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未来の日本を大胆予想。自動運転が現実なら都心の駐車場が消える?

日産自動車の新しいセレナ(SERENA)が同一車線自動運転技術を搭載するなど、映画の世界と思われていた「自動運転」が現実の物になる日もそう遠くはないようです。そこで、メルマガ『異種会議:戦争からバグパイプ~ギャルまで』の著者、加藤健二郎さんが、「もし、自動運転が現実になったら世の中はどう変わるのか?」というテーマで予想を展開。あなたは、当たると思いますか?

自動運転と街づくり

自動車が自動(無人)運転になったら、ドライバーが休める、などという当たり前すぎることは、ネタとしておもしろみがない。そこで、自動車が自動運転になったら、都心部の駐車場のかなり多くが不要になる、という話になった。

というのは、目的地に着いたドライバーたちは車から降りると同時に、車を「そのへんを走ってろ」というプログラムにして放置しておけば勝手に自動運転でそのへんの道をくるくる回っているわけだから。で、用件が終わったら、都合の良い場所に呼び戻せばいい。

今の都心部の価格なら、燃料代の方が駐車場代より安いであろう。それよりも大きなメリットは駐車場を探す必要がない目的地から離れた駐車場を徒歩で往復する必要がない。

この話を技術的な論点や法的な論点、交通渋滞などの論点から話すとすべてがそこでストップしておもしろくないので、そういう現実論はなしにして、「自動運転」という新しい技術システムによって、どこまで世の中が大きく変わる可能性があるのかという夢想なお話へ、ということになった。どうせまだ、現実ではないんだし・・。

駐車場の大幅削減、つまり、駐車場に停まってる車が激減する。ということは、世界で必要とされる車の数も大激減することになる。なぜかというと、世界に存在する車の9割近くかそれ以上は、駐車場に置いてある車であって、走っている車は常に1割以下ということらしいから。

駐車場に置いてある車を「不良在庫」と考えると、自動車社会というのは、恐ろしくバカバカしい比率の不良在庫を抱えていることになる。トヨタの「必要なときに必要なだけの量を持つべし、不良在庫を持つな、の経営精神には真向から反する。

駐車場にある不良在庫に頼らず、用件が終わったらすぐに車に乗って移動するには、タクシーに乗るかのごとく、そこらへんをぐるぐる回ってる車を停めて乗らなければならないわけだが、みんながみんな、自分の車をそのへんで自動運転で走らせてたら、大渋滞になってしまう

なので、ある人たちが下りて自動運転にした車には、他の人が自由に使えるような、会員制レンタサイクルのようなシステムがいい。すると「自分のマイカーに愛着を」という昭和な気質の人たちは嫌がるだろう。だけど、そういう人も、自分の愛車と、道具として使う自動運転システムカーは使い分ければいいわけで、べつにマイカー所有を禁止するわけではない。

で、自動運転システムカーになると、自動車の個々の個性なんかどうでもよくなり、積載量や車体サイズなどのスペックのみが必要になる。通勤電車みたいなもんで、通勤電車に乗る人たちは、電車の車両の個性なんか重視しないで毎日使っているよね。

こうして、個性をなしにすると、自動車生産工場は企画均一化できて楽だ。しかも、生産台数は大減少し、設計から個性を排除するとなると、自動車産業はかなり単純化され縮小される。産業が縮小されることを「悪」と捉える古い頭の人もまだ多いかもしれないが、そろそろ、「人間が生きてる目的が労働してお金貰うことでない」という思想に替えるということで、工場が減って労働者が減ることによって、良い環境の人間社会を作れる、と考えたほうがいい。

他にも細かいことがある。

車道を走る全車が自動運転になって、ひとつのシステムになってしまえば、車間距離を開ける必要がなく、列車のように数珠つなぎで走っていても追突しないはずだ。そうすれば、交通渋滞はかなり解消するので、道路もそんなにたくさん整備しなくていい。道路や駐車場による占有面積が激減すれば、都心部の土地も空き、遠距離通勤などしなくてもよくなる

良いことばかり考えるなってか? はい、フランスのニースで発生した自動車暴走テロがやりやすく防ぎにくくなっちゃうとか。確かに、テロ戦士が自爆死しないで済むわけだから、気楽にたくさんのテロを実行できちゃうかもね。

いや、各自が人間のバラバラな判断と感情で気ままに運転している今の運転よりも、コンピューターで管理できてる方が、怪しい動きを始めた車に即座に気づいて警戒対応プログラムを作動させられるかもよ。ありえないコースアウトをした車を0,1秒後には検知して、強制ブレーキとかさ。

自動車の運転が無人になるというだけで、いろいろ社会は変わるんだね、という話でした。

image by: Shutterstock.com

 

異種会議:戦争からバグパイプ~ギャルまで

著者/加藤健二郎
建設技術者→軍事戦争→バグパイプ奏者、と転身してきてる加藤健二郎の多種多様人脈から飛び出すトーク内容は、発想の転換や新案の役に立てるか。
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