セブン追撃。焦るローソンの銀行参入でATM「手数料」戦争勃発

 

現在の流通業による銀行業は、セブン銀行のように手数料収益主体のビジネスモデルと、イオン銀行のように貸出や金融商品の販売が主体のビジネスモデルの二つに大きく大別できます。

ローソンはイオン銀行ではなくセブン銀行に近いビジネスモデルを志向していると思われます。ATMの手数料収益は魅力的で、ローソンは自前の銀行を設立することで、得られる手数料収益の割合を高めたい意図があるのでしょう。イオン銀行のように貸出や金融商品の販売を行うには、サービスの提供スペースや販売ノウハウなどの観点からコンビニで行うことは現実的ではないといえます。

銀行業の参入でローソンはセブンイレブンに挑む形になりそうですが、ライバルはセブンイレブンだけではありません。コンビニの3強の一角であるファミリーマートが大きく立ちはだかりそうです。

ファミマは銀行業に参入してはいませんが、ATMは設置しています。ファミリーマートや金融機関が出資するイーネットが運営しています。2016年12月末時点で13682台のATMを設置しています。規模や形態はローソンに近いといえます。

ローソンと決定的に異なるのが、ファミマはゆうちょ銀行のATMを導入していることです。2014年11月から設置を開始し、ファミマの店舗約500店に「ゆうちょATM」を設置しています。手数料が365日いつでも無料なのが特長です。ゆうちょ銀行が保有する貯金残高177兆円(2015年度)を手数料無料で扱えるのです。

2017年1月からは、ゆうちょ銀行の小型ATM3500台を順次ファミマに設置していく方針です。また、2016年7月15日付47NEWSは「コンビニ3位のファミリーマートが、店舗内の現金自動預払機(ATM)のサービスを2018年にもゆうちょ銀行に一本化する方向で検討」と報じています。

ファミマにある1万3千台以上のATMがゆうちょ銀行のATMに代われば、ローソンは現状のATMのあり方では太刀打ちできません。そこで、ローソンは銀行業に参入することでサービスの強化を図りファミマにも対抗する意図がありそうです。

ローソンは銀行業に参入することでセブンイレブンとファミマを追撃する態勢に入ったといえそうです。コンビニのATM戦争から目が離せません。

image by: Kuha455405 (WikimediaCommons)

 

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著者/佐藤昌司
東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
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