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『シン・ゴジラ』は見る価値あり?映画野郎がネタバレなしの緊急トーク

MAG2 NEWSでおなじみの軍事ジャーナリスト・加藤健二郎さんも軍事考証で協力している、巷で話題の特撮映画「シン・ゴジラ」、みなさんはもう見に行かれましたか?「面白かった!もう一回見に行く!」「エヴァを思い出させてくれた。素晴らしい」という絶賛の声が溢れる一方、「ビジュアルがダサい。歴代最低」「石原さとみの英語がルー大柴みたい」などの酷評も。一体どっちなんだよ!ということで、「『映画野郎【無料メルマガ版】』のお三方の「緊急トーク」をお届けします。ネタバレ無しなのでこれから見る方もご安心を!

12年ぶりの東宝ゴジラ最新作は野郎感涙の大傑作だった! 『シン・ゴジラ』緊急トーク!! PART1

じょ~い小川(以下、小川):久しぶりの通常版「シネトーク」になりましたが、7/29から公開になった『シン・ゴジラの緊急トークを始めたいと思います!

原口一也(以下、原口):公開直後から周囲の絶賛がすごくてね。慌てて自分も見たらやはり素晴らしく、しかも内容が映画野郎読者にどハマりな大人向け作品だったので、コレは映画野郎がしっかり特集しないといけないと思い、緊急招集させてもらいました! メンバーで最初に騒いだのがKANTOさんだったわけですが。

KANTO:はい。実はこの映画。直前までスルーしようと思ってたんです。

小川:そうだったんですか。

KANTO:昨年末から、TOHOシネマズ系のシネコンで繰り返し流された予告編がつまらなすぎて。7月に入っても予告編が変わらないし、間に合わなかったんじゃ無いかと思うほどでした。でも、公開日の1週間前に秘密裏で行われた限定マスコミ試写を観たライターがこれは凄い……」と漏らして、急遽観ることにしたんですよ。大袈裟ですが「使命」的なモノを感じて。

小川:今回試写を見れなかったり、公開初日に仕事があったりと後手に回り、その上個人的に忙しかったので来週にしようかと思ったら、尋常じゃない雰囲気のKANTOさんのLINEがあったのでつき動かされましたね。あと、ボクのFacebookのTL上の雰囲気も若干「これは凄い!」みたいな雰囲気になった、というのもあり、近くの越谷レイクタウンのシネコンで観ることにしました。

KANTO:ただ、観ると覚悟を決めた公開3日前も、まだ期待感はゼロに近かったんです。そしたら、前夜祭で1日早く観た知り合いの放送作家がLINEで狂喜乱舞して、急にテンションが上がった。僕は平日時間が作れないから、金曜日はかなり辛かった。で、土曜日の朝一で観たという訳。

小川:なるほど、KANTOさんにしても観る前の不安もこれまた多かったんですね。やはり、その一つに監督・特技監督があの樋口真嗣というのがあり、特撮では「平成ガメラ三部作」の特技監督という実績はありましたけど期待してなかったと思いますがいかがでしょう?

原口:樋口監督は日本の特撮映画の第一人者だけど、前作『進撃の巨人で評判を落としていたというのがあるので、正直どうなんだ?ってのはありましたよ。

小川:『進撃の巨人』だけじゃなくて、『日本沈没』や『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』など次々とガッカリな作品が多かったですよね。

KANTO:そう、ぶっちゃけ樋口真嗣監督には期待感ゼロでした。僕は『進撃の巨人』は未見なんですけど、前々から樋口監督は、特技監督としては良いけど、人間が描けないって言われていたし。その上、庵野秀明の総監督というのも役所の意味がワカラナイ

原口:いや、庵野秀明って特撮に造詣が深く怪獣映画にも影響を受けてきたという人だというのは知っているんだけどね。自主製作の短編特撮映画も前に見たことがある。アレは面白かった。ただ実写特撮の大作は初めてだから、そこは不安あったね。

小川:あと、日本での『ゴジラ』シリーズの最後が『ゴジラ FINAL WARS』ということもあって、正直日本映画ではゴジラを作るのが難しいのではないかな、とも思ってました。逆に海外での特撮映画『パシフィック・リムを観てレベルの差を叩きつけられたというのもありますね。

KANTO:あの映画は、最後のゴジラ映画と言うこともあってか、北村龍平監督がそれこそメチャメチャにぶっ壊してくれたヤケクソゴジラで、そのせいかギャレス・エドワード版のGODZZILA ゴジラが面白かった

原口:ハリウッド製作の『GODZZILA ゴジラ』はつい2年前の公開で、さっきも出た傑作『パシフィック・リム』も俺たちは見てきている。視覚効果や映像的な迫力で日本の特撮が対抗できるのか?という不安もあったよね。

