アニメ業界だけじゃない。才能の宝庫を潰す「日本式システム」の弊害

 

高城剛さんの回答

この構造的問題は、もう二十年以上続いていると思います。

かつて、アジア最大のアニメーション会社、東映アニメの元取締役としてデジタル化戦略を担当した身とすれば大変耳が痛い話で、当時僕は2Dのデジタル・ネットワーク構築後、3Dアニメーションの全面的導入を目論みましたが、わずかしか叶わず、志半ばに僕も欧州に転出していまいました。

しかし、アニメ業界は才能の宝庫だと感じ、貴君と同じように業界の問題を提起して、なかば腐っていた細田守を強引に引き上げルイヴィトンのアニメーション等にキャスティングし、その後の活躍を見る限り嬉しい限りなのですが、後続の人材が現れないように最近は感じています。

このような経験を通じてわかったことは、既存フレームにハマらない上司やプロデューサーとタッグを組み、同じアニメでも既得権益とは違った場所を目指すか、自身で予算を集め、プロダクションと言わずとも制作をはじめるしか、業界および貴君の現状を打破する道はないように思います。

そして、その起業地は日本であることを問いません

なぜなら、この問題は一見アニメ業界の問題だけにも思えますが、実は労働体系から業界的慣習まで、悪しき「日本式システム」そのものだからです。

おそらく、いまお感じなのはアニメ業界だけの問題ではないのです。

ぜひ、新天地の可能性を見出してください

最近は60代での転出も増えています。

なぜならこの先、あらゆる業界と人々にさらに余裕なくなっていくからです。

image by: Shutterstock

 

takashiro 『高城未来研究所「Future Report」』
著者:高城 剛
1964年生まれ。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。毎週2通に渡るメルマガは、注目ガジェットや海外移住のヒント、マクロビの始め方や読者の質問に懇切丁寧に答えるQ&Aコーナーなど「今知りたいこと」を網羅する。
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