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奈良時代以前、母の発音は「パパ」だった? 面白い発音の話

普段は別段意識していない発語の際の口の動き。実は、「ある理由」で言葉自体が変化していくことがあるそうです。無料メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』では、その理由を紐解きつつ、興味深い「言葉の変化」を紹介しています。

母は昔、パパだった

まず、次のなぞなぞを考えてください。

パパとママはあうけど、父と母はあわない。これなんだ?

このなぞなぞはジッと見ているよりも、「パパ」「ママ」「父」「母」と口を動かしてみると簡単に…いかがですか?

「パパ」と「ママ」の時には、口が閉じますね。上唇と下唇があいます。「父」と「母」の時には、口が閉じません。唇はあいません。そう、答えは「」です。

パ行やマ行の子音は、音声学では「両唇音」といいます。音を作る時に両方の唇を閉じる音です。他にバ行の音もそうです。他の子音は、みなさんも外国語の勉強で苦労されたと思うのですが、「舌を丸めて」とか「舌をひっこめて」など舌の動きが複雑ですよね。でも、この両唇音は簡単に作れます。口の中で複雑な動きが不要です。

だから、赤ちゃんが最初に出す音は、「ムー」「バー」などの音なのです。口を閉じれば出せるからです。お母さんのおっぱいを飲みながら、徐々に舌が自由に動かせるようになるにしたがって色々な音を作れるようになりますが、最初はマ行」「バ行」「パ行」です。

ママ、パパが最初に出てきやすいのもこういう背景があるのですね。お子さんがいらっしゃる方は、最初にどんな音を出したか、思い出していただければ嬉しいです。

さてこの音、簡単なんですが、両方きちんと閉じるのは結構労力が必要です。面倒な音と言えば面倒です。こういう面倒なことは徐々にきちんとされなくなることが起こります。

ヨーローッパの言語は互いに親戚関係にあると考えられていまして、良く似た言葉がありますが、例えば「お父さん」という言葉は

となります。そしてもっとさかのぼってラテン語を見ると

とされています。最初の文字に注目してください。pがvやfになってますね。vやfの音は上の歯と下唇の間から空気を流して出す音です。両唇を合わせません。面倒だから合わせなくなって、このように音が変化した…と考えられています(「唇音退化」などと呼びます)。

そして…このような変化が日本語でも起こっていたと考えられています。みなさん、50音図を見た時に、ハ行だけ「パ行」という「半濁音」と呼ばれる中途半端なのがあるのを変だなぁと思ったことありませんか?

実は奈良時代より前は「パ行」が本来だったと考えられています。

と変化していったようです。ということで…実は、「母(はは)」は昔、「パパ」と発音していたようなんです!! 「頬」は「ポポ」です(なんか可愛いですね)。

なんか面白いなぁ…と思うのですが、こんなことから、少しでもロマンを感じていただけたら嬉しいです。

image by: Shutterstock

 

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