それで今回の『シン・ゴジラ』の何が俺たちを驚かせたのか、どこが素晴らしかったか具体的中身を語っていきましょう。自分がまず、何にびっくりしたかといって、ストーリーがあくまでも政府対応に絞られている、政府の災害対応シミュレーション映画になっているところ。しかもその展開が実にリアルなんだよね。

小川:まさしくそこですよ!昭和29年公開のオリジナル『ゴジラ』から昭和40年代辺りまでの怪獣映画ブームの時に一番多かったパターンは主人公が考古学や海洋学の若い博士や学者、冒険隊というパターンなんですよ。

あと、昭和59年に公開した『ゴジラ』で主人公が内閣総理大臣になって、攻撃が自衛隊と、今回のスタイルに一番近いんですけど、正直あんまりリアルに感じられなかったし、自衛隊が使っていた兵器もスーパーXだとかなんとかレーザービームだとか、架空の兵器丸出しだったんですよ。ボク、これを当時小学校3年生で観て、正直中途半端なリアルさに即飽きましたね。庵野総監督はそこを徹底的に直しましたよ。主人公は内閣総理大臣(今回は大杉漣)ではなく官房副長官でしたけど、そこに「現代というのを強く意識しました。

原口:怪獣映画でのリアルさだけど、『ガメラ 大怪獣空中決戦』に始まる平成ガメラシリーズがけっこう大人向けのリアルなアプローチで、その当時でも評価高かったよね。自衛隊の活躍ぶりとか、連想するところも多い。だけど、その平成ガメラの大人向けコンセプトをさらに極端に推し進めたようなリアルさで本当に圧倒された

小川:いまさらながらですが、「平成ガメラ三部作」の大人向けアプローチは昭和59年版『ゴジラ』と、それ以降のゴジラとその他怪獣による怪獣プロレス路線に戻った『ゴジラ』シリーズへの当て付け、というかカウンターですよ。

KANTOこれがかつて空想映画と言われたジャンルか?と疑うほどでしたね。僕は公開2日目の土曜日の朝、立川シネマシティの極上爆音上映で観たのですが、そこで初めてロビーにかけてあるポスターを見たら、「現実 対 虚構」と書いてあった。庵野秀明がこだわったのは正にその一点だった訳ですね。

小川:なるほど、庵野秀明流に言うと「現実 対 虚構」ね。そういう風に言うと「エヴァっぽいですね。

KANTO:ゴジラはどんなに頑張っても架空の産物だけど、もしこれが今のトウキョウに君臨したらどうなる?っていうことを丁寧に描いて見せた。実は、同じことを2012年に庵野秀明と樋口真嗣のコンビは、『巨神兵東京に現わるという短編映画で試していたんですよね。

原口:『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の同時上映だったやつね。それは自分も思った。その『巨神兵東京に現わる』とほとんど同じ構図でゴジラが歩く印象深いシーンがあったね。いま思うとこれが『シン・ゴジラ』の予告編のような。

KANTO:予告編と言うか、プロトタイプかな。

原口:あと見ていると、随所に昭和29年の元祖ゴジラへのリスペクトもひしひしと感じさせる。古い東宝のロゴが出るあたりからもう最高だよね。

KANTO:シネスコ全盛期の東宝映画のロゴは、『三丁目の夕日』でも出てきましたが、僕が驚いたのはその直後の青バックの東宝映画の文字です。これが出てくるのは昭和の東宝映画しかありませんよ。まるで、タランティーノ映画みたいな遊び心にトキメキを憶えましたね

小川:東宝映画のロゴもしかりですが、作品の内容にも昭和29年版ゴジラ』へのリスペクト、というか原点回帰が見られますよね。昭和29年版も昭和59年版もゴジラ誕生は核兵器や放射能汚染が絡んでいますが、そこを核廃棄物の不法投棄にマイナーチェンジしながらも「人類の手による自然・環境破壊→人災」と遠回しに言っている。さらには、大元に第二次世界大戦の原爆投下も絡む。そこをキチンとストーリーに組み込んだことで話のスケールが大きくなりましたし。

原口:そうね、世界唯一の被爆国だという、日本の歴史的背景もきっちり入っている。とにかく『シン・ゴジラ』は架空のゴジラに対してファンタジックな形ではなく、現代の日本人たちがリアルな生物としてとことん「真剣に向き合う」ことで傑作になった。この徹底した真剣さが俺たちの感動を呼んだわけで。

KANTO:観終わると、日本という国そのものに共感している自分がいました。日本はまだまだ頑張れるよって、国民一人ひとりが元気づけられる感じで盛り上げるんです。

 

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