あなたは学生時代に教科書や参考書の大事な部分にマーカーを引いて覚える、という勉強法をしていたことはありますか? 無料メルマガ『ビジネス発想源』の著者・弘中勝さん曰く、その勉強法は「思考力を落とす」行為で勉強ができない人ほどやりがちなのだそうです。このマーカーを引く行為と類似するものとして、人の話を聴く時に「メモをとる」ことを挙げています。一生懸命メモを取れば取る人ほど気づいていない、メモを取るということの本質を解説してくれています。
メモの本質
「勉強をどれだけ頑張っても、成績が上がらない!」という人に教科書や参考書を見せてもらうと、ほとんどと言っていいほど、マーカーで線を引きまくっています。
「それだけたくさん勉強した証拠じゃないか」と思う人もいるかもしれませんが、マーカーで線を引くと、思考力が落ちます。
以前に『アメトーーク!』の勉強大好き芸人の回で学歴の高い芸人たちが説明していました。教科書には線を引かない、という勉強法です。なぜ教科書に線を引かないのかというと、「全部大事だから」。
つまり、線を引いてしまうのは、自分が勝手に「そこだけ大事」と決めつけていて、「線が引いていないところは大事じゃない」と勝手に捨ててしまう、ということなんですね。
これは、実は効率的にインプットしようとする時多くの人が取る行動にも当てはまります。例えば、メモをする行為。
何か大切なことをメモをしたつもりですが、それは「自分が大切と思った」ことだけであり、それは同時に「メモしていないことは大事じゃない」と自分で決めたということです。
そう考えると、メモをするという行為は、「大事なことをメモする」よりも、もっと大事なことがあるということが分かります。「メモしないことは一切忘れてもいい」ということです。
メモはいつでも読み返せるからいいけれど、メモしていないことはもう出会えないわけだから、もう思い出せなくてもしょうがない、と考えて、メモに残さないという選択肢を選ぶべきです。
それが分からない人は、メモを取ったところで、「自分の頭で考えたらどうも大事っぽい」というものしか残そうとしません。
講演会で、事業に成功した経営者などが、その成功の要因について長々と語ったとします。すると、手元のメモに、「信念を貫く」としか残さない受講者が結構います。
いや、確かに「信念を貫くことが大事」と講師の人は言ったけれども、信念を貫くことが大事なのは、普通分かるでしょ。
信念を貫くために何をやったのか、信念が揺るぎそうな時にどうしたのか、という発想や工夫が受講者には大事なのであって、「信念を貫く、と講師が言った」というメモがいったい何の役に立つのでしょう。
私も講演や研修をさせて頂く機会がたまにありますが、壇上から見ていると、マインドマップというかメモリーツリーというか、枝分かれタイプのメモを取る人がちょくちょくいます。
あれは、やっている人はほぼダメです。
中心に核となるキーワードを書きますが、もうその時点で間違っている人がいるわけです。見ると、中央に「弘中さん」とか書いてある。講師の名前じゃ意味ないでしょ、それ。
かといって、「今日のテーマはPRです」と言ってもその中央に「PR」と書いてそこから広がるのは、どう考えてもおかしい。そもそも講演の内容が必ず中央から広がっていく、と勝手に構成を決めつけている時点で、もう完全に間違ったメモなのです。
でも、書いちゃったものはそれでいいのだと、勝手に自分で思い込んでしまう。これが、メモの怖いところです。
「ここが大事!」とチェックするのは、いいことです。でも、それは同時に「それ以外はここほど大事じゃない」と決め付けることなのだ、ということをしっかり頭に入れておかなければなりません。
ここだけは大事だが、あとは捨ててもいい、という覚悟ができて初めて、線を引いたりチェックをつけたりできる、という意識を持ちましょう。
【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)
・「大事なところにチェックを入れる」場合には、どのようなルールが必要か。自分なりのルールをもう一度考えて、ノートにまとめる。