NYに5万ドルだけ持参し、無職のまま学生として生活はできるのか。こんな無謀ともいえる生活を自ら企画した日本人・橋本愛喜さんのメルマガ『週刊 ニューヨーク5万ドル生活』。今回は、海外ではなく日本の話題。2013年の流行語大賞にノミネートされた「さとり世代」について、橋本さんが楽しくてためになる持論を展開しています。
時代の流れ世の流れ ~さとり世代~
「ゆとりは使えない」なんて言われてきた彼らも、気付けばもう29歳。
ゆとり世代が初めて社会に出てから今年で6年がたったことになる。
ゆえに「ゆとり世代」なる言葉も生まれて久しい昨今、「世代」シリーズもようやく終焉かと思うところ、
日本の「ブーム好き」はむりくりにでも「~世代」を作りたがるのか、次に出てきたのがそう。「さとり世代」である。
「さとり」の特徴
ゆとり教育の期間中に学校教育を受けた世代はだいたい1987年4月2日生まれから2004年4月1日生まれ。
「さとり」は、このゆとりとうまい具合に時期を同じくしながら新しく進化していった世代のことだ。
さとり君らの特徴としては、あまり熱くなる事が少なく、とても現実的な考えを持っている、若者なのに大人というキャラの持ち主。
己の欲や執着を捨て去っている、いわば「さとりを開いた者」のように見える事から「さとり世代」というネーミングになったようだ。
もう少し詳しく彼らの性格を見ていくと、主に、
失敗を恐れる、
打たれ弱い、
現実的で夢を見ない、
ルールは順守する
などが特徴としてよく挙げられる。
もーっと突っ込んでいうと、
1.スポーツや旅行、アルコール、車やブランド服などには興味がない
2.結果のわかってることに手を出さない
3.欲がなく、ほどほどで満足する
4.節約志向で無駄遣いはしないが、趣味にはお金を惜しまない
5.無駄な消費は極力拒否し、平穏でそこそこ幸せな生活を好む
6.目立つことをよしとせず、事なかれ主義者が多い
7.親にあまり反抗せず、親子関係が良好である
など。
なんだ、いい子ちゃんじゃないか。
特に最後の「親」の件。
彼らは特に母親に対して優しく接し、親しい関係にある場合が多い。
一緒に買い物に行ったり、食事に行ったり、コンサートに行ったり。
少し昔なら「マザコン」と周りに思われるとの危機感から、息子は年頃になると母親と行動を共にしない事が
当たり前だったはずだが、なぜ「さとり世代」の若者とその母親はこんなに仲が良いんだろうか。
理由としては第一に、母親の見た目が昔に比べると若々しくおしゃれなので、一緒にいても違和感がないという事が考えられる。
更に、今の若者の母親たちはハツラツとしていて気持ちも若いゆえ、息子をどこへでも連れて歩きたがる。
さとり世代の息子としても、親との行動ならばお金も掛からないし、一緒にいても恥ずかしくない親なら「行ってもいいかな」となるのではないだろうか。
また、この世代には反抗期というものがあまり無く、昨日と同じ日常を望む姿勢が強いゆえ、子供の頃の日常のままのスタンスで大人になってしまったという可能性も考えられる。
そしてこの親子関係は友達同士のような関係である場合が多く、SNSやメールなどで母親に悩みを相談したりする事もあるそうだ。
「ゆとり」と「さとり」
どちらかというと「ゆとり世代」は、ゆとり教育を受けて育った若者たちを大人が見下げて使う言葉だったが、逆に「さとり世代」は、若者から生まれてきた開き直りとも言える言葉である。
彼らは小さな規模での生活を望んでおり、そのために無駄な物(人間関係も含む)をなるべく持たない、という事を重要視しているんだろう。
こんな「さとり」までに開いた若者と、扇子や札束振りかざし、「地球の自転は私のため」で生きてきたバブル世代の考え方が、この2015年に合うはずがない。
地球の自転は「世代」の風。
感じることは、人の心や価値観は時代と共に変わっていくが、「自分より下の世代」は彼らなりに時代を感じ、時代にならい、時には逆らいながら生きているのだ。
各世代から見習うべき良い面は見習いながら、社会全体が成熟していく事。
今の日本にはこれが求められているのではないだろうか。
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