現役教師が提案。子供たちに「6つのいじめの種」を発見させる授業

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今月5日、岩手県矢巾町の中学2年男子生徒がいじめを苦に自殺したとみられる問題で、事件後、学校内で実施されたアンケートに、数十人の生徒がいじめに気づいていたと答えたことがわかりました。今回の事件はなぜ止められなかったのか?学校側の指導の有無などが疑問視される中、「いじめ防止授業」の必要性について、メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』で専門家が見解を述べていますので、ご紹介いたします。

いじめと授業

7月5日に起きた中2のいじめ自殺事件、毎日のように新しい事実が判明しています。学校の姿勢が大きく問われているこの事件ですが、いじめが起きない学校づくりには、授業こそが最大の力であるとも言われます。今月発行の「授業づくりネットワーク」(学事出版刊)が「いじめと授業」という特集記事を組んでおりましたので紹介いたします。

本誌には教師や研究者の方々が、いじめ防止授業をテーマに執筆しています。
同誌で千葉大学の藤川大祐先生は、授業中にからかいなどがあっても注意しないような差別を肯定する授業が「いじめを助長する」とし、反対に、「いじめを抑止する授業」は、異なる意見が尊重される授業だと述べています。さらに、いじめは相手の考えを尊重する状況では起こりえないと言います。

別の観点から述べられたNPO法人ジェントルハートプロジェクト理事の武田さち子氏の意見も参考になります。亡くなった子供の遺書を読んで感想を書かせたところ、「いじめられる側に問題がある」等の被害者を責める内容が多数をしめたという例をあげ、テレビや雑誌などで紹介されているいじめ防止授業を、安易に導入することは危険だと言うのです。いじめ授業を行うためには、教師自身人権意識現代のいじめへの理解を持ち、意図せぬ結果に向かう等のリスク対応も考えて実施すべきだと述べています。

現役の中学教諭である千葉孝司先生からは、子供たちに「自分の中にある六つのいじめの種を発見させる」授業が効果的だったということが語られています。
「六つのいじめの種」として、

1.自己顕示欲などの誤った欲求充足
2.怒り、衝動性
3.自己弁護
4.うぬぼれ、ひがみ
5.あきらめ
6.誤った見解

をあげています。たとえば、

「あなたは友人が話しているのをさえぎって、自分が話すことはありませんか?」
「あなたは友人に対して、『そんなのおかしい』と批判することはありませんか?」

等の質問に答えることで、自分の中に潜んでいる「いじめの種」を発見できるとしています。これを一度きりで終わらせず、何度か行い自分の変化も実感させることが効果的だと述べられています。

以上、「授業づくりネットワーク」の特集記事を紹介いたしましたが、本書でも述べられているように、子供たちが自分とは異なる多様な考え方があることを知って、それを尊重する気持ちを育てることもとても大切なことです。
私たちは「自分がされて嫌なことは相手にもしない」「自分がしてもらって嬉しいと感じることをしてあげよう」という当たり前のことが当然だと考える子供たちを育てたいと思っています。

しかしそれ以上に、大切なことがあります。
それは「いじめは絶対に許さない」という姿勢を教師や周囲の大人たちが持つこと。この姿勢こそが、いじめ防止教育には絶対に不可欠です。この姿勢がないところに矢巾町のようなつらい事件が起きてしまうのだと思います。
加害者が悪いことは当然ですが、加害者を指導しきれていない学校の責任は問われるべきだと考えています。
「いじめ防止対策推進法」に、学校、教師の隠蔽、放置、加担に対する罰則を盛り込み、より抑止力の高いものにしていく必要があると思います。

また、私たちは、学校やPTA向けに講演やいじめ防止授業を行わせていただいております。お気軽にお問合せください。

いじめから子供を守ろう ネットワーク
松井 妙子

image by:Shutterstock

いじめから子供を守ろう!ネットワーク
「いじめ」と学校の「いじめ隠ぺい」から、子供たちを救うための、父母によるネットワークです。いじめの実態やいじめ発見法、いじめ撃退法、学校との交渉法、いじめ相談などを掲載します。
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