プーチンがトランプに心変わりしても、日本が喜ぶべき意外な理由

 

トランプとプーチン、障害はイスラエル―イラン

このように、トランプとプーチンは、シリア・IS問題、ウクライナ問題で同じ立場。二人、最大の違いはイスラエルーイランに対する見方でしょう。

オバマ時代、冷遇された国の筆頭はイスラエル。オバマは、2013年9月、シリア攻撃をドタキャンした。そして、イスラエルからみると最悪なのは、2015年7月、イランと核合意した、要するにオバマは、イスラエルの宿敵と和解している。オバマ時代は、イスラエルにとって、まさに「悪夢の時代」でした。

トランプはどうなのでしょうか? トランプの娘のイヴァンカさんは、「ニューヨーク・オブザーバー」のオーナーでユダヤ人のジャレッド・クシュナーさんと結婚している。そして、イヴァンカさんは、結婚時ユダヤ教に改宗しています。ユダヤ人の定義は、「ユダヤ教徒であること」ですから、イヴァンカさんはユダヤ人。イヴァンカさんには、3人子供(=トランプの孫)がいますが、彼らも皆ユダヤ人。トランプは、イスラエルのネタニヤフ首相とも非常に仲がいい。そして、トランプは、「われわれはイスラエルのために永遠に戦う!」と宣言している。だから、ネタニヤフ首相、イスラエル・ロビーは大喜びでしょう。

そして、逆に悲しんでいるのがイラン。トランプは、「イランとの核合意を破棄する!」と宣言しています。逆にロシアは一貫してイランを守っています。そして、イランと共に、シリア・アサド政権を支援している。イスラエル―イラン問題でトランプとプーチンの見方は正反対。しかし、そういう相違があるのは当然です。夫婦ですら、ケンカが絶えないのに、トランプとプーチンの見方が全部一致していたら逆に変です。

このように、問題はあるものの、今後米ロ関係は改善していくことでしょう。米ロ関係が良くなれば中ロ関係は相対的に弱くなるので、日本にとってもメリットが大きいです。

ただ、先日書いたように、アメリカと和解し制裁解除の道筋がみえてくれば、ロシアは対日本で譲歩することが減るでしょう。そういうメリット、デメリットはありますが、メリットの方が大きいと思います。

image by: ArtursD / Shutterstock.com

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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