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日本撤退。オールドネイビーはなぜ、日本市場から逃げ出したのか?

米国ビジネスモデルコンサルタント・清水ひろゆきさんのメルマガ『顧客を喜ばせる世界の成功企業最新戦略紹介』。今回は、アメリカを代表する人気ブランド「オールドネイビー」の日本撤退の原因を探ります。流行のファッションを低価格で楽しめることから米国では絶大な支持を集める同ブランドが、日本で受け入れられなかった原因は一体どこにあったのでしょうか。

オールドネイビーが日本撤退に追い込まれた本当の理由とは!?

スーパーの什器にTシャツがラップされ、レトロな冷蔵庫にサングラスが陳列。アップビートなBGMにのってヘッドセットと共に陳列を手直しし、接客するスタッフ。

オールドネイビーは、価格のお得感と楽しさを売場で演出し日本では10代を中心にファミリーの支持を集めてきました。

オールドネイビーの誕生は、ファッションブランドギャップが展開する約300坪の店舗を450坪サイズのスーパーマーケット仕様へと売場を大型化することで、来店客にファッションの買い物を、お得で楽しいスーパーでのセルフサービスショッピングに変えたことが始まりです。

オールドネイビー独特の販売スタイル(スーパーを店舗に見立てた)は、94年アメリカサンフランシスコ郊外に3都市にオープンしたのを皮切りに、数年でアメリカ国内に500店舗にまで展開、当時のギャップ社の売上げの36%約4,000億円をも稼ぎ出すまでになったのでした。

オールドネイビーが成功した要因は2つ。

1つは、ヒップ(かっこいい)なファッションを、性別年齢に関係なく子供も赤ちゃんも含めた顧客層に対して低価格で提供し売場をコンセプトことした。こと

もう1つは、ファッション専門店が展開しにくい(消費者は日常の服には流行を追わない)、日常(小さい人口を対象とする)のショッピングモールで経営できる(利益を生み出せる)店舗形態(スーパーマーケット仕様を生み出し店舗数を爆発的に増やせた。ことです。

ではなぜ米国でここまで成功したオールドネイビーが日本ではうまくいかず撤退することになったのでしょうか?

オールドネイビーの米国成功事例は日本で機能しなかったのか?

アメリカで大成功を収めたオールドネイビーは、米国以外の初出店の地に日本を選び、2012年7月12日、東京・お台場のダイバーシティ東京プラザに日本1号店を出店。

世界一楽しいファッションストア」をキャッチフレーズとした本国と同様の店内ディスプレーのお店は、その後53店舗まで拡大。

しかし米国ギャップ社の経営戦略見直しに伴い、2016年5月19日、2017年1月末までに日本市場から撤退することが発表されました。

日本で展開したオールドネイビーは、本国と同様の店内ディスプレイを日本に導入(米国での成功要因の1つ、売場のコンセプト化をそのまま採用)し、出店地も日常のショッピングモール(イオンモールなど)にテナントとして展開(米国での成功要因の1つ、小さい人口を対象とする)しました。

が、日本のオールドネイビーは、なぜか米国での成功要因を日本のマーケットでは機能できませんでした。その理由とは?

日本のオールドネイビーは、利益を生み出せるスーパーマーケット仕様の店舗形態の店舗を爆発的に増やせなかったため、一定の客数(パイ)が取れず薄利多売のビジネスモデルが崩壊してしまったからなのです。

オールドネイビーの日本撤退の本当の理由とは??

オールドネイビーの強さとは、日常でも消費者(10代層を含めたファミリー)がヒップな(流行)ファッションを、価格を気にせず気軽に立ち寄れるように、お店をスーパーマーケット仕様に設え、安さの買い物体験ではなく、楽しくかっこいい買い物体験を提供したことです。

日本でオールドネイビーと競合したといわれているユニクロは、ヒップなファッションではなく、ベーシックなカジュアルファッションを提供し、(オールドネイビーのように)買い物を楽しく感じさせるようなお店づくりは行っていませんが、日常を対象とするユニクロの店舗が国内に800店舗展開している事実はオールドネイビーの競合になったことは否めません。

また、アメリカでギャップ本体も苦戦中で、今後は北米地区に存在する約1,000店舗あるオールドネイビーをメキシコも含めたマーケットで強化し、FC店舗を増やすことで収益構造を立て直していくためであることも日本撤退の要因の1つと言えます。

しかしオールドネイビーが日本を撤退しなければならなかった本当の理由は、日本の消費者にオールドネイビーでの買い物がヒップかっこいい体験だったと感じさせることができなかったことなのです。

日本のオールドネイビーでの買い物体験が、消費者にとってお得な買い物であり、ヒップ(かっこいい)な買い物体験であったのなら店舗数は米国同様日本でも爆発的に増えたはずです。

なぜなら、消費者はオールドネイビーでヒップ(かっこいい)なファッションを低価格で買い物する体験を通して、ヒップ(かっこいい)なファッションを疑似体験したかったからなのです。

 

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著者/清水ひろゆき(H&Hコンサルティング)
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