寒い季節に食べたくなる甘いものと言えば、チョコレート。アメリカを始めとする英語圏の国では、飲料のココアを「Hot Chocolate (ホットチョコレート) 」と呼び、冬になるとあちらこちらのカフェで販売し始めます。要するに日本で言うココアなのだけど、「Hot Chocolate」という響きが何だか甘くてあったかく、いつもはコーヒー党の私ですが、マイナス20℃近くにもなる冬のニューヨークに住んでいた頃は、暖かさと甘さを求めて時折ホットチョコレートを買い求めていました。今でも寒い時期にはつい食べてしまう、私も大好きなチョコレートですが、イギリスのとあるチョコレートショップが手がけるのは、ただの食べるだけのチョコレートではなく、「魅せる」チョコレート。
一眼レフから工具まで、細部にわたって見事に再現、チョコレートアート
イギリスのチョコレートショップ『The Amazing Chocolate Workshop』が手がけるチョコレートは、食べる楽しみに加えて、観る楽しみを提供しています。
実物大のNikon SLD一眼レフカメラ。
レンズの口径や複雑なダイヤルなど、細部まで正確に再現するために要した労力や時間は、もはや想像がつきません。
ちなみにお値段は35ユーロ (約4,300円) 。
何だか安く感じませんか?
こちらはコーヒーポット。
何と蓋と内側のコーヒーフィルターは実物さながらに取り外し可能。
こちらも35ユーロで販売。
スパナにワイヤカッター、ドリルの刃先にネジにボルト、工作好きな男の子には大ウケ必至。
こちらは女性用化粧品にローズを添えて。贈り物にいかがですか?
ちなみにこれらの作品は、半年間は常温での保存が可能ですが、その後食べるかデコレーション用として専用ボックスに入れて長く保存するかを選択できるそうです。悩ましいところ!
たった2人で始めたチョコレートショップ、情熱が形になった作品たち
同店では、「チョコレートとアートの線引きをなくす」をモットーに、なんと従業員わずか2名で製作に励んでいるのです。
2014年にショップをオープンして以来、自身のチョコレート作品を多くの人々に知ってほしいという思いで、ちいさな工芸イベントやマーケットでの販売から事業をスタートしていきました。
彼らのホームページでは、「人々が最初に僕たちのチョコレート作品を目にした時の反応を見るのが何よりも好きなんだ。そしてその喜びが、もっともっとチョコレートで人々を驚かそうという原動力になる」と語っています。
そのこだわりは見た目だけではなく、使用するチョコレートの質にも気を配り、ココアビーンズ選別の工程から、その自然なクリーミーさや風味などを追求することで、「見て楽しく、食べて美味しい」を見事に実現しています。
その作り方は、最初の段階では、ココアビーンズの選定にはひと際こだわっている以外には、普通のチョコレートを作る伝統的な手法と変わらないそうですが、その後、マジシャンがネタを明かさないのと同様に、彼ら独自のちょっとした「秘密の魔法」を施すと言います。
何だか現実世界の「チャーリーとチョコレート工場」ですね。
以前はまったく別の仕事に就いていたという2人の男性が、趣味として作っていたチョコレート作品をビジネスにしようと決意し、それを見事に実現した潔さには感服しますし、多くの工程をたった2人で行い、作り上げた作品の数々を、一目見てみたいという気持ちにさせられます。
残念ながら現在はイギリス国外への発送は行っていないそうですが、まさに情熱が形になったチョコレート作品をいつか実際に見て (食べて) みたいですよね。
Source by: The Chocolate Workshop
Image by: The Chocolate Workshop
文/貞賀 三奈美