あのアイリスオーヤマが、なぜ今「家電」で注目されているのか?

 

なるほど家電というコンセプト

まず目を引くのが「なるほど家電」というネーミング。ホームページを見ると、「機能はシンプル、価格リーズナブル、品質はグッド。そして、人々がより気持ちよく快適に過ごすための『なるほど』をプラス」と書かれている。

「なるほど家電」はアイリスオーヤマ。

「なるほど」とは何だろう? とまずは感じた。

各商品の説明を見ると、たとえば、両面ホットプレートの商品画像の上には、「なるほど!」と吹き出しで目立つように書かれている。さらにその下に、「どこでも誰とでも楽しみの幅が広がる『両面焼き』」と書かれている。

アイリスオーヤマの「なるほど」は、他社製品と違う「自社だけが提供できる独自な価値」のことなのだ。しかも、スペックや価格ではなく、「使い心地」のよさが、説明されている点がいい。

顧客価値には、スペックなどの機能的な価値と、心で感じる情緒的な価値がある。ホットプレートを例にとると、盤面のサイズや、最大ワット数などが「機能的価値」で、使いやすさや、見た目としてのデザインが「情緒的価値」にあたる。そして人は、「使い勝手が良さそうだな」「かっこいいな」と、まずは心が動きそして実際の大きさや価格を確認する。

「なるほど家電」は、感情に訴える表現をしているので、見ている消費者の方は「価格の安さ」ではなく、「家族で焼肉をするのはちょうどいいな」などという、違う軸の判断基準で、この説明を読むのだ。しかも、説明文の下にある画像も、実際に焼肉を焼いている写真だったり、掃除機であれば、女性が楽しそうに掃除をしている姿を全面に出している。イメージを伝える画像においても、機能的な価値よりも「使い勝手」「使ったあと自分がどうなるのか?」という姿を、コミュニケーションできているのだ。

機能的価値を訴えることを「モノ」とすれば、「情緒的価値の訴求はいま流行りのコト」にあたる。すなわちその製品を使ったら、自分はどうなるのか? という、「ストーリー」を伝えることになる。

顧客が本当に欲しいのは、ホットプレートではない。家族との楽しい食事の時間が欲しいのだ。楽しい食事のためには、土鍋でもいいかもしれないし、フライパンでもいいかもしれない。でも、そんな多くの選択肢の中で「ホットプレート」が一番いいんですよ、と消費者に伝えているのが「なるほど」家電なのだ。

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