「バッティングが嫌いだった」伝説のホームランバッター・中村紀洋が今だから語る裏話

2016.06.03
by まぐまぐ編集部
 

ただただ楽しかった怪物・松坂大輔との勝負

──バッティングに関してもお伺いしたいのですが、今まで対戦された中で、特に印象に残っている投手を教えていただけますか。

中村:やはり、松坂大輔(現在・福岡ソフトバンクホークス所属)ですね。18.44メートル(投手と打者の距離)を、三振かホームランかという感覚で、2人だけの空間として思い切り楽しめました。三振しても、打てても、ただ楽しいんです。勝負なので勝敗はありますが、そこにこだわらず、1球1球に集中できました。毎日だと身が持たないぐらい集中していましたね。

──それほど松坂選手のボールはすごかったんですね。

中村:他の選手とは違いましたね。「打てるものなら打ってみろ!」という球と、「打たれたら嫌だから、コントロール良く投げよ。フォアボールでもいいや」という球では違いますからね。一球一球への思いが、「ヒットでは駄目だ。ホームランじゃないと納得できない」という気持ちにさせられました。

──松坂選手以外に気になった選手はいらっしゃいましたか。

中村:元・千葉ロッテマリーンズの清水直行ですかね。彼は、打たれたらしょうがない、打たれて当然という感覚でいるんです。僕に「なんで打てないんですか?」と逆に聞いてくるくらいなんですよ(笑)。

僕は、清水に「フォークだけは投げるなよ」って言っておくんです(笑)。そう言っておいても投げてきたんでホームランにしてやりました。「だから、フォークは投げるなって言っただろ」って。そういったやりとりを試合中にやってました(笑)。

──試合中にですか?

中村:ファーストを守っていると、相手ピッチャーがイニングの途中でキャッチボールをするため出てくるじゃないですか。その時に、フォークはダメだよって身振り手振りで伝えるんですよ。

──そんなやりとりを試合中にしてたんですね。

でも次の打席でフォークを投げてくるんですよ。ダメだって言ったのに(笑)。

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