配信開始からわずか3日で1000万ダウンロードを達成するなど、まさに国民的ブームとなった「ポケモンGO」。やや落ち着いてきたとはいえ、その人気はまだ陰りが見えません。なぜ、ポケモンGOはここまで人気を維持できているのでしょうか? メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』の著者でMBAホルダーの理央さんが、その人気が継続する理由を分析。そこには「有料でプレイする人のおかげで、無料でプレイできる人がいることを『見える化』したこと」があり、これを中小企業が参考にしない手はないと述べています。
ポケモンGOのビジネスモデル
ポケモンGOをプレイしているのは誰なのか?
日本での配信開始から、もう1ヶ月以上。まだ、周りでは多くの人たちがプレイしている。
私も、研修先や取引先、講演の会場では、
「ポケモンGOやってますか?」
「はい!」
「レベルはいくつくらいですか?」
「24です」
「あ〜、負けました!」
などと、季節の挨拶のように、会話の切り口になっている。
一時期の大ブーム的な感じは減ったが、今でもポケモンの聖地と言われている場所に行くと、夜遅くまで、かなり多くの人たちがプレイしている。
ポケモンGOの聖地といえば、名古屋ではJRや地下鉄の駅もある、鶴舞公園。
先日も、土曜日の昼、午後3時頃に行ってみた。
その日は、かなり暑い日だったが、やはりたくさんの人たちがポケモンGOをやっていた。
早速、私もゲームを開いてみると、多くのポケストップがある。
周りをみると、男女や年令、家族構成など関係なく、老若男女たくさんの人たちがプレイしている。
鶴舞公園にある、名古屋市公会堂の周りや、建物の中にも多くのプレイヤーがいる。
この光景を観るまでは、「若者市場」「ゲーム好き」「ヲタクっぽい人たち」という先入観で、プレイしている人たちを考えていたけれど、どうやらそうではなさそうなコトが発見できた。
先日、名古屋商工会議所でした講演「ポケモンGOが明らかにする若者市場を開拓する方法」のために、非常に参考になった。
情報収集は、もちろんインターネットや書籍などからもできる。
しかし、実際にコトが起こっている現場に来て初めて発見できるコトも多い。現地現物が重要なのだということを、再認識した。
なぜ、みんなはポケモンGOをプレイするのか?
ポケモンGOの収益モデルは「フリーミアム」、フリー(無料)とプレミアム(有料)を合わせた造語である。
最初は無料でゲームを楽しみ、必要に応じて有料でアイテムを購入する。
したがって、有料アイテムの購入で収益が上がるのだ。(企業からの収益は別)
これは、ポケモンGO以前からゲームの業界ではあったのだが、一つユニークなのが、「有料プレイヤーのおかげで無料プレイヤーが遊べる仕組み」になっている点。
有料アイテムの一つ、「ルアーモジュール」を、ポケストップの近くで使うと、そのスポットが30分の間「きらきら」となり、ポケモンが現れる頻度が上がる。そして、これが自分以外のプレイヤーがその近くでプレイしていれば「見える」のだ。
これにより、無料の人も普段よりはその近くではポケモンを見つけやすくなるし、見つけた人は、その近くに寄ってくることになる。
ポケモンGOは、初めて人を外に連れ出したゲームであり、かつ、無料の人が有料の人のおかげで、より楽しく遊べることを「見える化」したゲームなのだ。
中小企業は何を学ぶべきか?
では、中小企業は、このビジネスモデルから何を学ぶべきか?
この仕組みを、そのまま自社に当てはめる必要はないし、多分できないであろう。
一つ、参考にするとしたら、「お客様に喜んでもらうには、顧客層ごとに考える。そして、全体が楽しめるように工夫をする」という点だろう。
えてして私たちは、お金を落としてくれる顧客層を「優良顧客」と認識しがちだ。
もちろんその通りではあるのだが、現段階でお金を落としてくれていなくても、将来的に、落としてくれる可能性まで考えていきたいところである。
そのためには、様子見、初めてきた、という人が感じる「本当にこの商品大丈夫かな?」という心の壁を取っ払ってやる工夫をすべきだ。
そのためにも、まずは試してもらうために、廉価版を用意する、小さい単位での商品を用意するなどの施策も必要だ。
ヒット商品には、このようなフレームワークがある。先人の知恵を使わない手はないのだ。
image by: enchanted_fairy / Shutterstock.com
『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』より一部抜粋
著者/理央 周(めぐる)
あのヒット商品はなぜ「ヒット」したのか?あのレストランの予約は、なぜいつも取れないのか?世の中で「売れているモノや人気者」はなぜヒットするのでしょうか?毎号実際の店舗や広告を取り上げ、その背景には、どんな「仕掛け」と「思考の枠組み」があるのかを、MBAのフレームワークとマーケティングの理論を使って解説していきます。1.「中小企業経営者・個人事業主」が売り上げを上げる 2.「広告マン・士業」クライアントを説得する 3.「営業マン」が売れない病から脱するためのメルマガです。
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