが重要で、つぶれちゃまずいわけだから仕方が無いのだけども、もう少しなんとかならないものかなぁと思う。

 まあ、だから、このビジネス温泉などという企画がかなり人気を博しているのだろうけども。 これらの話は、またいつか、細かく発言したい。

 

というわけで、次回は、静岡市の健康ランド併設のホテルをご紹介する予定。

どうぞお楽しみに。

image by: Shutterstock

 

温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』より一部抜粋

著者/飯塚玲児
温泉業界にはびこる「源泉かけ流し偏重主義」に疑問を投げかけた『温泉失格』の著者が、旅業界の裏話や温泉にまつわる問題点、本当に信用していい名湯名宿ガイド、プロならではの旅行術などを大公開!
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