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ステーキと添え物のポテト、本当に身体に悪いのはどちらか?

最近、「脂肪が太りやすいというのは間違い」という論調が高まりつつありますが、まだ心のどこかで不安を拭いきれない人も多いのではないでしょうか?今回のメルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』では、著者の徳田先生が、「高脂肪食が体に悪い」という説は、砂糖関連会社がデータが捏造したデータが広まってしまったもので誤りであり、むしろ「低脂肪・高炭水化物」の食事が有害だと述べています。

ステーキハウスで食べてはいけないもの

ステーキハウスでステーキを注文したときによく出てくる組み合わせはステーキとフライドポテトです。では質問です。同じプレートに乗っているビーフステーキとフライドポテト、どちらが健康に良くてどちらが健康によくないでしょうか。

答えは、ビーフステーキは健康に良くてフライドポテトが健康に良くない、です。もし減量を試みている人でしたら、ビーフステーキだけ食べて、フライドポテトとサイドメニューの白いご飯やパンは食べないことをお勧めします。もちろんサイドオーダーでは野菜サラダはおすすめです。その場合、オリーブオイルをかけましょう。そして残念ですが、デザートのケーキは禁物ですね。ドリンクは、コークではなく、ウーロン茶あたりが良いでしょう。

近年、アメリカの内科系医学雑誌にある論文が掲載され話題になっています。1960年代にアメリカで行われた栄養学研究において、砂糖関連会社が研究データを捏造していたということを示す論文です。タバコ関連会社がタバコの有害性の研究データを隠していたと言うスキャンダルが10年以上前にありました。これはアル・パチーノ主演の映画インサイダーの題材にもなったので、とてもよく知られることとなりました。今回の砂糖関連会社のスキャンダルは影響の大きさと年数を考慮すると、これに匹敵するかそれを超えるものと思います。

砂糖と脂肪

実際、1970年代にアメリカ政府やアメリカの主な栄養関係団体は、低脂肪高炭水化物の食事を摂取するように推奨し始めました。その後の40年間にアメリカ人で見られた現象は、言うまでもなく、肥満と糖尿病の爆発的な増加です。一方で、アメリカ人の食事における脂肪成分の摂取量は平均して25%も減っていたのです。

最近の研究から、加工した糖分の摂取が最も肥満や糖尿病につながることが判明しました。特にチップス、クラッカー、クッキー、そして糖分入りの甘いドリンクです。そしてついに2015年に、アメリカの栄養所要量の基準から1日の脂肪摂取上限量が撤廃されたのです。

1960年代までのアメリカ人はもともと高脂肪食を食べていました。総カロリーの40%以上が脂肪でした。1グラムあたりのカロリーでみると脂肪は9キロカロリーであり、炭水化物は4キロカロリーです。総カロリー量を減らすことが重視されていたので脂肪はターゲットになったのです。また、脂肪を糖分に置き換えることによって、総カロリー量を減らすことができ、そして減量につながると言われました。ドリンクに砂糖を加えることによって空腹を抑えることができるので、過食を予防出来て減量につながるとさえ言われました。

しかしながら、このような単純なエネルギーバランス説は崩壊しました。最近の研究によると、食事における脂肪摂取の制限は様々な疾患のリスクを高めることがわかりました。

食事中の脂肪摂取割合と体の脂肪の割合との関連はない、ということもわかりました。高炭水化物食品であるフライドポテトや糖分入りのドリンクを多くとる人の方が、高脂肪食品であるナッツやヨーグルトなどを多くとる人と比べて、肥満になりやすくなります。高炭水化物食をよく取る人々はむしろ心臓病のリスクも高くなっています。PREDIMED研究によると、低脂肪食の人々と比べて、高脂肪食の人々の方が心臓血管病の発生が少なくなっています

砂糖よさらば

低脂肪食は、飢餓を誘発し、基礎代謝率を低下させ、体重を減らすのが難しくなります。一方で、低炭水化物食は、飢餓が抑え、基礎代謝率が高まり、体重を減らしやすくなります。低炭水化物食ではまた、インスリンの分泌が少なくなりますので、脂肪がつきにくくなります。

以上のことから、炭水化物を脂肪の代わりに多く摂取すべきという食事内容の推奨は有害であり、栄養学的に間違っていたといえます。2015年のアメリカのガイドラインからはそのことが伝えられるようになりました。

しかしながら砂糖関連会社の影響はまだ強く残っています。1960年代から70年代にかけての、脂肪の摂取が心臓病の原因であって炭水化物の摂取は問題無い、という研究結果がいまだに影響を残しているのです。そしてその研究結果は、実は砂糖関連会社が背後で捏造していたということが判明したのです。訴訟大国のアメリカですから、多数の肥満者が立ち上がりこれらの砂糖関連会社に対して集団訴訟を起こす可能性もあるといえます。

単純なエネルギーバランスではアメリカにおける肥満の急激な増加は説明できません。炭水化物特に砂糖の取りすぎが最大の原因といえます。実は、世界最高の健康食と言われている地中海食は高脂肪食です。オリーブオイルをたっぷりと使い、ナッツをよくとっています。オリーブオイルもナッツも脂肪でしたね。

文献

Kearns CE et al. Sugar industry and coronary heart disease research: a historical analysis of internal industry documents. AMA Intern Med. Published online September 12, 2016.

image by: Shutterstock.com

 

ドクター徳田安春の最新健康医学
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