温泉に着いてホッと一息ついたら、まず口にするのが「お茶」と「お菓子」ですよね。温泉によってはご当地ならではのお菓子や、手作りスイーツなどを提供しているところもあって、それがまた楽しみだったりします。しかし、実はこのお着きのお茶とお菓子に大きな意味があることをご存知ですか?メルマガ『『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』の著者で温泉ソムリエの飯塚玲児さんが教えてくださいました。
お着きのお茶と菓子の意味、ふたたび!
つい先日、知り合いから
「旅館のお着きの菓子って意味があるって知ってました?」
と聞かれた。 おいおい、僕にそれを聞くのかよ、と思ったが、温泉ソムリエアンバサダーの身としては、知識が浸透してきたことを喜ぶべきだろう。
それにしても、このことは、このメルマガのVol.004ですでに書いている。
配信は昨年6月10日である。 メルマガ読んでくれていれば、1年以上前に知って人に自慢することもできたろうになあ、とか思ってしまった。
ちなみに003では湯上がりビールの是非とおいしく飲むための注意、005では入浴中に頭に載せるタオルにも意味がある、ということをご紹介している。
確実に忘新年会のネタにはなるので、途中からお読みの方もバックナンバーをぜひ読んでいただきたい。
と、宣伝だけではあんまりなので、お着きの菓子の意味については、再度、今号でも書いてみたい。
実はこのお着きのお茶とお菓子、温泉に入るための準備運動的な意味も持ち合わせているのである。 案外、知らなかったでしょう?
では、このお着きの菓子とお茶を、いついただくのがいいのか?
そりゃ、お着きのお菓子っていうくらいだから、宿に着いてまずいただくものでしょう、と言われるかもしれないが、まあ、それはそれで正解ではある。
温泉ソムリエ的に言うと、「入浴前にいただく」というのが正しい。
その理由はなぜか?
以前書いた通り、本当は食後の入浴はおすすめできないのだが、かといって、極端な空腹状態で入浴すると、貧血に陥りやすいからである。 人によっては低血糖状態になることもあるだろう。 温泉入浴によるカロリー消費は案外大きく、42度の湯に10分入ると、ウオーキングを10分したのと同程度のカロリーを消費するといわれている。
そこで、お着きの菓子程度の糖分を含んだものを少し食べるといいわけだ。
そしてお茶。
お茶を飲むのはこれまでも書いた通り、入浴前の水分補給になるほか、お茶に含まれているビタミンCが湯あたりを防ぐ効果もあるとされている。
宿に到着して部屋に荷を解き、「ヤレヤレ」などとつぶやきながらどっかと座布団に腰を下ろして緑茶を一服。 お菓子を食べながら一息つく。
1日の旅の話などをひとしきり終え、浴衣に着替えていざ温泉へ……というと、お茶を飲んでから少なくとも15分ほどが経っているはずである。
過去の号に書いた通り、入浴前の水分補給は15分から30分前に行うのが望ましい。 その理屈に、見事にこのお着きのお菓子とお茶が一役かっているのである。 よって、お着きの菓子と茶は入浴準備運動、というわけ。
こういうことは、温泉ソムリエになるとみんな教えてくれる。 頭に載せるタオルの意味を知ったとき、この知識を得ただけで十分モトとった!と思ったな。 このお茶とお菓子のこともそうだし、湯上がりビールぐびぐびが全面否定はされていない、というのも温ソムのゆるいところでもある。
むろん、最高のひとくちを飲んだあとにはしっかり水分補給をすべし、となっているのだが、入浴後の夕食前の準備としてのビールの意味まで、きちんと解説されている。 これらもバックナンバーで詳述しているので、ぜひ読んでみてくださいませ。
間違いなく、忘新年会の席で、あなたは雑学博士の称号を得るに違いない。
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『『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』より一部抜粋
著者/飯塚玲児
温泉業界にはびこる「源泉かけ流し偏重主義」に疑問を投げかけた『温泉失格』の著者が、旅業界の裏話や温泉にまつわる問題点、本当に信用していい名湯名宿ガイド、プロならではの旅行術などを大公開!
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