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有資格者ほど、過酷な「ブラック企業」を辞められない理由

一昔前は、良い条件で職に就きたければ「資格を取る」というのが常識でしたが、 メルマガ『異種会議:戦争からバグパイプ~ギャルまで』の著者、加藤健二郎さんによると、今はむしろ逆になっているようです。むしろ「有資格者」と呼ばれる人ほど、キツイ仕事を押し付けられるブラック企業にいても、退職しようとしないのだとか…その原因を、戦場カメラマンやバクパイプ奏者など様々な一面を持ち、自由に生きるカトケンさんならではの見方で解説しています。

有資格職人生のワナ

有資格者ほど、過酷な労働に駆り立てられても辞めない。もともと、有資格者になる目的は、労働条件等で優遇されるためだったような気がする。しかし、世の中の流れは変わってしまったようだ。「有資格を使える仕事に就かせてやるから頑張れ我慢しろ」と。

カトケンの音楽仲間には、有資格なんか無縁で、コンビニやファミレス、カラオケなどで時給で稼ぐ友人が多い。彼ら「仕事はお金のためのみにやってる」という思想の人たちは、ブラック企業なんかにのめりこまない。約束の時給が貰えなければ、戦うか辞めるかしか選択肢がないからだ。

一方、有資格者たちには、その資格を取得するまでの苦労などの投資を回収したいという弱みが働くのだろうか。有資格者ではないとしても「俺たち、ちょっとレベル上の職人よ」的な意識の働くシステムエンジニアやプログラマーなども・・・、または「クリエイティブな仕事」なんちゅー言葉で釣りやすい職種も。

日本人は、仕事にお金以外の何かを求める人生観を「良いこと」としている。生き甲斐、感謝、社会的影響などなど・・。だが、残念なことに、労働者の権利としてそんなものが貰えるとは保証されていない

だから、アベノミクスの勝ち組は「時給が上がったぜ、バイトなんか喧嘩して辞めてもすぐに次が見つかるぜ」と、仕事イコールお金、と単純思考になれてる人たちだ。やりがい、キャリア実績、評価、将来性などという、曖昧な甘い言葉なんか理解できない人たちの方が勝ち組なのかもしれない。

そんな中、カトケンがやってきたような、戦場屋やバグパイプなど、趣味の延長上にドッカリと収まっている職種の場合も思考は単純だ。趣味では採算は考えない。その趣味を継続できる人生を続けていることで、目的は達成しているのだから、継続さえでき
ていれば、どれほど過酷でもオーケーなのだ。ヒマラヤ登山やその他冒険探検を目指す人たちを見れば、過酷でもオーケー、を越えて、過酷たからこそ魅力、であることがわかる。趣味とはそういうもの

カトケンの周囲にも、ブラック企業問題をテーマにしている人は複数いるが、話を聞いていても、論点は簡単で「仕事はお金のため」と割り切れていない人がブラックにはまる、というところが大きいような気がする。

前述の「やりがい」などの甘い言葉もあるし、社会的責任、人間関係・・、などのことを気にして、辞めるべき職場を退職しない道を選ぶ人たちもいる。自分が他人から必要とされていたい、という「承認欲求」だろうか。「辞めれない」のではなく「辞めない道を選んでる」のは明白なようだ。だから、カトケン的には、ブラック企業問題は、企業の側に大きな問題があるのではなく「辞めないという選択」をしている労働者の側の精神的な問題が大きいように思えている。

辞めにくくしてる、という指摘もあるだろうが、それは、辞められたくない多くの組織がそういうもんで、それは根本問題ではない、ということは、本メルマガ2016年2月2日発行号でも触れた。

2月2日号では、組織側の手法にどう対抗するかの話を主にしたが、今回のこの記事の冒頭で述べている「有資格者ほど我慢する」は、労働者側個人の問題だ。苦労して投資して取った有資格を利用する仕事に就き続けたい・・と。無資格者にはできないが、自分には任されてる、というのが心地よい。投資した分を回収したいという貧乏ビジネス根性だろうかいずれにしても、そんな心境は今の時代、頭のいい経営者に安く利用されるだけだ。

バカな労働者として生きることに徹する「仕事はお金のためのみにやる」の方が大きなワナにははまりにくい。詐欺師は、そこそこ頭いい人なら詐欺に引っかけられるけど、バカを詐欺で引っかけることは難しいという。外国旅行で騙されやすいのは、外国語を
覚え始めた段階の人からそれ以上の段階の人たちとも。

image by: Shutterstock.com

 

異種会議:戦争からバグパイプ~ギャルまで

著者/加藤健二郎
建設技術者→軍事戦争→バグパイプ奏者、と転身してきてる加藤健二郎の多種多様人脈から飛び出すトーク内容は、発想の転換や新案の役に立てるか。
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