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異例の「食料備蓄」勧告も。「ドイツ銀行」崩壊の足音はホンモノか?

ドイツ最大の銀行「ドイツ銀行」が今、破綻の危機にあるというニュースをご存知の方も多いと思います。金融関係者の間では「破綻率50%」とも言われているそうですが、なぜドイツ最大の銀行がこのような状態に陥ったのでしょうか? ヨーロッパの事情に精通した高城剛さんは自身のメルマガ『高城未来研究所「Future Report」』で、ドイツ銀行の経営危機の「意外な原因」について解説。日本のバブル崩壊後に大手銀行が破綻した過去を例に挙げ、ドイツ銀行が破綻する「Xデー」はそう遠くない、と大胆な予測をしています。

「破綻確率50%」と言われるドイツ銀行の行方

今週は、金融関係者の間で「破綻確率50%」と言われる、ドイツ銀行につきまして、私見たっぷりにお話ししたいと思います。

すべての原因は2000年代初頭のユーロバブルと、その崩壊にあります。

通貨ユーロの登場によってユーロバブルが起きて崩壊し、その後ギリシャをはじめとする南欧諸国が苦しんだのは多くの人々が知るところですが、ドイツも無傷ではありませんでした。

ドイツ銀行という名がドイツの中央銀行(=ドイツ連邦銀行)を指しているように思えますが、実は民間銀行で、ただし、その規模は桁違いなことは確かです。

まず、現在抱えるデリバティブ残高が、日本円にして8000兆円あります。

これは全世界のGDPを超える金額で、ドイツGDPの20年分と同じです。

その上、多くの起訴を抱えており、数年前にこのコーナーでお話ししましたように、LIBOR(ロンドン市場においての銀行間取引金利)で不正を行っていたことが明るみに出て、莫大な賠償請求がきています。

なかでも、米国司法省はドイツ銀行に科すモーゲージ担保証券(MBS)の不正販売問題をめぐる罰金について、当初科すとしていた最大140億ドルから54億ドルに大幅に削減することで合意するとされていましたが、今週交渉決裂したことが明らかになりました。

この話は、2008年リーマンショック前の2000年代初頭に戻ります。

当時、サブプライムローン(お金を持っていない人にお金を貸し、住宅を売りつける方法)を使い、さらにそれを担保にまた貸し付けて住宅を買わせるモーゲージ担保証券(MBS)を、詐欺同然だとわかっていながら売りつけたことにより、最終的にリーマン・ブラザーズが破産して世界は大混乱に陥りました。

そこで、米司法省は大手銀行が住宅ローン担保証券(MBS)を不適切に販売したゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレー、シティグループなど大手銀行を相手に民事訴訟を起こしました。

すでに、モルガン・チェースは1兆3000億円、シティグループは7000億円、ゴールドマン・サックスは5000億円を米司法省に支払うことで合意しています。

そして先月、9月中旬にドイツ銀行が1兆4000億円を米国司法省に支払わねばならないことが明らかになりました。

ドイツ銀行は、欧州だけでなく米国でもビジネスを多く手がけていたからで、しかし米国司法省との交渉により、減額できると見込んでいました。

しかし、今週その交渉は破談したのです。

また、ドイツのメルケル首相は、先月末にドイツ銀行を救済しないと明言しました。

これは選挙が近いこともあっての発言で、真意は定かではありませんが、地方選挙の惨敗を見る限り、救済している場合ではないように思います。

なにより、EUでは2016年1月からベイルイン条項が発動しました。

ベイルイン条項とは銀行が危なくなったら政府が簡単に助けず、銀行にお金を預けている人が先に損をするというルールです。

簡単に言えば、預金封鎖です。

ここで日本のバブル崩壊を振り返ってみたいと思います。

日本のバブル崩壊がはじまったのは、1990年3月の総量規制からです。

その後、1997年末から98年にかけて、長銀をはじめとする多くの金融機関がつぶれていきます。

この間8年ほどあり、2008年のリーマンショックから考えると、そろそろ大きな金融機関が破綻する頃と考えられなくもありませんし、法的には破綻しなくとも、事実上破綻同然になるかもしれません。

また、いまから二ヶ月ほどの前の8月末から9月頭にかけて、ドイツ政府とチェコ政府は、国民に10日分の水と食料を備蓄するよう公的なアナウンスをしましたが、その真意は定かではありません。

同じく、ドイツでは家庭用の金庫が突如売れ始めています。

欧州を発火点とし、いつどこでなにが起きるかわかりませんが、ドイツ政府をはじめとする様々なアナウンスを聞くかぎり、「自分の身は自分で守る」時代に突入したことは確かな事実です。

表面化してもしなくても、この処理次第で世界は一変するでしょう。

image by: Vytautas Kielaitis / Shutterstock.com

 

 『高城未来研究所「Future Report」』
著者:高城 剛
1964年生まれ。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。毎週2通に渡るメルマガは、注目ガジェットや海外移住のヒント、マクロビの始め方や読者の質問に懇切丁寧に答えるQ&Aコーナーなど「今知りたいこと」を網羅する。
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