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これだから「とっておきのアイデア」を温めている奴には発想力がない

何日も考えてやっと浮かんだ素晴らしいアイデアを「ここぞという時に使おう!」と温め続けていませんか? 無料メルマガ『ビジネス発想源』の著者でマーケティング戦略の指導者として知られる弘中勝さんは、そのようなアイデアにロクなものはないとピシャリ。本物の発想力について、自身の考えを熱く語っています。

虎の子アイデア

発想力に自信があります!」という人は、すごくたくさんいます。「発想力に自信のある人!」と採用募集をかけたら、もう驚くほどめちゃくちゃ集まります。

でも、発想力というのは数値化しにくいものなので、誰だって「発想ぐらいできますよ」と言うことができ、そして大体は全く使い物になりません

なぜかというと、アイデアというものは、その状況に応じて変化させたり産んだりしていくもので、前の業界ではすごいと言われていたアイデアがそのまま次の業界で使えるというわけでもないから、「今の業界では、大した発想力とは言えない」ということだって十分にあるわけです。

大した発想力ではない人によく見られる特徴に、「虎の子自慢」というのがあります。虎の子というのは、「自分は今すごいアイデアを持っているんですけど、このアイデア、聞きたくないですか?」という秘蔵っ子のアイデアのことです。

まず、こういうことを言う人は発想力がない証拠です。

アイデアというのは水物で、「これは今までにない、すごい画期的なアイデアだ。これは人に漏れるとまずい。ずっと温めている」なんていうアイデアに限って、もう世の中の何百人も同じことを考えているのです。本人だけがすごいと思っているだけなんですね。そしてそれを後生大事にしているということは、「それ以上の発想ができていない」、つまり発想力がないのです。

本当に発想力のある人は、状況に応じてどんどんアイデアを出していくから、「とっておきの虎の子アイデア」なんて使い物にならないことはよく分かっています。だから、虎の子アイデアを引っさげて「このアイデアを売ろう」なんて考える人は、ものすごく考え方が浅はかです。大事なのはアイデアではなくて、そのアイデアを形にしたものだからです。

私は風景を共有するスマホアプリを作ったのですが、これを作った当初、もういろんな人から、「自分もこういうアイデアを持っていた」とか、「同じことを考えていた」と飽きるほど言われました。アイデアを持っていたとか、考えていたとか、そういうレベルの人は本当に何の意味もなくて、それをどう形にしたのかという形があって初めて、「ああ、じゃあこういうコラボができますね」という話になっていきます。

スマホアプリが出来てからも、発想力自慢の人たちから「こういうアイデアがあるけれど、どうだろう」とか「自分だったらこうやるけどなー」とか、アイデアの提案がすごいたくさん来ます。「じゃあ自分でそれをやればいいじゃない」と思うのです。

自分はアイデアを形にすることを一切やらずに、人がやっていることにアイデアだけで乗っかろうとする人、ものすごくたくさんいるのですが、それでは何の価値もないんですね。

本当に自信のあるアイデアだったら、もうとっくに、形を作ることに取り組み始めています。取り組み始めると「そうか、こういうアイデアもあるな」「このアイデアはダメだな」と試行錯誤をして、いろんなアイデアを産んだり捨てたり組み合わせたり、アイデアの形をいじる作業になっていきます。

だから、アイデアだけが単独でそのままあって「これはいいアイデアだから、とっておきにしてます」なんていう虎の子アイデアは、ほぼゴミなのです。ほぼゴミの古い家具を「これはどこかで使えるに違いない」と取っておくと家の中を無駄に占拠してしまうように、虎の子アイデアというのは、とても邪魔ものです。

その虎の子アイデアを「これが最高」と思っていることが、それ以上のアイデアを出すことを阻害してしまい、発想力がどんどん衰えていく上に、自分の未来の行動もどんどん制限されていくからです。

発想力で大事なのは、最高の虎の子アイデアひとつを大事に育てることではなく、何匹もの虎を産み続けることなのです。そこを勘違いしていると、人生を大きく損します。

 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)

image by: Shutterstock

 

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