店頭ボードが手書きなのは意味がある。スタバが客をとりこにする理由

2016.06.06
by yomeronpou
 

カスタマイズの行き着く先とは

カスタマイズの行き着く先は、顧客一人ひとりの好みや志向に合わせた商品・サービスを提供することです。カスタマイズできる、主要商品・サービスに付随するオプションの提供と充実は欠かせません。加えて、顧客一人ひとりの好みや志向に合わせた接客サービスが重要になります。たとえ不特定多数の顧客を相手にする商売だとしても、2回目以降の来店客であれば、前回の来店時の注文などの履歴から最適なカスタマイズされた提案を行うといったことがより求められていくようになるでしょう。

単に「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」といった機械的な会話を行うだけの従業員しかいない店は今後淘汰されていくでしょう。「前回注文された商品にこちらの無料のオプションを付け加えたものがオススメですが、いかがですか?」といったカスタマイズされた提案を行える従業員の存在が求められていきます。繰り返しになりますが、不特定多数を相手にする商売においても必要です。

そうなると、重要となるのが接客サービスを行う従業員です。顧客一人ひとりにカスタマイズされた接客サービスを行うのは現場にいる従業員だからです。提案型の接客サービスは提案する権限が従業員に委譲されていなければ実現できません。画一的に上意下達でロボットのような行動をする従業員を育成するのではなく、従業員の自発性を育みバラエティ豊かな提案ができる従業員の育成が求められます。

ちなみに、冒頭のカスタマイズのメッセージボードの掲示は必ずしも全てのスターバックスの店舗で行われているわけではありません。個店の判断で掲示しているようです。つまり、冒頭の某店舗の従業員が自らの判断でカスタマイズの提案を行っているのです。これは権限委譲が行われていなければできないことです。

また、従業員の自主的な提案のため、カスタマイズの提案に温かみと説得力が生まれています。顧客はその提案を受け入れやすいとも言えます。本部から上意下達されたカスタマイズの提案であればそうはいきません。顧客はこの違いを敏感に感じ取るものです。

スターバックスはカスタマイズの重要性とそれを実現する従業員の重要性を十分に認識していると言えます。消費者や顧客のニーズを真に汲み取っている店だと常々思うのです。スターバックスの強さの秘密を垣間見ることができました。

image by: Sorbis / Shutterstock.com

 

店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業
著者/佐藤昌司
東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
<<登録はこちら>>

print
いま読まれてます

  • 店頭ボードが手書きなのは意味がある。スタバが客をとりこにする理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け