MAG2 NEWS MENU

知らない人は大損。誰も教えない「確定拠出年金」を知っていますか?

「老後破産」が社会問題となりつつありますが、みなさん、備えは万全ですか? メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では、とってもお得なのにもかかわらず知名度はイマイチな「確定拠出年金」についての詳しい解説が記されています。「基礎年金だけでは不安」という方、ご一読の価値ありですよ。

基礎年金だけでは到底足りない

今回は、確定拠出年金についてお話ししようと思います。確定拠出年金って、ほとんどの人が聞いたことはあると思いますが、今一つ、世間に浸透していないというか、なじみがないものですよね? が、実はこの確定拠出年金、我々の老後に大きな影響を与えるシステムなのです。しかも、良い方向に。この確定拠出年金をうまく使えば老後はまったく安泰だと言っても過言ではありません。にもかかわらず、確定拠出年金は、世間にあまり知られていないのです。

確定拠出年金は、従来の公的年金の不足分や欠陥部分を補う、ということでつくられた制度です。老後生活において、ほとんどの人があてにしているのは公的年金だと思われます。が、今の公的年金だけで老後生活を乗り切るのは、けっこう大変なのです。公的年金というのは、基礎年金だけでは老後の生活には到底足りません。現在では、基礎年金は満額もらっていたとしても、78万100円です。満額というのは、基礎年金を40年かけ続けた場合にもらえる最高額のことです。つまり、基礎年金は最高額をもらったとしても年間に78万100円しかもらえないのです。

これでは老後の生活をするには、到底足りませんよね? そのため、公的年金には、様々な年金補充制度があります。サラリーマンの場合は、「厚生年金」でかなり上乗せの年金がもらえます。厚生年金というのは、サラリーマンが加入する年金のことで、掛け金は給料に一定の割合をかけたものとなっています。そして、基礎年金もこれに含まれます。だから、サラリーマンは最低でも基礎年金に入っており、それにプラスして、給料の多さに応じた加算型の年金にも加入していることになります。

そして、大企業のサラリーマンの場合は、この厚生年金にプラスして、企業年金というものもあります。企業年金というのは、主に大企業がつくっているもので、厚生年金にプラスして、その企業独自の年金制度です。独自の年金制度とはいえ、企業が国の承認を受けることで、税制上は、公的年金と同じ扱いを受けることになります。つまりは、低い税金しかかからないのです。

まあ、サラリーマンというのは、ざっくりいうとこういう年金制度を持っているわけですが、この年金制度には、欠陥も多々あります。まず、企業年金をつくることができない中小企業の場合は従業員の老後の年金が不足しがちだということです。企業年金というのは、建前の上では、小さい企業でもつくることができます。が、現実的には、やはりお金に余裕がある大企業しかつくっていません。中小企業の従業員は、厚生年金だけとなり、大企業の従業員に比べれば、かなり年金の額は落ちることになります。

大企業の企業年金にも欠陥はある!

また、大企業の企業年金にもいろいろ欠陥があります。まず企業年金は、従業員ごとの区分が明確にされていません。だから中途退社をしたような場合、自分の年金だったものが消えてしまうような事態も多々あったのです。企業年金は企業が従業員の定年退職後の年金のために積み立てているという建前があるので、定年前にやめた従業員は、そのシステムの対象外になっているのです。もちろん、厚生年金など法的に定められた部分の年金は個人ごとになっていますが、それ以外の部分については、中途退職の人が持ち出せる分というのは、企業によってまちまちだったのです。

そして、大企業の企業年金は、会社が年金資金を運用することによって運営されます。この資金運用に失敗すれば年金がまともに支払われなくなる、ということにもなるのです。従業員から見れば、まったくの不可抗力で、年金が約束通りにもらえない、という事態が生じる可能性もあるのです。そういう欠陥を補うためにつくられたのが、確定拠出年金なのです。

年金額を一挙に増やせる「確定拠出年金」

確定拠出年金とは、個人的に年金に入れるという制度です。掛け金も自分で自由に決めることができます。もともとは企業年金を持たない中小企業や自営業者のために作られた制度ですが、2017年の改正で、企業年金を持っている大企業の社員でも一定の条件をクリアしていれば入ることができるようになりました。企業年金を持たない中小企業のサラリーマンや自営業者の場合は、掛け金の上限が月6万8.000円です。企業年金のある企業のサラリーマンの場合は、上限2万7,500円です。

確定拠出年金は自分自身で銀行や証券会社などの管理会社が用意している金融商品で運用するという仕組みになっています。運用に成功すればその分、もらえる年金額は大きく増えることになります。もちろんその逆もあります。また元本保証という商品もあるので、資金運用などが苦手な人でも加入することができます

しかも、この確定拠出年金は、所得税住民税が大幅に安くなるというメリットがあります。というより、確定拠出年金の最大のメリットは、この税金控除だと言えます。サラリーマンの場合、月額2万3,000円までの掛け金が全額控除となるのです。年間では27万6,000円までの掛け金が、所得控除になるのです。この所得控除により、平均的なサラリーマンの場合、年間4~5万円の節税になります。つまり、年間4~5万円の税金の補助を受けながら、27万円の年金を積み立てているのと同じことなのです。自分の負担は実質的に22~23万円でいいのです。豊かな老後を過ごすためには、ぜひこの確定拠出年金には入っておきたいものです。

なぜ確定拠出年金がスグレモノなのか?

