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孫正義率いる米スプリントが9年ぶりの黒字。海外メディアの反応は?

ARM社を買収したことで、様々な人から批判を受けているソフトバンクの孫社長の話題を『毎日5分! 経済英語NEWS!』の著者・八木翼さんが分析しています。

ソフトバンクの孫社長は、記者会見でこう言っていたそうです。

「10年前にボーダフォン日本法人を買ったときも当時は高いといわれた」

 「多額の投資をするときはいつもみんな反対だ。35年のソフトバンクの歴史でいつもそうだ。買収のプロセスが進み始めると、ほとんどの人が賛成に変わっていく。それは僕が熱心に説明するから。理屈を納得した場合もあれば、しぶしぶ理解してくれる場合、いろいろあると思う。今現在は、ソフトバンクの経営陣は全員、エキサイティング(な買収)と思ってくれていると思っている」

「ちなみに(社外取締役の)柳井(正)さんは、ほとんどの投資に反対するが、ボーダフォン日本法人のときは賛成してくれたし、今回も賛成してくれた。(取締役の)ジャック・マーも非常に強く賛成してくれた」

私も賛成していますが、別に適当に言っているわけではありません。

ニュースを見てみましょう。

原文

【Sprint says to be cash-flow positive next year, shares soar】

Sprint Corp (S.N) reported better-than-expected first-quarter revenue as big discounts attracted more postpaid subscribers, and the No. 4 U.S. wireless carrier said it expected to be cash flow positive next fiscal year after breaking even this year.

The company’s shares surged more than 28 percent to $5.93 on Monday – their biggest intraday percentage gain ever – after it also said it had enough money to fund its business this year.

Some analysts and investors had raised questions about Sprint’s financial position after majority owner SoftBank Corp (9984.T) agreed earlier this month to buy UK chipmaker ARM Holdings Plc (ARM.L) for $32 billion.

Sprint said it added a net 173,000 postpaid phone subscribers in the three months ended June 30 – the biggest increase for any first quarter in nine years.

That compared with a net loss of 12,000 subscribers in the same period last year.

“We believe the turnaround story is taking shape,” Wells Fargo analyst Jennifer Fritzsche said in a client note.

(一部引用 REUTERS:BY AISHWARYA VENUGOPAL)

和訳

【スプリント、キャッシュフローは来年プラスに、株価上昇】

スプリントは、予想以上の第1四半期の収益を報告した。大幅な割引が前納使用者を引き付け、米No.4の無線キャリアは、今年はトントンになり、来年度はキャッシュフローがプラスになると予測していると述べた。

この会社の株式は月曜、5.93$となり、28%以上上昇し、1日のうちで過去最大の上昇となった。また、今年事業に投資するのに十分な資金があることも付け加えた。

何人かのアナリストや投資家は、主要株主であるソフトバンクが、今月前半に、英チップメーカーのARMホールディングスの買収に同意した後、スプリントの財務状況に疑問を呈していた。

スプリントは、6月30日までの3カ月で、173,000人の前納使用者が加わったと述べ、過去9年間のどの四半期よりも大きな上昇となったと、述べた。

昨年は、同時期、12,000の使用者の純損失であった。

「我々は、逆転劇が形になってきたと考えている。」と、Wells FargoのアナリストであるJennifer Fritzscheはクライアント向けに述べた。

経済コラム

さて、孫さんがいくら「自信ありますっ!」と言っても、銀行の幹部は説得されちゃうかも知れませんが、私は、信用しません。いったいARM社では、どれだけの利益の増加が見込めるのでしょうか?過去のARM社のEPSから見てみましょう。

年 EPS($/株)
2015 30.2
2014 24.1
2013 20.6
2012 14.7
2011 12.4
2010 9.34
2009 5.45
2008 5.66
2007 4.79
2006 5.02

過去10年のEPSの成長率から、今後10年のEPSの成長率を求めています。

これまでもスマートフォンなどでIoTの分野が発展してきた通り、自動車やその他さまざまな製品(VRとか)でも、IoTの概念は増加していき、消費量は増えていくと予想できます。過去10年で見てみると、EPS成長率は、19.7%です。こんな会社ほぼありません。

もし、EPSがこのまま成長すると考えたとき、10年後のEPSは、152.35$/株となっています。現在のEPSの約5倍です。その時に、株価は5倍になっているはずです。一株約2380ドルで孫社長は購入しています。これだけ見れば、PERは78.8倍でありえないほど高い数字ですが、10年後には、10年後EPSでは、約15倍になっています。

さらにEPS成長率の相関係数は、0.9004と、非常に高いです。これは、私がこれまで投資を成功させてきた、ニトリ、ABCマートと並ぶほど、高い直線性を示しています。私はこの投資は、成長率、ソフトバンクの目指す方向性を考えても妥当だと思います。EPSが5倍になるということは、全体の利益も5倍になるということです。2015年時点でARM社は、

売上高 :約1,488億円
営業利益:約 406億円
(100円/$)

です。

これが5倍になると考えれば、

売上高 :約7,440億円
営業利益:約2,030億円
(100円/$)

となります。

2015年のソフトバンク業績は、

売上高 :9兆1,535億円
営業利益:  9,994億円

です。

ちなみに、ソフトバンクのEPSも安定して成長し続けており、
成長率は、30.9%です。

年 ROE(%) EPS(円/株)
2015 25.58  402.49
2014 18.14  562.20
2013 18.40  436.95
2012 18.78  332.51
2011 29.77  285.78
2010 34.8   175.28
2009 22.9   89.39
2008 11.4   39.95
2007 32.6   101.68
2006 11.0   27.31

この成長率で伸びれば、10年後には、約10倍になります。相関係数も0.8666と悪くありません。つまり、

売上高 :90兆円
営業利益: 9兆円

もちろん、規模の問題があるので、ここまで行けるかは不明ですが、今回のSprintを見ていても分かりますが、成長することはかなりかたいでしょう。こう考えると、現在PER9.9倍で放置されているソフトバンク株は、買いなのかもしれません。

(※編集部注:一部、記事内容を修正いたしました)

image by: Shutterstock

 

毎日5分! 経済英語NEWS!』より一部抜粋

著者/八木翼
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