低価格と豊富な品揃えで人気を集める、おもちゃ・ベビー用品の専門店「トイザらス」ですが、手軽さとスピードを売りとするAmazonが尋常ならざる勢いで迫ってきています。少子化も進み、この先トイザらスが生き残る術はあるのでしょうか? 無料メルマガ『顧客を喜ばせる世界の成功企業最新戦略紹介』の著者で米国ビジネスモデルコンサルタントの清水ひろゆきさんが、同社がAmazonに競り勝つ方法について考察しています。
トイザらスは少子化でも生き残れるのか!?
おもちゃを買うなら、トイザらスでしょうか? それとも、アマゾンでしょうか?
トイザらスの売りは、実際にお店で商品を見て、「毎日が低価格」を体感し、豊富な品揃えにワクワクして、必ず在庫があることです。
方やアマゾンの売りは、マークダウンされる商品のサプライズ価格にお得感を感じながら、オンラインで見やすさに配慮した豊富な品揃えで商品を吟味し、在庫がある商品をワンクリックですぐに手にできることです。
1991年、トイザらスは日本に1号店をオープンし、わずか10年で日本全国にて100店舗を突破。2016年現在で全国160店舗以上のトイザらス、ベビーザらス店舗、および「トイザらス・ベビーザらス オンラインストア」を展開するまでに成長しています。
スマホの普及により、オンラインで買い物ができるアマゾンはトイザらス以外の取引先とも関わり、顧客にとって「いつでもほしい物が見つかり、楽しく便利に買い物ができる」環境をつくることで支持されているのですが、おもちゃの専門店トイザらスは、少子化が進む日本において、子供向けの豊富な商品だけで顧客に支持され続けるのは可能なのでしょうか?
リアル店舗のセレクションのみで満足度を向上させるには
玩具・子ども用品の総合専門店である「トイザらス」は、おもちゃを買うという目的性の来店を、ついでに来店してもらう衝動性の来店にするため、他業態のベビー総合専門店「ベビーザらス」を併設することで、同じお店で、おもちゃ、ベビー用品、キッズ・ファミリー向けの楽しい商品を買えるワンストップショッピングの場を提供しようとしています。
なぜなら、妊娠中の方や赤ちゃんがいるファミリーがリアルな店舗のベビーザらスを訪れ、出産・育児に役立つ無料講習会や体験イベントに参加できれば、継続的に産前・産後、子育てにおける総合的なサポートが可能になり、隣にあるトイザらスへの来店機会も醸成できるからです。
トイザらスの売りである「リアルな店舗に必ず在庫がある」というセレクションは、店頭在庫を増やし、不良在庫が発生するリスクが高くなります。
しかし、ベビーザらスの講習会やイベントというソフトのサービスが充実すれば、トイザらスに特定のおもちゃを求めて来店した際に、商品の在庫がなかったとしても、ベビーザらスでイベントや講習会が後日開催されるようなら再来店したくなる可能性が高くなるかもしれないのです。
リアル店舗とオンラインの融合が生き残りを可能にする
トイザらスがリアル店舗を駆使しながら生き残る策とは「おもちゃを買うならやっぱりトイザらスだよね」と言われること。即ち、リアル店舗であってもオンラインであってもトイザらスが選ばれるという意味です。
トイザらスは、他社との差別化を図るため、今、国内外のおもちゃを豊富な品揃えにするだけでなく、玩具メーカーの協力のもと、トイザらス、ベビーザらスだけでしか購入できない自主商品を充実させ、且つ、店舗のスタッフが、リアル店舗で扱っていない商品もオンライン注文し、受け取りを指定場所や近隣店舗にできるサービスを実施することで、リアル店舗とオンラインを融合させ、便利さを提供しています。
しかしスマホが買い物のツールとなる今、日本で消費者が求めるキーワードは、「商品があるのか?」そして「いつ商品が届くのか?」です。
トイザらスが生き残るためには、アマゾンが掲げる「いつでもほしい物が見つかり、楽しく便利に買い物ができる」というオンラインビジネスの土俵で戦おうとはせず、必ずしもリアルなお店には在庫がないかもしれないけれど、トイザらス、ベビーザらスでは、いつでも、どこでも、どのようにでも、シームレスに買い物を楽しめる機会と、記憶に残る体験ができる場所になる仕組みをつくることです。
リアル店舗でなければ実践不可能な記憶に残る体験は、オンライン企業アマゾンの経験不足の領域であり、「何をすべきか?」という その答えはまだ見出していないのです。
image by: Rob Hainer / Shutterstock.com
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