わかったフリはもうおしまい。サルでもわかる「資産運用の話」

 

株式市場を動かしているのは外国人投資家

実は、日本の株式市場で日本の個人が売買している量というのは15%ぐらいしかない。残りの圧倒的な割合は外国人の投資家か企業が株の売買をやっている。上記のように、株価が日本政府の介入で「想定以上に」高止まりし、かつ、いびつな円高のままになっているため、「市場最安値」といわれている日本株が膠着状態になっており動かないのだ。

今、日本株は未曾有の安値となっている。株価の高さを表す指数にPBRPERがあることは、前回のメルマガで説明したとおりだ。私は、経営コンサルタントという立場から、PBR信者である。PBRというのは、簡単にいえばB/S。PERはP/Lである。日本企業の殆どは、ビジネスモデルが破綻しているので、抜本的なリストラクチャリングが必要となってくる。その場合、最も必要な原資は見かけ上の収益でなく財務健全性だ。だから、我々が中長期投資を行う場合PBRを見るべきなのだ。今、日本の大企業の多くはPBRの1割れを起こしている。

例えば、総合商社、銀行などは、ほぼ全滅に近く0.7ぐらいだ。これは、どういうことかというと、これ以上営業を続けるぐらいなら会社を清算してお金を株主に分け与えなさい。そちらのほうが良いでしょう、という意味なのである。

しかし、三菱商事や三井物産、三菱UFJなどが、存在意義がないなどということはありえない。商社に関して言えば、資源安の影響で赤字になったこと。銀行で言えば政府のマイナス金利政策で利益が出なくなったことが原因だ。つまり、株価が安い理由がはっきりしているのである。アベノミクスがこのまま続き、かつ、成功すると思っている人は今の状況を受け入れるだろうが、私のように「最後は経済は最適化される」と考える人間にとっては、いくら日本政府がふんばろうが、中長期的にこれら「割安株」は落ち着く場所に戻る(つまり上昇する)と考える。プロの投資家に、我々素人の投資家が勝つ唯一の方法は長期に株を持つということだ。プロはクライアントから資金を集めて投資をするため、短期に株価をあげて売らなければならないが、我々は必要あれば10年だって持っていればよい。商社や銀行が、この先10年PRBで1以下で居続けるなんてことはあり得ない話だ。だから、必ずこれらの株は(いつになるかわからないが)上がるのだ。

例えば、伊藤忠商事の場合、外資のファンドが粉飾決算を指摘し、空売り(株が下がれば儲かる売買)宣言をした。また、私が持っているある小売企業の株が、外資ファンドが「買い銘柄」に指定した瞬間、一気に上昇率トップ10に入った。このように、外資ファンドや政府は市場の自然な流れを歪めることをするため注意が必要だ。何が作為的なのか、何が自然なのか。ここを見極め、「自然な流れに中長期でお金を張る。これが、我々一般ビジネスマンがやるべき(プロに勝つ)投資戦略である。短期的な、かつ、作為的な株の売買に流されデイトレードまがいのことをしてはならない。勝ち続けると信用取引(お金を借りてリスクを高め
る手法)などに手を出すが、株の値動きにたっぷり時間を避ける人でなく、きちんと本業をもっているひとであればそんなこともすべきではないだろう。

私も、例えば原稿執筆時に無印良品など、私が将来有望視している株が(実力値でない理由で)落ちているのを見て、信用取引の甘い誘いに何度もウェブのボタンを押しそうになったので気持ちはわかるが、勇気を持ってやめた。

print
いま読まれてます

  • わかったフリはもうおしまい。サルでもわかる「資産運用の話」
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け