確定拠出年金がなぜスグレモノなのかというと、前述しましたように、なんといっても、節税になるということです。確定拠出年金は、3度に渡って節税ができます。それは次の通りです。

  1. 現役世代のときに掛金が所得控除となる。
  2. 年金運用で利益が出たとき、それが非課税となる。
  3. 年金として受け取る時も、所得税、住民税の優遇措置が受けられる。

こう言われても、一般の人にはなんだかよくわかりませんよね? 自分で老後資金を用意する時の場合と比較してみましょう。

自分で老後資金を用意する場合、当然のことながら自分の収入の中から、積み立てることになります。が、この自分の収入というのは、所得税や住民税が課せられています。つまり、自分が自由に使える収入というのは、所得税や住民税を支払った残りなのです。もし毎月1万円を積み立てるとすれば、平均的なサラリーマンでだいたい2,000~3,000円の税金がかかります。つまり、毎月1万3,000円くらいを使って、1万円を積み立てるということです。

サラリーマンの方は、税金を先に引かれますので、なかなか自覚はないと思われますが、自分が使うお金というのは、常に税金が差し引かれた後のものなのです。だから、自分では1万円を使ったつもりであっても、税金分を含めれば1万2,000~3,000円を払っていることになるのです。

が、確定拠出年金というのは、税金がかかりません。だから1万円積み立てた場合は、その1万円には所得税も住民税もかかってきません。つまり、1万円積み立てるときには、1万円だけを使えばいいということになるのです。その時点で、自分で貯蓄するよりも2~3割有利になるということです。

すごく有利でしょう?もちろん、サラリーマンだけじゃなく、自営業者も節税になります。自営業者の場合は月6万8,000円まで所得控除が受けられますので、サラリーマンよりもさらに節税になるといえます。節税できる金額は、年間で所得税、住民税合わせて10万円~20万円になるでしょう。月6万8,000円を積み立てれば、年間75万6,000円です。節税できる分を国の補助金と考えれば、60万円くらいのお金を使って75万6,000円を貯金するのと同じことなのです。すんごい、財テクですよね?

年金運用益も非課税!

次に「年金運用益が非課税」ということについて、ご説明しますね。通常、お金を貯蓄したときの利子や投資をして得た収益には約20%の税金がかかってきます。だから、もし100万円の利子を受け取ったり、資産運用で100万円の利益が出たような場合には20万円の税金が差し引かれるのです。

この税金が確定拠出年金にはかからないのです。何度か触れましたように、確定拠出年金というのは、原則として自分の年金資金を自分で運用する仕組みになっています。元本保証型にしていても、多少の運用益は出るでしょう。もし確定拠出年金じゃなく、普通の資産運用であれば、この運用益に対して税金が取られるのです。

年金を受け取る時も税金が安い

では、3つの節税効果である「年金を受け取る時も税金が安い」ということについてご説明しましょう。ご存知のように、日本国民は収入を得た場合には、原則として所得税、住民税を払わなければなりません。が、公的年金の収入に対しては、税金が優遇されているのです。そして確定拠出年金の受取でも公的年金と同様の優遇措置を受けられるのです。

65歳未満の人は、公的年金を70万円以上もらえば、税金がかかるようになります。が、すべての人には基礎控除が38万円ありますので、基礎控除と合計して108万円までの収入には所得税がかかってきません。サラリーマンの場合は、103万円以上の収入があれば税金がかかってきますので、この時点でもサラリーマンより有利になっています。

また65歳以上の人は、公的年金が120万円以上じゃない税金はかかりません。これに基礎控除が38万円ありますので、158万円以上じゃないと税金はかかってこないことになります。しかも、これは、一人あたりの年金受給額の話です。夫婦二人がそれぞれ分散して年金を受給していれば、それぞれに非課税枠があります。となると、夫婦二人では最高316万円までは税金がかかってこないということになるのです。

また税金には、社会保険料控除などもあります。これは、支払った社会保険料の額は、全額、収入から控除できるという制度です。この社会保険料などを合わせれば、年金180万円~200万円程度の年金をもらっていても税金はかかってきません。夫婦二人では最高400万円くらいまでは税金がかからないのです。

普通のサラリーマンの給料などではそうはいきません。年金400万円程度の給料をもらっていれば、所得税、住民税を含めて少なくとも50万円程度の税金を払わなければなりません。この公的年金の税制優遇措置を、確定拠出年金でも享受できるというわけです。

まあ、こういう具合に、確定拠出年金というのは、非常に有利な老後資金の蓄財方法なわけです。

ただし、この確定拠出年金にもデメリットはあります。確定拠出年金を引き出す場合、原則として、60歳以降に年金としてもらわければならない、ということです。つまり、定期預金や有価証券のように、途中で換金することはできないということです。でも、そもそも年金の積み立てという趣旨をもっている制度ですし、そのために税優遇措置もあるのですから、これはデメリットというより、当然の条件ともいえるでしょう。

とにもかくにも、老後の資金を考えるときには、確定拠出年金は最重要アイテムだといえます。ぜひ頭に入れておいて欲しいものです。

(続きはご登録ください。初月無料です)

image by: Shutterstock

 

大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋

著者/大村大次郎
元国税調査官で著書60冊以上の大村大次郎が、ギリギリまで節税する方法を伝授する有料メルマガ。自営業、経営者にオススメ。
<<初月無料/登録はこちら>>

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け