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生命保険は相続財産になるの?素朴なギモンに行政書士が回答

自分に万一のことが起こった時のために入る生命保険。しかし、保険の内容はわかっていても、死後の相続に生命保険がどう関わるかご存知ない方も多いのではないでしょうか。無料メルマガ『こころをつなぐ、相続のハナシ』では、誤解されがちな生命保険と相続のお話についてわかりやすく解説しています。

生命保険は相続財産なのか?

相続にあたっての生命保険の取り扱いについては、誤解が多いように感じます。今回は、相続における生命保険金の性質について、解説します。

まずタイトルにも記載した、「生命保険は相続財産なのか?」という疑問。結論から言えば、生命保険は相続財産ではありません

なぜ相続財産だと誤解されがちかというと、おそらく生命保険金が相続税の対象だからではないでしょうか。実は税法は、民法を参照していて、原則として民法上の相続財産に相続税をかける、としているのです。

しかしそれでは、民法上の相続財産ではない生命保険金に課税できないこととなってしまいます。

もし「預金には相続税がかかるけど生命保険金には相続税が一切かからない」ということであれば、「じゃあすべての預金を生命保険にして、相続税を0にしてしまおう」ということができてしまいますよね。

このような課税逃れを防ぐためにも、わざわざ相続税法では、生命保険金を「相続財産とみなす」ということにして、課税できるようにしているのです。生命保険が「みなし相続財産」と呼ばれるのは、そのためです。

では、生命保険金が相続財産ではないとなると、預貯金等の相続財産と生命保険金は、どう異なるのでしょうか。大きな違いは、「生命保険金は、遺産分割の対象にならない」ということです。

相続が起きたとき、例えば遺言書がないのであれば、「この預貯金は誰がもらおう? この不動産は誰がもらおう?」という話し合いをしますよね。これが「遺産分割」です。

しかし、遺産分割の対象になるのは、相続財産だけ。となると、繰り返しになりますが、生命保険金は相続財産ではないので、この遺産分割という話し合いの対象にならない、ということです。受取人の指定された生命保険金は、最初からその受取人のものなのです。

つまり、相続人が長男、次男の2人だったとき、仮に生命保険の受取人がすべて長男だったとしたら、その生命保険金は最初から長男のもので、「その中から少し次男に分けよう」とか、「自分はいらないから次男が全部もらってよ」ということが、そもそもできない、ということです。

受取人である長男が受け取った生命保険をほかの人に分けるとなると、いくらその合意が遺産分割の話し合いと合わせて行われたとしても、単に長男から次男への贈与となり、贈与税が課税される危険性があるのです。

生命保険は相続の対策として、使い勝手のよいものです。しかし一歩間違えると、望んだとおりの分割ができなかったり、余計な税金を払う必要があったりする可能性もあります。その性質をしっかりと理解されたうえで、効果的に活用されることをお勧めします。

image by: Shutterstock

 

こころをつなぐ、相続のハナシ
行政書士山田和美が、相続・遺言について情報を発信するメールマガジン。「相続人って誰のこと?」という基本的な事から、「相続が起きると銀行口座どうなるの?」等のより実務的な疑問まで幅広くお伝えして参ります。
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