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孫のつぶやきが奇跡を生んだ。「おじいちゃんのノート」爆売れ分析

ある学生のTwitter上でのつぶやきから一気に人気となったノートがあります。下町の小さな印刷所で開発され、商品化から丸1年以上さまざまなプロモーションを試みたにも関わらず在庫の山を抱えていたこのノートが、なぜ一言のつぶやきで飛ぶように売れ始めたのでしょうか。無料メルマガ『MBAが教える企業分析』で詳しい分析・紹介がなされています。

ターゲットと売り方の整合性

「ジャポニカ学習帳」のショウワノートからビジネスパートナーとして組みたいという依頼を受けた、4人で運営している企業を分析します。

中村印刷所(印刷会社) 

◆戦略ショートストーリー

学生をターゲットに「製本一筋の職人が持つ高い技術&特許」に支えられた「使える部分が多い」「コピーやスキャンをしやすい」「書きやすい」といった強みで差別化しています。

職人のお孫さんがTwitter上で水平開きノートを宣伝する投稿をしたところ、3万以上リツイートされ3万冊以上の注文が入るなど、多くの支持を得ています。

■分析のポイント

「ターゲットと売り方の整合性」

「水平開きノート」の開発からヒットまでの簡単な経緯はこちらです。

といった形で結果的には成功したわけですが、今回は2015年に売れなかった理由を探ってみましょう。

では、2015年にどのような販売活動を行っていたかというと↓

など、プロモーション(売り方)に力を入れてきました。しかし、結果は売れませんでした。そんな中、Twitter上で宣伝して大ヒットしたわけですが、2015年に売れなかった理由のヒントはここにあります。

実は2015年のプロモーションで使った媒体とTwitterでの宣伝には決定的な違いがあります。それは何かというと「利用する層」です。Twitterの利用者の中心は若い方だと思われますが、東京都の認定商品カタログを見ている若い方は、なかなかいないでしょう。

水平開きノートの顧客ターゲットは学生ですので、若い方が中心になります。つまり、この若い方にリーチできないプロモーションをいくら打っても効果は期待できないということです。要するに顧客ターゲットとプロモーション(売り方)の整合性がとれていなかったことが、売れなかった主な要因であるといえるでしょう。

そして、今回の一番のポイントは水平開きノートを職人がお孫さん学生=若者に渡したことだと思います。お孫さんが誰か欲しい人がいるかもしれないとツイートしたわけですが、これをもし職人と同世代のシニアの方に渡していたら、ここまでの拡散は見込めなかったでしょう。

お孫さん(学生)がツイートしたことにより、そのお孫さんの友人のネットワークも若い方が中心だと想定されますので、若い方がそのメッセージを受け取ることになり、友人(若者)からその友人(若者)へ拡散され、水平開きノートに魅力を感じる方が、実際に注文し、使ってみての感想を発信する。といった形で、口コミの連鎖が拡がっていったわけです。

もちろん、商品に魅力があるからこそ、口コミの拡散につながったとも言えますが、どんなに魅力的な商品であっても、その商品を魅力的と感じてくれる方に知ってもらえなければ、売れることは難しいということを示している事例といえるでしょう。

今後、ショウワノートと組むことで、水平開きノートが、どこまで拡がっていくのか楽しみです。

◆戦略分析

■戦場・競合

■強み

1.使える部分が多い

2.コピーやスキャンをしやすい

3.書きやすい

★上記の強みを支えるコア・コンピタンス

「製本一筋の職人が持つ高い技術特許

上記のような技術と特許があるからこそ、強みを実現できているといえます。

■顧客ターゲット

◆戦術分析

■売り物

水平開きノートおじいちゃんのノート)」

見開きにした時に完全に開くため、とじた部分に段差ができないノートです。

→多くの作業を手作業で作成しており、1日300冊が生産の限度です。

■売り値

■売り方

■売り場

※売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。

 

 

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