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逃げるは恥だが役に立つ!中国がヤバそうな件について

中国経済の今後について、『毎日5分! 経済英語NEWS!』の著者・八木翼さんがわかりやすく分析しています。

中国の経済がまずいことに陥りそうですね。バブル崩壊の理由はいつも単純で、発行する債券を買ってくれる人がいなくなり、借金ができなくなって潰れます。アメリカのサブプライムローンの時も、サブプライムローンを買ってくれる人がいなくなったところから崩壊は始まりました。もし、短期で株式投資をしている人がいるのなら、逃げるのも一つの手です。

それではニュースを見てみましょう。

ニュース本文と和訳

【China’s Bond Rout Triggers Turmoil as Leverage Curbs Bite】
中国の国債敗走は、レバレッジカーブを刺激し、混乱招く

(1)
Leverage, counterparty risks and maturity mismatch. China’s record bull run in bonds had all the signs of a bubble in the making.

レバレッジ、取引先リスク、返済日のミスマッチ、中国の記録的な力強い債券の動きは、進行中のバブルを示す、全てのサインを持っている。

(2)
Loose monetary conditions had fueled a sense of complacency, and all that was needed to trigger a reversal was for liquidity to tighten.

緩和された金融状況は、自己満足の感覚を煽り、逆方向への引き金を引くのに必要なことのすべては、流動性を引き締めるだけだった。

(3)
When expectations for faster U.S. rate increases added to pressure from rising funding costs in China, the correction in the debt market — which started in October — turned into a rout.

米国の金利引き上げの加速が見込まれることは、中国での借り入れコストに圧力を加え、10月から始まった、借入市場の修正は敗走に向かう。

(4)
Bond futures plunged by a record last week, the 10-year yield surged by the most in two years and interest-rate swaps reached a
20-month high.

先週の債券先物は、記録的な低さまで下落し、10年金利は、過去2年で最も上昇し、金利スワップは、20カ月ぶりの高さに達した。

(5)The size of China’s wealth-management products more than doubled in two years to a record 26.3 trillion yuan as of June 30 as savers sought returns higher than deposit rates.

中国の理財商品の規模は、預金者が、預金金利より高い利回りを追い求め、この2年間で2倍となり、6月30日時点で263兆元に達した。

(6)
At least 66.9 billion yuan of bond sales have been canceled or postponed in December, compared with 29.7 billion yuan for all of November, according to data compiled by Bloomberg.

少なくとも、11月全部で297億元であった債権の販売のキャンセル、もしくは延期は、ブルームバーグが編纂したデータによれば、12月は、669億元であった。

(引用:Bloomberg:by Justina Lee)

経済コラム

さて、スワップというものが出てきましたが、スワップとはデリバティブの一種です。デリバティブというのは、日本語で金融派生商品といいます。その名の通り、金融から派生した証券のことです。

が、市場の大半を占めているデリバティブが、金利スワップというものです。この金利スワップは、なんと、世界に6京600兆円分が蔓延しています。こんな数字見たことないと思います。金利スワップとは何かというと、変動金利と固定金利の交換(swap)です。

例え話で説明しましょう。

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Aさんが、1億円持っているとしましょう。これをBさんに変動金利5%で貸しました。

Bさんは毎年Aさんに、500万円支払いをします。ただし、変動金利なので、市場の動向に合わせて変化もします。

そんなとき、お金の貸し手であるAさんは、Cさんから面白い話を持ち掛けられます。

Cさん「おいおい、Aさん何やってんのよ?世界は金融緩和真っただ中だよ?金利なんて上がるわけないの。分かる?つまり、俺たち金を貸す側は固定金利のほうがいいの。金利が変わらないことをうたい文句にして、めちゃくちゃ儲けることができるんだからさ?
実際は、世界中が金融緩和中だろ??要は、固定金利で儲けた方が利回りが高くなって得なわけ。俺なんてDさんに固定金利10%で2億円貸してるぜ?」

Aさんは悔しがりました。自分は500万円しか儲かってないのに、Cさんは2,000万円も儲けを出してる。貸している額は、自分の倍だけど、儲けている額はその4倍。悔しい!!!Aさんは、Cさんを口説こうとします。

Aさん「Cさん、実際金利はいつ上がるかわからないじゃないか?そこで提案なんだけど、Cさんの1億円固定金利10%の債権と、私の1億円変動金利5%の債権を交換しない?そうすれば、Cさんはバランスが良くなって、リスクが減るよ?

なるほど。確かにそうだとCさんは思いました。

契約成立です。Cさんは、資産2億円10%固定金利債券から1億円10%固定金利債券、1億円5%変動金利債券となりました。Aさんの資産は、1億円5%変動金利債券から、1億円10%固定金利債券へとなりました。

さて、その数日後、なんと、この4人が住む国では、力強い景気を背景に金利が上昇してきました。変動金利は見る見るうちに上昇し、利率15%になりました。(今、アメリカで起こりそうになっていることです。)

先ほど、変動金利を固定金利に交換したAさんは大損です。変動金利で貸していれば、15%だったはずの債権が、10%のままなのです。

さて、Aさんが問題なのは、損しただけではすまないことです。実はAさん、1億円の内、9000万円は、変動金利で借りた借金だったのです。
今までは、変動金利4%で借りて、変動金利5%で貸していたので、ぎりぎり儲けてきました。

10,000万×0.05 – 9000万×0.04 = 140万

しかし、状況は変わりました。

変動金利5%の債権は10%の固定金利債券と交換し、変動金利4%の債務は、14%の債務にと変わったのです。

10,000万×0.10 – 9000万×0.14 = – 260万

なんといつの間にか、260万円の赤字。。。

ヤバイ、ヤバい。。。利息が払えない。

というわけで、Aさんは破産です。

Game Over
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もちろん、この逆パターンもありますし、金利が上がる下がるは国の信認も影響して複雑です。だからこそ予測できない

さて、世界にはAさんみたいな銀行がたくさんあります。金利は上がらないと高を括っている銀行たちですね。そんな予測とは裏腹に、金利はたぶん普通に上がります。先ほど述べたとおり、この固定金利と変動金利の交換が世界で6京600億円分行われています

どこかでGame Overが発生しなければいいのですが。。。

毎日5分! 経済英語NEWS!』より一部抜粋

著者/八木翼
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